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予選会10位で本戦出場決定! こぼれ落ちた涙を成長の糧にいざ本戦へー東京箱根間往復大学駅伝競走予選会

10月26日 陸上自衛隊立川駐屯地スタート~国営昭和記念公園ゴール

昨年より2週間ほど遅れて行われた箱根駅伝予選会。今大会では各校12人の選手が出走し、上位10人の合計タイムで争われる。箱根路への切符を手にすることができるのは出場43校のうち上位わずか10校。そんな狭き門を突破するため、選手たちは日々努力を重ねてきた。今回は13年ぶりにシード権を失った早大や力をつけてきた東国大など混戦が予想された状況の中、中大は10位でなんとか予選通過を決めた。

▲順位発表の瞬間。選手たち一人一人の表情から安どや悔しい様子がうかがえる

9時の時点で気温は18度。昨日の大雨から一転、風もほとんどなく強い日差しが照りつける中で選手たちはスタートを切った。まずは留学生たちが先頭集団を形成。5㌔地点で留学生と日本人先頭集団が離れ、中大はそこから少し離れて集団走を展開。上位10名の通過タイムは5㌔で全体2位と幸先のよいスタートを切った。中大はそのまま集団走を続け10㌔を7位で通過。そして、戦いの舞台はアップダウンの続く後半戦の公園内へ。桜美林大のキサイサを先頭に15㌔を中大は10㌔と同様7位で通過する。

▲公園内でラストスパートをかける畝拓夢(法3)

気温と湿度が上昇し、選手たちの額には汗が光るなどレース終盤戦は暑さとの戦いに。スピードレースが予想された今大会に最も影響を及ぼしたのはまぎれもなく季節外れの暑さだった。17.4㌔地点で中大は15㌔の7位からボーダーラインの10位に転落。先頭のキサイサが3年連続の1位でフィニッシュするとその後は日本人トップの伊藤(東国大)をはじめ続々と各大学の選手たちがゴールに飛び込んでくる。

中大で一番にゴール地点に現れたのは今季急成長を遂げている森凪也(経2)だった。森凪が1時間3分58秒でゴールするとそれに畝らが続いた。しかし、チーム内4位の走りを見せた池田勘汰(商3)から5位以降の選手たちのタイム差が大きく離れてしまう。レースを終え、中大陣地に帰ってきた選手たちの足取りは重く、そこには悔しさにうなだれる選手たちの姿があった。

▲チームトップの走りを見せた2年生エース・森凪

迎えた運命の結果発表。予選通過1位の東国大から順に成績が発表されていく。9位の早大が呼ばれ、残り1枠となる中、選手たちは固唾をのんでその瞬間を待った。「第10位 中央大学」。その言葉を待っていたかのように公園内は歓喜に沸いた。これまでチームを率いてきた田母神一喜主将(法4)の目からは涙がこぼれ、舟津彰馬駅伝主将(経4)は安どからか膝から崩れるようにゆっくりと下を向いた。その後行われた報告会では田母神や舟津、そして藤原監督や野村部長が全体へあいさつ。選手の健闘をねぎらうとともに、本戦に向けてもう一度引き締めて練習や試合に臨んでいくことを誓った。

▲涙を流す池田(中央)。祈るように手を前に合わせていたのが印象的だった

3年前、藤原体制1年目で臨んだ予選会では11位に終わり伝統の赤いタスキをつなぐことはできなかった。当時涙に暮れた1年生たちは今、チームの顔である4年生となり、最後の箱根駅伝を迎えようとしている。4年間苦労して築き上げてきた土台の上で、その成果を発揮するのは2カ月後の本戦だ。昨年は予選会を7位で通過したが、本戦は11位と惜しくもシード権獲得まであと一歩届かなかった中大。今年の予選会では10位通過と厳しい戦いをしいられたが、本戦ではもう一回り、二回りも進化した姿を見せられるか。大手町で10区のランナーと監督を笑顔で迎えるため、全身全霊を尽くして2020年の到来を待ちわびる。

▲選手たちをねぎらい、本戦へ闘志を燃やす藤原監督

 

◆大会結果◆

総合結果

1位 東国大 10時間47分29秒

2位 神奈川大 10時間50分55秒

3位 日体大 10時間51分9秒

4位 明大 10時間51分42秒

5位 創価大 10時間51分43秒

6位 筑波大 10時間53分18秒

7位 日大 10時間54分29秒

8位 国士大 10時間55秒21

9位 早大 10時間55分26秒

10位 中大 10時間56秒46

11位 麗澤大 10時間57分12秒

 

個人結果

15位 森凪也(経2) 1時間3分58秒

25位 畝拓夢(法3) 1時間4分20秒

35位 三浦拓朗(商2) 1時間4分37秒

51位 池田勘汰(商3) 1時間5分1秒

105位 矢野郁人(商3)1時間5分45秒

124位 川崎新太郎(経3) 1時間6分2秒

151位 岩原智昭(文3) 1時間6分24秒

178位 大森太楽(文3) 1時間6分48秒

188位 舟津彰馬(経3) 1時間6分54秒

192位 三須健乃介(文3) 1時間6分57秒

224位 千守倫央(商1) 1時間7分27秒

287位 井上大輝(法2) 1時間9分16秒

 

◆コメント◆

藤原監督

「これまでスピードレースを想定していた。ここまで暑くなるとは思っていなかったが、急にこの暑さの中でレースをやるのは厳しいと感じた。10位という結果になったがチームの成長は感じているし、今日控えにまわった選手でも本来はメンバーに入れたいと思う選手もいる。前回のように中山(現Honda)や堀尾(トヨタ自動車)がいないので、総合力で戦っていかなければならない。本戦では前半の流れが重要。12月に箱根の距離に合わせた練習をしていく予定。山も手ごたえはあるので選手たちが実力を出せるようにやっていきたい」

田母神主将

「夏合宿が充実していたし、トップを狙えるという状況で戦ってきたので非常に悔しい結果。今日このような状況になったのも主将である私の責任でもあるので心を入れ替えたいと思う。なんとか首の皮一枚つながったということで古豪復活へののろしを上げられるように本戦ではシードを取りたい」

舟津駅伝主将

「26秒差で10位に入ったので一安心だが、求められる結果ではなかった。個人としては、もう一度エースとして認めてもらうためにもう一度作り直していく。この予選会は個人の結果がチームの結果になる難しいレース。序盤から苦しくて、ラストで力を出し切れなかったのがだめだった。練習は一番できていると思う。あと2カ月やってきたことを見直していきたい」

森凪

「最初5㌔で思ったより遅かったが、常々我慢しろと言われていたので我慢していた。でも9㌔以降になった時に差が埋まらないと感じたので集団から抜け出した。公園内ではかなり長く感じたが、どうにか63分台でまとめられたと思う。日本人10番手をターゲットにしていたが、もう少し前でいくか後ろでいくかという時に勝負に徹することができなかった。今日は大崩れしなかったのは良かった。予選会通過できたことはチャンスをもらったということ。もっと覚悟を持ってやっていきたいと思う」

「本戦につながって良かったが、本当に苦しいレースだった。こういう天候も予想していなかったので、思うように走れなかったかなと。監督からは思い切っていけ、失敗してもいいからと言われた。トップと戦える自信があったのに上半身が固まってしまって耐えるだけになってしまった」

池田

「想像以上の暑さにうまく対応できなくて、タフなレースになった。自分自身エースになりたいっていう強い思いを結果につなげられなかったのが本当に悔しい。夏合宿で底上げに取り組めたし、チームの状態は良かったのでトップ通過できるかもしれないと思っていた。今年こそは28分台を出して箱根をいい状態で迎えたい」

矢野

「レース前は落ち着いていたが、思った以上に気温が高くてチーム全体で思うように走れなかった。チームの雰囲気は良かったけど、慢心があったように感じる。夏合宿ではフリー走を結構やってきて箱根駅伝を意識してやってきた。チーム力が上がったとは思う」

川崎

「チームとしてはもっといけるっていうのがあったけど、だいぶ違う結果になってしまった。チームの状態はかなり良かった、それでもこういう結果になってしまった。自分としては後半思うように動かせなかったのでそこが弱いところだと思う」

岩原

「監督からはポジティブにいけ、力を信じているからと言われた。それでも3㌔できつくて、そこからペースを切り替えた。夏合宿から調子が良くて、練習一つでも高いレベルで競り合えたので今日、不安はそんなになかったが、結果でレースの怖さを思い知った」

大森

「今日は速さより強さを求められる状況だった。チームとしては確実にタイムは上がっているとは思うが、その強さを完全に体現できていない。今日は反省の方が大きいので、これからしっかりやっていきたいと思う」

三須

「6月くらいに疲労骨折して夏の前半は練習ができなかった。今回は予想以上の暑さで苦しい走りになった。水分補給がうまくいかず、脱水症状になり自分が足を引っ張る形となった。このままだと本戦の枠に入るのが厳しいので2カ月しっかりと調整したい」

千守

「前の方で走らなければいかなかったのに、チームで11番になってしまった。チームのための走りができなかったので個人的に悔しい結果だった。この暑さの中で初めてのハーフだったので自分の実力不足というか持てる力を出せなかった。まずは箱根の前に1万㍍の記録を狙いにいきたい」

井上

「箱根出場という最低限の目標は達成できたので良かった。結果だけ見れば悔しいが、予選会に向けた頑張りに対する達成感はあった。ラスト1㌔が自分の強みだけど今回はそれを出せずに悔しかった。これからは自分の走りでチームに貢献していきたい」

 

記事・写真:「中大スポーツ」新聞部