2025年8月26日 東京都・スリーボンドスタジアム八王子
決勝は同じ連盟に所属する東洋大との一戦となった。中大自慢の投手陣が、相手の強力打線に打ち込まれ、最終回を迎えた時点で4点差。万事休すと思われた。
しかし9回裏、連続四球などでランナーを溜め、最後は片倉裕文(法3)のサヨナラタイムリーで大逆転勝ち。大会史上初「3連覇」の快挙を成し遂げた。
中大は「最後はリーグ戦で一番活躍してくれたエースで」と井出都斗(国経3)を先発マウンドへ送った。2回までは両者無得点。
▲先発の井出は、今大会全試合に登板
試合は3回裏、中大の攻撃を迎える。先頭の8番・塚本秀太(文2)が死球で出塁。1死二塁とし、打席には海老沼樹喜(経3)が入る。打球は三塁ファウルゾーンへ。これを三塁手が飛び込んでスーパーキャッチし、2死となった。
しかし、今年の打線はどこからでもチャンスを作れるのが強みだ。2死満塁とし、4番の片倉を迎える。初球から積極的に手を出した打球は、センターの頭上を越えるかと思われたが、相手の好ポジショニングに阻まれ、この回は無得点で攻撃を終えた。
「ピンチの後にはチャンスあり」とばかりに、4回表に相手打線が火を噴き3者連続安打で3点を失ってしまう。
その裏、ルーキーながら5番を任された藤井拓海(経1)が左中間に特大のホームランを放った。「出させていただいている3年生に恩返ししたい気持ちで、打席に立って打てました」と起用に応える一発で2点差に詰め寄った。
▲今大会、大車輪の活躍だった藤井
反撃ムードが漂う中、井出がピリッとしない。5回表、二者連続で四球を与えると、3番の岡元に3ランホームランを浴びる。スコアは6-1となり、ここで田邉優河(商2)に投手交代。井出は5回途中6失点でマウンドを降りた。
その後、6回に藤井拓のタイムリー、7回に小牧颯太(経3)のタイムリーで2点を返すも、9回表に田邉が痛恨の一発を浴び、3連覇の夢は潰えたかに思われた。
▲田邉は勝利投手となった
9回裏、東洋大は3番手の廣瀬がマウンドへ。しかし、同大の初優勝という重圧からか、ストライクが入らない。中大ナインは落ち着いていた。ボールを見極め、四球や死球でチャンスを作る。さらに、相手二塁手のエラーで無死満塁とすると、まずはワイルドピッチで1点を返す。
続く打席で1番の海老沼は「何でもいいから、とにかく気持ちで繋ごう」と死球で出塁。ここから中大の盛り上がりは最高潮に達した。
なおも無死満塁、2番小牧颯の打球はセンターへ。センターがダイビングキャッチを試みるもグラブに入らず、ランナーが生還し7-5となる。
▲片倉はサヨナラ打を放った
その後、1死満塁となり「自分はとにかくつなぐという思いで」と片倉が打席へ。2ストライク2ボールから、相手の決め球であるストレートを狙って放った打球は、前進守備のレフトの頭上を越えた。観客も総立ちとなる一打で、奇跡のサヨナラ大逆転勝ち。土壇場で、勝利の女神は彼らに微笑んだ。
▲サヨナラを決めた片倉を囲む選手たち
今大会は
最高殊勲選手賞に片倉、最優秀投手賞に中田千晴(経3)、最高助演賞に中央大学マネージャー一同が選出された。
▲表彰式にて、賞状を受け取る海老沼
◆試合結果◆
〇中大8× - 7東洋大●
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | |
東洋大学 | 0 | 0 | 0 | 3 | 3 | 0 | 0 | 0 | 1 | 7 |
中央大学 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 1 | 0 | 5x | 8 |
◆コメント抜粋◆
海老沼主将
-優勝、今の率直な気持ち
素直に、素直に、めちゃくちゃ嬉しいです。
ー声が枯れている、声掛けもたくさんされていた。最終回の雰囲気は
今までにないぐらいの、全員気持ち入っていて、いい声出して、もうほんとにベンチメンバー含めて全員に感謝だなって気持ちです。
-打撃面
今日の試合に限らず、全日本でなかなかヒットが出ない。しんどかったんですけどバッティング面はなかなか振るわなかったんですけど、やっぱり気持ちの強さ、最後は気持ちの強さが出たので、良かったかなと思います。
ー優勝旗を受け取った時は
2連覇していて、3連覇がかかった大きいプレッシャーの中、ずっと春リーグも戦ってきて、優勝旗受け取った時っていうのは、これまでしっかり頑張ってきて良かったなっていう風に、報われたなっていう風に感極まりました。
ートロフィーの重み
優勝した実感がまだまだなくて。
受け取った時はもうなんか、ほんとにもう、なんかふわふわしてて、逆にもう軽かったというか、いやもう信じられないなっていう感じでした。
ー家族も観戦、支えになったか
やっぱ1番の支えは家族だったと思うので。苦しい時もたくさん声かけてくれたし、本当に家族全員に感謝だなって思います。
ー主将が選ぶ今大会の投打MVP
ピッチャーで言ったら難しいですね。中田と井出の3年生2人がよく投げてくれた。
打のキーマンはやっぱり副キャプテンで自分のこと支えてくれて、しっかり最後の場面で打ってくれた小牧と片倉の2人が打のヒーローかなっていう風に思います。
ー秋リーグ、東日本に向けて
2年連続4冠っていうのが、うちの目標なので、周りのチームから追いかけられる立場ってのはとても難しいと思いますが、この全日本の経験はいいい経験できたので、ほんとにこれを力に変えて、秋リーグ、東日本優勝できたらいいなと思います。
◆お知らせ◆
次戦は秋季リーグ戦となります。9月12日(金曜日)に笹目公園野球場で行われる対国学大戦です。
(記事:小林想 写真:湊谷昂太郎)
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