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【第166号掲載記事】敗戦を糧に強さ示して優勝飾るー東日本学生春季選手権

▲決勝戦で相手と組む武藤

※「中大スポーツ」第166号終面の本文を掲載しております。

 

2021年6月23日~25日 駒沢体育館

東日本学生春季選手権が駒沢体育館で行われ、武藤翔吾主将(法4)が選手権の部フリースタイル125㌔級で優勝し、敢闘賞を受賞した。武藤は今大会を「インカレに向けての試合」と位置付けて臨んだ。しかし、そのインカレの延期が決定。社会情勢に振り回されることになった武藤だが、決して諦めず前だけを見つめている。

◇   ◇   ◇

優勝が決まった瞬間、武藤はチームベンチに向かい右手を掲げ仲間の声援に応えた。「主将の僕が優勝しないと示しがつかないのでやったぞという感じでした」。

武藤は当初、今大会の出場を見送る予定だった。しかし、5月に行われた明治杯全日本選抜選手権で、半年ぶりの公式戦という緊張と部の主将に就任した重圧が武藤を襲った。初戦で後輩の出頭海(法2)に0ー6で完敗。「インカレに向けて試合慣れしておかないとまずいな」と危機感を抱き、今大会への挑戦を決意した。

優勝を果たしたものの試合内容には納得していない。「練習通りの動きをしたら楽に勝てるんじゃないかな」。今後は試合内容と練習のギャップを埋める努力を重ねていくつもりだ。

昨シーズンはコロナ禍で練習環境が一変した。春先から全体練習が中止になりチームは解散。部員は自主練習で基礎体力の維持を図った。だが、対人競技であるため一人で行う練習には限界がある。そんな逆境でも武藤は立ち止まらなかった。山本美仁監督の紹介で地元・千葉の名門、日体大柏高で練習に励んだ。主要大会が相次いで中止になり他大学の選手が実戦離れを懸念する中、スパーリングを中心に実戦に近い練習を継続できたことは武藤にとって大きなアドバンテージとなった。

練習相手には2019年インターハイ王者のモンゴル人留学生を指名。武藤よりも軽い階級の選手だったが、相手の体重が軽く動きが速いことで「スピードに対応できるようになった」と充実した練習に手応えをつかんだ。

全体練習が再開されたのは今年の2月に入ってから。チーム最大の目標を8月のインカレに定めて準備を進めていたが、大会12日前に中止が決定。しかし、9月に入り急きょ延期開催が発表され、10・11月に会場を2カ所に分けて実施する方向で調整に入っている。

突然の方針転換で大会にピークを合わせることは決して容易なことではない。それでも、2年ぶりの開催となるインカレに向けて「延期でも開催してくれる事に感謝して全力を尽くしたい」。

中大の主将は、未曽有の国難ともいえる状況下でレスリングができることをかみ締めて大会に臨む。

(記事:若林拓実、写真:町田航太)

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2021年9月21日(火)付で「中大スポーツ」第166号を発行いたしました。詳細はこちら