2025年11月2日 愛知・熱田神宮~三重・伊勢神宮
学生三大駅伝2戦目の全日本大学駅伝。初戦の出雲駅伝で苦しい走りとなった中大にとっては、選手の復調ぶりを示し、二か月後に迫る大一番へ向けて勢いをつけたい今大会。
序盤から先頭集団でレースを進めると、柴田大地(文3)が区間賞を獲得するなど中盤以降も安定したレースを展開。初優勝には届かなかったが2005年以来となる2位でフィニッシュし、シード権を獲得した。
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◆大会結果◆
①駒大 5時間06分53秒
②中大 5時間08分54秒
③青学大 5時間09分28秒
1区 9.5km 本間 颯(経3)27分25秒 区間9位
2区 11.1km 吉居駿恭(法4)31分07秒 区間2位
3区 11.9km 藤田大智(文3)33分42秒 区間4位
4区 11.8km 柴田大地(文3)33分52秒 区間1位
5区 12.4km 三宅悠斗(文1)36分33秒 区間3位
6区 12.8km 佐藤大介(文2)37分29秒 区間3位
7区 17.6km 岡田開成(法2)51分43秒 区間6位
8区 19.7km 溜池一太(文4)57分03秒 区間2位
中大のスターターを担ったのは本間。最短区間の1区で出遅れが許されない中、3位を目標に伊勢路へ飛び出した。各大学が睨みをきかせるかのようにスローペースでレースは展開され、7㌔付近で本間がロングスパートを仕掛けると、レースが動く。しかし後続の選手たちを完全に振り切ることはできず、先頭と5秒差の9位で襷をつないだ。本間は今レースを「50点」と評し、「5〜10秒離したい中で最低限の仕事しかできなかったので」と語った。

▲スターターを担った本間
2区、本間から襷(たすき)を受けたのは主将・吉居。「絶好調とは言えない感じで、ずっと気持ちよく走れなかった」と振り返るも、終盤は橋を渡り切った地点から脅威のラストスパートを発揮し、風を切るように帝京大、早大、駒大を抜き去りトップへ躍り出た。まさにエースの風格を感じさせる走りを見せた吉居だが、重圧は感じていない。「エースという重圧よりは、『キャプテンとしてしっかり走らないと』っていう、心の支えになっている部分が大きい。きつい場面も、『キャプテンとしてここはしっかり粘らないと』っていう気持ちになって、プラスに働いた」と力強く語った。

▲吉居は会心のラストスパートを見せた
吉居から襷を受け取った3区の藤田は中盤まで首位を守る力走を見せ、駒大の帰山・国学大の野中にかわされながらも、僅差の3位で柴田へつないだ。設定タイムを30秒上回る快走ながら区間4位となった結果に対し、「嬉しさよりも悔しさの方が大きい」と唇をかみしめた。

▲区間4位も悔しさが残った藤田
3位で襷を受け取った柴田。藤田がつくった流れを受けて先頭に立ち、33分52秒の好タイムで区間賞に輝いた。「先頭で渡すことが一番の仕事」と語りつつも、「結果的に区間賞がついてきてよかった」と振り返った。箱根駅伝に向けては「1月3日に中大が一番で大手町に戻ってこれるような2ヶ月間にしたい」と優勝への意気込みを語った。

▲復帰戦で区間賞を獲得した柴田
1 位で襷を受け取った 5 区の三宅。1 年生ながら伊勢の地で大学駅伝デビューを飾った。序盤、国学大の飯國と先頭争いを続けるも猛追してくる駒大の伊藤に追いつかれ、3 人での先頭争いとなる。しかし区間新記録をマークした伊藤のハイペースについていけず 3 位に後退する形となり、「自分の区間で優勝の希望がなくなってしまったので、そこはとても悔しい」と振り返った。

▲三大駅伝デビュー戦となった三宅
6区は、昨年この区間で駅伝デビューを果たした佐藤。区間3位の走りで、1年生三宅から受け継いだ襷を1つ上の順位に押し上げた。しかし、「自分のところで優勝を狙える位置まで持っていきたかったが、それができなかった部分は悔しい」と振り返り、箱根に向けて「前回の悔しい部分を取り返すような走りにしたい」と語った。

▲2年連続の6区出走となった佐藤
各大学のエースが集う7区という大舞台を任されたのは岡田。出雲駅伝では1区区間賞を獲得し大きな期待がかかる中、洛南高校時代の先輩である駒大・佐藤圭汰を追いかける展開に。序盤から積極的な走りを見せるが、佐藤の背中は遠かった。後ろからは青学大のエース・黒田朝日が区間新記録のペースで猛追し、順位は3位へと転落。レース後、「他大学のエースとの力の差をすごい感じたので、箱根でしっかり区間賞を取れるように合わせていきたい」と悔しさをにじませる表情で語った。しかし区間6位と安定した走りを見せ、最終区溜池へ襷をつないだ。

▲岡田はエース区間で粘りを見せた
8区に出走した溜池。後ろから国学大の上原が追ってくる中で序盤から飛ばすと、前をいく青学大をとらえ2位に浮上。最後までペースを落とさず安定した走りを見せ、順位をキープしたままフィニッシュした。「目標タイムは57分くらいだった」という溜池は目標通り57分代のタイムで区間2位、8区日本人歴代3位の好記録を残した。

▲エースの走りを見せた溜池
複数区間で先頭を走る場面を見せるなど、積極的なレース展開となった中大。二か月後の大舞台で、チーム目標である「箱根駅伝総合優勝」を達成するべくこの一年間練習を積み上げてきた。チーム内競争もより一層激しくなる中でどの10人が選ばれるのか、一ファンとして予想がつかず、とても楽しみだ。
コーチの皆さんにもレースを振り返っていただきました。
◯大石港与コーチ
出雲駅伝後の率直な感想として「選手もスタッフもちょっとまずいなっていうのは当然思った」と振り返り、夏合宿の疲労がうまく抜けたことが今大会の好走に繋がったと分析。MVPについては「最後100~200㍍ぐらい襷を取ってからの頑張りかなと思ってます。頑張りが後ろに繋がっていったのかな」と、吉居の名前を挙げた。
また、優勝した駒大との差について、5区で区間賞・区間新記録をマークし、「MVP賞」に輝いた伊藤の名前を挙げた。「やっぱりあそこは効いている。そういう走りをできる選手がいれば」と語り、箱根駅伝での優勝に向けて、一区間でレースを動かし、差を生み出す走りができる選手がうまれるかがカギになると予想した。
◯花田俊輔コーチ
出雲駅伝で10位に終わったことについて、「箱根に向けていい形をもう一度作る」ことを意識した中で、3位以内という目標に向かって「活躍すべき選手が、まずちゃんと活躍しないと」と危機感がチーム内にあったと振り返った。
MVPについて、コーチ陣の総意として1.2区の走りが大きかったとした上で、1年時の箱根駅伝10区に出走して以来となった「バースデー区間賞の柴田くん」を挙げた。久々の出走での区間賞獲得に「頼もしい、今後が楽しみですよね。」と期待を寄せた。
◯山本亮コーチ
今大会のMVPについて、「なかなか難しい」としつつ、溜池と藤田の名前を挙げた。一人目の溜池について、区間賞にはわずかに届かなかったが、「とんでもない走り」「エースの意地を見せてくれた」と最大限評価。二人目の藤田は「全体の流れを決定づけた」ことを評価し、前半2区間の流れを生かしながら後半区間の好走に繋がる走りになったと振り返った。
出雲駅伝で苦戦した選手の立て直しに成功したことが総合2位に結びついたと語り、「3位以内を狙う流れで、棚ぼたじゃなくて戦い切って勝ち取った価値のある2位だった」と、選手自身の力で得た順位だと強調した。
(記事・写真:遠藤潤、山崎響、要明里沙、功刀萌恵、琴寄由佳梨、藤本佳野、大日方惠和、日向野芯、日原優、土屋日向、大畠栞里、酒井奏斗、手代木幸、伊藤凛音)



