• Twitter
  • facebook
  • instagram

【航空部・新人戦前インタビュー】出場するパイロット2人に聞いた”グライダー競技の大会と訓練” ~横山侑哉・民谷祥涼~

9月9日から15日まで岐阜県梅津市の木曽川滑空場で第26回全日本学生グライダー新人競技大会が開催される。中央大学航空部から出場する2人のパイロット、横山侑哉(経2)と民谷祥涼(法2)を今回取材し、グライダースポーツの大会の特徴や大会にかける思いなどを聞いた。

____________________________________

(取材・構成:桑沢拓徒・湊谷昂太郎)

 

新人戦に出場する横山侑哉(左)と民谷祥涼

 

――新人戦という大会の特徴は
横山「僕らはまだ練習許可証という、いわゆる仮免許を持っているような状態なんですけれども、その人たちでも出られる大会というのが特徴的で、今後行われる関東大会だったり、全国大会だったりはきちんとした免許を持っていないといけない大会というのが大きな違いです」
「僕らが出る新人戦という大会と関東大会、全国大会との違いは、操縦の丁寧さとか、どこまで基本的なことができるのかというのを見られるのが新人戦。関東大会とか全国大会は基本的なことができた前提で、決まった3点を周回してくる速さを競うというのが大きな違いになります 」

民谷「新人戦は後ろに教官が乗るんですよ。2人で飛ぶので前がヘマしようと修正とかしてくれて、それも含めて、常に後ろに教官が乗っている状態で、自分の所作全てが点数化されるので減点とかいろいろあるんですけど、関東大会とかは基本1人乗りの機体に乗って、3点決められたポイントをいかに早く回れるか、安全に回れるかというのを競うんです」
「新人戦はフライトの着陸、離陸、途中の科目や着陸、離陸をどうやってそこまでもっていくかという総合的判断というか、自分のフライトが点数として可視化されてそれをみんなで競うという大会なので、ある意味で点数化するものが違うんですよね。関東大会とかだと3点をどんな形であれ、いかに速く回れるかなので」

 

――新人戦の結果は点数の形で
民谷「個人と総合優勝というのがあって、個人はみんなの中で一番大きな点数を取れば個人優勝できるんですけど、総合優勝は2人の得点を合算して、どの大学が一番かというのを競います。例えば片方の人が(個人で)1位を取ったとしても、もう片方の人が20位とかだと総合優勝は無理なので、2人がそれなりに高い順位を取らなければいけない感じですね」

 

――大会で使う機体は
横山「中大はどっちも持ってはいるんですけど、1機は今壊れてしまっている状況なので、具体的な名前で言うと『ASK13』と『ASK21』。いわゆる複座の練習機で王道な日本でよく使われているものではあって、2機とも僕らは乗ったことがあるので、いつも通り飛ぶと言ったらあれですけど、機体ごとの特性はちょっとずつ変わってくるのですが、すごく差があって大まかに変わってくるということはないので、そこのところはその2機を乗ったことのない人、どちらかにしか乗ったことのない人もいるので、そこに比べると差はできるのかなと」

民谷「慣れないことをするのはどんな時でもなかなか大変だと思うので、一度体験したことがある機体に乗れるというのはアドバンテージであるかなと思いますね」

▲中大航空部保有のASK21

 

――後ろに乗る教官というのは
民谷「基本的に関西の方なんですけど、たぶん関西の中でも大会とかの採点をしてきた人だろうと思っているので」
横山「滑空場ごとにちょっとした特性があるので、教官もそこで何回か飛んで、その地形とかを完熟していくんですね。そういうのを行った教官というのが後ろに乗っていただく形になって、新人戦は行っていくと思います」

 

――採点においてもプロのような
横山「おそらくそうですね。同じ人がずっと審査をするので、そこで差が生まれるってことはあまりないです」

 

――訓練の中で大会に向けての練習を行うのか
民谷「地形的要因に関しては、やはりここ(妻沼滑空場)と向こう(木曽川滑空場)が全然違うのでその練習はできないんですけど、それ以外の離陸した後の科目でどのような形で飛ぶのか、何をやるかとかそういうことはあらかじめ準備できるので準備しながら、今1週間前のこの合宿の段階でもそれに向けたフライトの組み立てを行って飛んでいますね」

 

――実際に飛びながら会場で飛んでいるのをイメージしていると
横山「同じように、こっちでなぞってみて実際それが可能であるかとか、飛んだときにどこまで上がれたかとかあるんですけど、そこの部分も滑空場によって変わってくるので、自分が立てた『こういう風に飛ぼう』というフライトプランが可能であるかとか、それが終わった時点でどういうところにいるのかっていうのをここで試してみるという感じでやっています」

民谷「地上と違って大きく異なるのが『ちょっと待て』ができないんですよね。車だったら止まればいいですけど、上だとずっと飛んでいないとだめなので、その瞬間瞬間でどうするのか自分で判断していかないと、最終的にどん詰まりの状況になる可能性もあるので、それが難しい点でもあり、面白い点とも思います」

 

――対策の重要性は
民谷「まずやはりグライダーという乗り物が特殊なので、乗れば乗るほどうまくなるんですよ。車もそうだと思うんですけど。大会に出るにあたって、出る人が『この人何回乗ってるよ』というのが全部出て、結局その『何回乗ってる』っていう順位通りに割となるらしくて、それはあるんですけど、点数が小数第1位までつくので、その細かい点で順位が決まることもあるんですけど、そういうところは事前の準備で大きく差が出るからなんですよね。自分である程度、準備しておくことによって、向こうで落ち着いて飛べることができると思います」
横山「会場と完全に一致することはできないので10割準備することはできないですけど、練習することによって9割9分まで準備して、後は地形を見て向こうでは同じように飛ぶだけっていう風にすることはできるので、そんなにこっちでばかり飛んでいるから、向こうに行った時に飛べないということはないです」

 

――大会に出ることはいつ頃決まったのか
民谷「1大学、基本2名まで出られて……」
横山「事前に決まっていたということはないですけど、事前に意識はしていた状態で、自分たちが指名されてもいつでも対応できるようにっていう感じにはしていましたね」

 

――大会の目標は
横山「今まで中大はまだ総合優勝ってところとか、個人優勝も誰もしていなくて、そこを狙う部分ではいろいろな人から聞き込みとかは行っています。多くの場合、慶應とか早稲田とかそこら辺がやっぱり強くて、個人優勝、総合優勝を取ってくるので、そこを目指しているのと、プラスここ(横山・民谷)の間でも競えたらなという感じで思っています」

民谷「正直、フライトの課題とやはり飛んだ回数が如実に順位に出ます。その我々の今までのフライトの回数的にも全然上位は狙える回数であるので、積極的に」
「あと新人戦は大会で競うという面もあるんですけど、他大学と一斉に集まって、なかなか交流できる機会もないので、その”外交”という面でも割と大事な大会ではあります。大会に出るということはそれなりにできる人たちなので、将来主将とか、エースとかになるような人がみんな来るので、そこで仲良くなっておくと、後々のいろいろな調整とかでもうまくいくという感じなので、すごく大事な大会ですね」

 

――得意な技術や「ここだけは負けない」というところは
民谷「自分はけっこう落ち着いていろいろ物事を判断できるタイプだと思っていて、フライトの内容自体は飛んでいれば飛んだだけうまくなるんですけど、その落ち着きっていうのはやはり個人の性格とかもあると思うので、なかなか他の人にはないところとしては落ち着きかなと思います」

横山「僕はさっき『グライダーは上空で止まれない』という話があったと思うんですけど、そこに関しての瞬間的な判断力というのはだいぶあるかなと思っていて、例えばどんな速度で飛行するのか、『この高度だからこうしよう』みたいな判断というのは、わりかし鋭い方かなという風には思っています」

 

――最後に大会での意気込みを
横山「もちろん優勝は狙いますし、会場の滑空場自体初めて行くので、そこの滑空場や地形の楽しみ方を発見したいなと思っているのと、同じ機体と言ってもちょっとずつ差はあるので、そこの差を楽しみたいというこの三つの部分を感じて、楽しいフライトができたらなという風に思っています」

民谷「フライトの完成度が問われる大会であるので、いつも通り自分がやってきたことをその場でもいつも通りやるというのが自分の目標です。そうすればおのずと順位もついてくると思うので、落ち着いて頑張りたいと思います」

 

Twitter(@chudaisports
Instagram(@chuspo_report