三大駅伝の初戦となる第35回出雲全日本大学選抜駅伝競走(出雲駅伝)が2023年10月9日に開催される。出雲大社から出雲ドームまでの6区間、45.1キロのコースに21校が集結。昨年は9年ぶりの出場で3位表彰台に輝いたが、今年の目標は三大駅伝三冠。もちろん出雲駅伝も目指すは「優勝」だ。
メンバーは4年生の3人柱である吉居大和(法4)、中野翔太(法4)、湯浅仁(経4)が順当にエントリー。今年の成長株であるスピードが武器の浦田優斗(経3)と吉中祐太(文2)もメンバー入りした。阿部陽樹(文3)、溜池一太(文2)、吉居駿恭(法2)は昨年の出雲駅伝も出走済み。そして1年生の柴田大地(文1)と本間颯(経1)が加わり、盤石の布陣だ。(記事:二村沙羅)
安定感の溜池、期待の吉居兄弟
溜池は9月16日に開かれた日本学生陸上競技対校選手権大会(日本インカレ)の5000m決勝で5位入賞を果たした。昨年の出雲駅伝で溜池は1年生ながら5区区間2位。今年の箱根駅伝でも1区区間2位で安定感も兼ね備えている。溜池は「出雲はスピードで自分の得意分野」と語り、希望区間は「5区でリベンジか6区で自分が優勝を決めたい」と思いの強さを語る。しかし、9月30日に新潟で行われたアスレチックスチャレンジカップ5000mでは13分56秒29で全体13位。連戦となるなかで当日までにどのように仕上げてくるのか。
▲「区間賞をとりたい」と話す溜池
アスレチックスチャレンジカップ5000mでは、吉居駿が中大歴代2位の13分22秒01で1位、自己ベストを更新した。「わりと余力をもって最後切り替えられたので満足できるレースだった」と振り返り、これから始まる駅伝については「駅伝は苦手意識があるのでチームに迷惑かけないように走りたい」と控えめな発言を残すにとどまった。
同レースには中野も2着の13分28秒04でゴール。今年7月にも13分24秒11をマークしており、高いレベルを維持している。
▲ガッツポーズでフィニッシュした吉居駿
吉居大は10月1日にラトビアで開かれた世界ロードランニング選手権に5kmの部門に出場し、14分11秒のタイムに終わった。出雲駅伝に出場となれば海外レースから約1週間での調整となるが、藤原正和駅伝監督は「世界大会から帰ってきてどれくらい仕上げるかなど見えづらい部分は多い」という。一方、吉居大は「昨年三大駅伝で全て区間賞を取ることができた。もちろん今年もそれ以上の結果を狙っている」と意気込んでいた。
藤原監督は「チームとしては三冠を目指しているので、しっかりと出雲から取れる状態を作っていきたいなと。出雲全日本は新しい戦力を試しながら取りたい」と言う。吉居大の出走、また浦田や吉中、1年生など新戦力の起用にも注目であった。
中大記録会に本間、柴田
しかし10月7日の大矢運送杯中央大学記録会ではエントリーメンバーであった本間、柴田が出走し出雲駅伝の出走メンバーは8人に絞られた。記録会では本間が28分49秒98、柴田が28分59秒25とともに28分台を出し意地を見せ、今後につながる走りとなった。
レース後、本間は「出雲駅伝(のエントリーメンバー)に選んでいただいたが、出雲には行けなくて10人から8人に選ばれるところで自分と柴田が落ちてしまった。それで今回中大記録会に出ることになったが、出雲駅伝0区だと思ってチームに勢いがつけれるような走りがしたいと思って出場した」と今年の中大の強さを象徴するようなコメント。柴田も「チームとして三大駅伝三冠を目標に掲げているので自分もしっかり走ってチームに貢献したい」と話した。
▲中大記録会に出場した(右から)柴田、本間
藤原監督「楽しみながら」
中大記録会後、藤原監督は翌々日に控えた出雲駅伝に対して
「我々はチャレンジャーだから楽しんで思い切ってやりなさいと、それで駄目だったら駄目でまた次努力すれば良いのだからと学生たちに言っている。冗談めかして阪神のやつを真似して「アレ」(優勝)とか言っているが、チャレンジャーの良さを出していけるレースができるような準備はできているのかな。ただ攻めのレースをやらないと絶対に勝てないので1区から攻めてやっていきたいなと思います」。
気になるメンバーの仕上がりについて
「仕上がりはかなり良い。新潟の5000mや世界ロードのレースで調整したメンバーとじっくりと作ってきたメンバーがいるが、両方ともかなり手応えを持っています」と明かした。
三大駅伝は「距離が伸びるにつれて自信がある」という。
初戦であり三大駅伝の最短距離でもある45.1キロのコースの出雲駅伝をどのように戦っていくのか、いよいよ中大陸上競技部の「三大駅伝三冠」の挑戦のスタートだ。