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Wエース区間賞で大健闘の往路2位! 藤原監督選手労う「想像以上の走り」─第99回東京箱根間往復大学駅伝競走 往路

 

▲往路フィニッシュ時の阿部

2023年1月2日 東京・大手町~神奈川・芦ノ湖

「往路優勝に絡みたい」(藤原監督)と強い意志を持って臨んだ箱根駅伝往路。史上稀にみる大激戦となった2区で吉居大和(法3)、3区で中野翔太(法3)がそれぞれ区間賞を獲得し一時首位を独走。その後3位まで順位を落とすも、5区の阿部陽樹(文2)が粘りの山上りを見せ2位でフィニッシュ。惜しくも往路優勝はならなかったが、明日の復路へ向け第77回大会以来22年ぶりの表彰台が大いに期待できる結果となった。(記事:小幡千尋、写真:杉浦瑛俊、古川紗菜、石坂明日香、小野裕司、鈴木咲花、鈴木佐和、角谷優希、松本あゆみ、井口縁、志水恒太、中島遥、朴泰佑、石井悠樹、高梨晃世、琴寄永里加)


◆大会結果◆
①駒大  5時間23分10秒
②中大 5時間23分41
③青学大 5時間25分13秒

1区 21.3km 溜池一太(文1)1時間3分2秒 区間4位
2区 23.1km 吉居大和(法3)1時間6分22秒 区間1位=中大新記録
3区 21.4km 中野翔太(法3)1時間1分51秒 区間1位=中大新記録
4区 20.9km 吉居駿恭(法1)1時間1分48秒 区間5位=中大新記録
5区 20.8km 阿部陽樹(文2)1時間10分37秒 区間3位=中大新記録

藤原正和駅伝監督は往路の区間配置について、「2週間くらい前にはこれでいこうというのが頭の中にできてきていて、10日前の20 ㌔ くらいの練習をした時にこれで戦うというのはだいぶ決まりました。最初は中野を2区で行こうかと思っていたのですが、大和の方がいい練習ができていたので2区に起用しました」と話し、Wエースの起用については、「2人のエースのどちらかを2区で戦わせて、3区でアドバンテージを得るという考えはずっと持っていた」と語った。そして、レースは実際に2区3区で首位を死守し、往路2位へ弾みをつけることになった。

▲1区4位と健闘した溜池

1区を任されたのはルーキー溜池一太(文1)。序盤学生連合の新田颯(育英大、4年)が抜け出すも、2位集団はスローペースのままレースが展開された。「他の大学が出ても自分は駒大と青学大との差だけを意識していた」(溜池)。その後17㌔過ぎ、溜池が仕掛け2位集団の先頭に立つも明大の選手らに飲まれてしまい、区間4位で襷(たすき)を繋いだ。「自分自身余裕があり、いけると思ったタイミングで行っていいと言われて仕掛けたが、一気に体が疲れて動かなくなってしまい、明大の飛び出しに反応できなかった」と振り返った。また今シーズンについては、「駅伝シーズンで全部で区間賞を取ることが目標だったが、全く歯が立たず悔しいシーズンになった」と悔しさをにじませた。
▲2年連続区間賞の吉居大

続く2区は当日変更で絶対的エース吉居大が出走。駒大の田澤廉(4年)や青学大の近藤幸太郎(4年)、順大の三浦龍司(3年)など各校のエースが勢ぞろいした花の2区は予想を上回る大激戦となった。吉居大は襷(たすき)を受け取ると、一気に先頭の駒大をとらえ首位に立ち、10㌔を28分ちょうどで通過。その後12㌔過ぎ、田澤に先頭を譲り近藤との並走が続くが、21㌔過ぎにはまたも駒大をとらえ、ラスト1㌔は三つ巴の激しいデッドヒートを繰り広げた。「本当に苦しくて、最後までペースを上げられないかなと思ったんですけど、一緒に頑張ってきた中野が待っていてくれるというのがあったので、最後思いっきりいけました」(テレビインタビュー)と語ったように、中継所目前、吉居大が一気に抜け出し、首位で襷(たすき)リレー。激戦を制し、見事に区間賞を獲得。また、藤原監督が持つ区間中大記録も更新し、前回大会に引き続き圧倒的な強さと存在感を見せつけた。レース全体について吉居は、「後半坂が苦しいのはわかっていたが、やっぱりどうしても自分は(区間賞を)掴みたいというのがあったので、前半から積極的に行った。」と振り返り、区間賞については、「ラスト1㌔切ってから分からないような状態だったが、藤原監督から秒差で争いしているという状況をラストの声かけで伝えられので頑張れた」と語った。

▲大学駅伝初の区間賞を獲得した中野翔

続く3区は復調を遂げた中大の二大エースの一角、中野翔が同じく当日変更で出走。「全日本を飛ばしてチームに迷惑をかけたので、箱根では結果を出さないと、貢献しないと、という気持ちだった」と語った中野。18㌔過ぎには21秒あった差が徐々に縮まり、青学大や駒大が迫っている状況であったが、首位で受け取った襷(たすき)を一度も順位を落とすことなく4区に繋げ、吉居大に引き続き見事区間賞を獲得した。「大和が区間賞を取ったというのを走っているときに藤原監督から聞いて、僕も取るんだという気持ちだったので取れてよかった」と大学駅伝初の区間賞を振り返った。

▲懸命な走りをみせた吉居駿

4区を任されたのは今季出雲、全日本に続き三大駅伝すべてに出場することとなったルーキーの吉居駿恭(法1)。後を追う鈴木芽吹(駒大3年)から必死に逃げるも、7㌔地点で捉えられ2位に後退。「ふくらはぎに10㌔過ぎくらいから痙攣(けいれん)がきて、ペースが上がったときに対応できなかった」とレース後振り返ったように、その後なかなか立て直せず青学大にも追いつかれる展開となり、小田原では順位を2つ下げ3位で襷(たすき)リレー。それでも大きく落とすことなく区間順位は5位で終えた。レース全体について、「初めての20㌔ですごく不安で、走り切れるかわからなかったので、何とかゴールまで走り切れてよかったですが、もう少し粘っていれば阿部さんが楽できて、もしかしたら優勝できたんじゃないかなというのがあるので、そこは少し悔やまれます」と語り、コンディションについては「全日本から少し抜く機会がなくて、疲労が少し溜まってしまっていた。(出雲や全日本の後)悔しさがあって練習、練習となってしまったので、そこの抜くべきところがしっかりと抜けていなかった」と原因を振り返った。また、次に向けては「自分も兄のような、苦しいところでもう一度上げられる走りを目指してきつい練習もやっていきたい」と意気込みを語った。

▲最後まで粘り強い走りを見せた阿部

迎えた5区山上りは、2年連続で阿部が出走。「前半早めに追いついた方がいいかなと思っていたので、気持ち早めに入って、少しでも追いつこうと思いました」と語ったように、4㌔過ぎに青学大の脇田幸太朗(4年)をとらえて2位に浮上。小田原で38秒あった先頭の駒大との差も13㌔小涌園前までには19秒まで縮めたが、その後はなかなか距離を縮めることができず、トップと31秒差でフィニッシュ。だが、目標としていた70分台で走り切り、区間3位と好走を見せた。レースを振り返り、「往路優勝が狙える位置だったというところでは、そこを逃してしまったのはやはり悔しい」と思いを口にした。

レース後、藤原監督は「勝てなかったというところは、中野の最後の10秒、20秒の絞り出しと、駿恭を良いコンディションで送り出せなかった、その差が出てしまったかなと思います」と話し、吉居駿に関しては「体調が良くないというより、出雲と全日本で両方エース区間を走っていて、なおかつ1年生というところで『溜め』が無くなるだろうなと思っていました。いい練習を積んで調子が上がるというよりも、 調整して調子を上げたということです」と語った。

また大石港与コーチは「駿恭については個人的には一番心配していたんですけれども、 芽吹と一緒に走った方が駿恭は力が出せるなと思っていたので、いい展開ではありました。最低限前が見える位置で、阿部が頑張れる位置で帰ってきてくれて良かったです。阿部は最後辛かったと思うんですけれども、去年の経験も活かしながらやってくれたなと思います」と振り返った。

往路を2位という結果で終えた中大。結果について藤原監督は「勝ちたかった。最後は指導者の差が出たかなと思います」と悔しさを滲ませるも、往路を走った選手については「想像以上の走りをしてくれて、そこに関してはピーキングも上手くいっていた」と語る。明日の復路については、「6区の若林でしっかりと追いついて、7区からよーい、ドンという形でいきたいなと。駒大の佐藤圭汰君がどこに入るかによってだいぶ変わると思う。うちも何枚か残しているのでどういう投入の仕方にするか、調子を見て考えていきたい」と意気込んだ。

今年は総合3位以内を目標としている中大。惜しくも往路優勝には届かなかったが、確かな選手層と実力を証明するレースとなった。明日の復路も実力のある4年生らが揃う。22年ぶり悲願の表彰台へ、大躍進をみせる中大の走りに注目が集まる。

◆お知らせ◆
復路は明日1月3日8時に号砲を迎えます。

※選手コメント全文は復路とあわせて後日配信します。

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