2025年8月22日 北海道・モエレ沼公園野球場
前日今大会最大の山場、明大に2―1で勝利した中大。しかし、その背後には再び険しい峠が待っていた。普段からリーグ戦で対戦経験のある国士大との一進一退の攻防戦は終盤までもつれるが、最終回に岩井大和(経4)の放った適時打が中大に軍配を上げる決勝点を呼び込んだ。昨年をほうふつとさせる岩井のプレー、また葛西陸(文1)や三浦凌輔(商3)の投手陣が気を吐いて、3年連続の準決勝進出を果たした。
中大は開始早々試合を動かす。先頭の相野七音(文4)と吉井愛斗(経3)が安打で出塁すると、1死一、三塁から山口剛大(文3)がショートゴロの間に相野をかえして幸先良く先制した。
先発・葛西は前日の明大戦で1イニング持たずに降板してしまったが、「やっぱりコースにしっかり投げることだけを意識していけっていう風に全員から言われてたので、そこだけは絶対にやり切ろう」と初回から3者凡退で抑え続け、四球や味方の失策でランナーをためても落ち着いて後続を処理して、4回を投げぬいた。
▲4奪三振、被安打1と好投した葛西
6回には葛西からマウンドを引き継いだ齋藤舜介(商2)が国士大打線に捕まる。先頭の2打者に安打を浴び、さらに犠打も絡んで1死二、三塁と逆転のピンチを招く。中大は三浦に投手交代。しかし次の打者がライト方向へフライを上げた。守っていた村上太一(経1)の返球むなしく1点を献上してしまう。なおも逆転のランナーを背負うが、三浦は後続を断ち切り、最小失点に食い止めた。
なんとか追加点を得たい中大だったが、3回から登板した相手投手・田崎を前に安打はわずか1と完全に打線が沈黙。両者ロースコアのまま、点が入らない平行線へともつれ込んだ。
しかし中大は8回にこの日最大のピンチを迎える。2死まで追い込んだものの、直後のバッターを四球、さらに2つの安打で満塁とされてしまう。一打出れば逆転され、連覇が絶たれる窮地だったが、次のバッターを村田が冷静にさばいて無失点で切り抜けた。
▲再三のピンチを切り抜けた三浦
8回のピンチをしのいだ中大は9回表の攻撃へ。何としてもこの回で得点を決めたいところで、先頭の相野が内野ゴロ悪送球の間に一塁に飛びつき、セーフをもぎ取った。さらに村上が「もう覚えてないくらい緊張した」と言いつつも初球で犠打を成功させ、吉井が四球、堀川琉空(文2)が単打で続いた。1死満塁の絶好機を迎えて打席に立った岩井。攻撃のタイムで小泉監督からのアドバイスを受けて「そこでふっと冷静になれた」と5球目を打ち返し、内野の上を越える二塁適時打を放った。2人をかえした岩井は塁上で歓喜した。
▲勝ち越し打を決めた岩井
昨年の全日本大会、日大との1回戦。岩井は直前のバッターを敬遠された場面で打席に立ち、ライト方向へ適時打を放ち、追加点を呼び込んだ。あの時をほうふつとさせる岩井のプレーで待望の2得点。勝利を呼び込む一打となった。
最後は三浦が3者凡退に抑えて3―1で勝利。3年連続で準決勝進出を果たした。
まれに見る接戦を終えて小泉監督は「みんなで耐えて勝ったに尽きる」と選手をねぎらい、「国士舘さんも勢いがあって、絶対に(攻撃を)緩めてこないってのは分かってたんで、絶対にディフェンスだけは100パーセントできることを徹底してやるってことで話してた(中略)選手、ベンチも含めて守備の指示とかしっかりできてたかなと。評価したいですね」と顔をほころばせた。
また全日本初スタメンで9回に得点に結びつく犠打を決めた村上は準決勝に向けて「4年生が泣いてる姿はちょっと見たくないなって思うので、自分にできることをしっかりやりたい」と意気込んだ。勝ち越し打を放った岩井は「差し入れにしてもそうやし、足を運んでくれるのもそうやし、そんな簡単なことじゃないっていうのはすごく痛感してるんで、ほんとに感謝の気持ちしか今はないです」と応援に駆けつけている親御さんに改めて感謝し、「次の試合も1戦1勝で」と前を向いた。
少ないチャンスをものにして、勝ち切った中大。連覇まであと2勝。連日のようにしびれる試合を繰り広げる彼らに勝利の女神がほほ笑む日は近いだろう。
◆試合結果◆
〇中大 3-1 国士大●
チーム 123 456 789 計
中 大 100 000 002|3
国士大 000 001 000|1
(記事:大日方惠和 写真:浅野詩多)
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