2025年11月21日〜11月23日 福岡・北九州市立総合体育館
北九州市の市立総合体育館にて全日本学生選抜卓球選手権大会が開催された。予選はリーグ戦、決勝はトーナメント方式で行われ、男女それぞれ8ブロックに分かれて実施。予選リーグを1位・2位で突破した男女16名が決勝トーナメントに進む。中大からは男子が青山貴洋(文3)、前出陸杜(商3)、道廣晴貴(文3)、石山浩貴(文1)、小野泰和(文1)の5名、女子が枝廣愛(商4)、香取位圭(文4)、吉岡桜子(文4)、武山華子(文3)、吉松寿莉(文3)の5名が出場した。男子は前出、道廣がベスト8、他3名がベスト16、女子は2名がベスト16入りを果たした。一年の締めくくりともなる今大会を振り返り、来年度への思いも聞いた。
▲ベスト16入りの石山
●個人戦振り返り
【男子】
今大会の出場条件は「当該年度全日本大学総合卓球選手権大会・個人の部(※以下、全日学)シングルスランキング16位以内」「前年度全日本学生選抜ベスト8以上」などレベルが高い。その中で1年生のスーパールーキー小野・石山が見事出場権を獲得。ベスト8決定戦では、小野が谷垣(愛工大)、石山が同じ中大の先輩・前出と対戦した。ともに粘りを見せたものの、相手の勢いを止められず0ー4で敗戦。しかし、初出場で堂々のベスト16という結果を残した。
▲小野は谷垣と対戦
青山も明大の木方にストレートで敗れた一方、ベスト8入りを果たしたのは全日学準優勝の前出と、今季調子を上げている道廣の2人だった。
道廣は今年、春季リーグ4勝2敗、秋季リーグ6勝1敗、全日学ベスト16と昨年から大きく成績を伸ばしている。今大会のベスト8決定戦でも鈴木(愛工大)とデュースを何度も繰り返す接戦を制し、4ー2で勝ち切った。「2年生の時は思うような結果が出なくて、(今年は)練習を去年の倍くらいやってきたつもり。だから今、しっかり成果が出ているんだと思う」と自身の成長を語った。
▲道廣はベスト8を決めた
ベスト4決定戦の相手は、全日学で敗れた谷垣(愛工大)。大学卓球界で常に上位に君臨する相手の圧倒的な力を前に、1ー4で敗れた。「全日学の時はけっこうギリギリで負けたんですけど、今回は前回やったことをしっかりやろうって思ってたんですけど、相手が一枚上手でしたね」と振り返る。来年4年生となる道廣の目標は、「やっぱり個人っていうよりチームに貢献したいと思ってるので、チームではグランドスラムが目標です」。「一枚上手」と語った強敵へ、来年どう立ち向かうのか期待が高まる。
▲谷垣の壁は高かった
前出はベスト8決定戦にて後輩である石山との対戦に臨み、持ち味の攻めを貫いてストレート勝ち。続くベスト4進出をかけた試合では、早大・濵田尚との激しいラリーが続く展開となった。果敢にポイントを重ねたものの、あと一歩届かず2ー4で敗れた。全日学で2位だったこともあり、今大会では目標を優勝に置いていた前出だったが、「ベスト8で終わってしまって不甲斐ないっていう気持ちもありますが、それが今の実力かなとは思いました」と試合後に語り、自身の力を冷静に見つめた。
▲後輩の石山と対戦
【女子】
女子は吉岡がAブロック3位、武山がFブロック4位、吉松がBブロック3位で惜しくも予選敗退。決勝トーナメントに進んだのはエースの枝廣と、主将の香取だった。
前回大会で優勝した枝廣は、2連覇を掲げて専大の首藤と対戦。デュースに持ち込む粘りを見せたものの、「自分自身の調子が上がらなかった」と振り返ったように2ー4で敗れ、ベスト16で大会を終えた。試合後はこの4年間について、「1〜3年生で結果がパーンと出ちゃって最後の4年生であまりパッとした結果が出ず、少し悔しい気持ち」と語り、胸中を明かした。
▲中大のエース・枝廣。4年間チームをプレーで率いてきた
香取は小林(青学大)に1ー4で敗れ、枝廣と同じくベスト16で大会を終えた。1年間、主将としてチームを率いてきた香取は、「インカレもリーグ戦も優勝できなかったので、キャプテンの仕事としては残念だったんですけど、やっぱりキャプテンやったことですごく色々な経験ができたし、新たな挑戦もできたので、やって良かったです」と語る。
自分自身を「あまり前に出るタイプじゃない」とする香取、主将としての立場に難しさを感じたこともあったが、「絶対にみんなに示さないといけないから。“やるしかない”という気持ちで指示出しも頑張りました。周りだけじゃなく、自分自身もすごく成長できたと思います」と振り返った。
▲キャプテンという立場が自分自身を成長させたと語る香取
●来年のチームについて
年の瀬が近づき、卓球部も来年から新体制となる。主将は男子が青山、女子が吉松が務める。
目指すチーム像について、青山は、「チームがめちゃくちゃ強い上に、層も厚いので、もっと底上げをしてリーグ戦やインカレで優勝することができたらなと思ってます」と意気込む。男子は今大会も決勝トーナメントに5名が進出、加えて、5名全員が来年も残る。全日本インカレ団体戦では総合優勝も果たしており、青山の言葉の通り、さらに力を底上げすればグランドスラムも現実味を帯びてくる。
▲次期キャプテンの青山はベスト16
一方女子は、結果だけでなく、まずはチームの土台作りに重きを置く。
副将として吉松を支える武山は、「インカレとリーグ戦は優勝できるように目標掲げてやるんですけど、今後社会に出た上で、社会に貢献できるような人間の部分からまずは成長させてあげられるようなチームにしていきたいなって。だから、今まで以上に厳しいことも言ったりとか、社会に出たときにっていうのを関連付けて、色々指導することが多くなると思うんですけど、そういう面で、まず私たちの学年がちゃんと理解してやっていくことと、それに着いてきてもらえるように、やっていこうかなって今は考えてます」と語る。
次期主将の吉松も、「強いだけじゃ、卓球の人生が終わった後に何もならないので、社会的な常識を持っていたりだとか、色んな人に応援していただくために感謝の気持ちを持つこと、謙虚であることだったり、そういう側面で頑張っていけると、今上手くいかなくて勝てなくても、実力が着いてくるんじゃないかなって思ってます」と話し、「結果を残す」という目標だけでなく、今後の選手のためにも「人として成長できるチーム作り」を目指していく。
●終わりに
力を伸ばし、より高い結果を出したい男子。結果とともに人間性へもアプローチをしていきたい女子。来年度は男女でチームカラーが大きく変わるかもしれないが、一人一人が卓球と全力で向き合っている姿勢は、男女も今も昔も変わらない。自分自身のために、そしてチームのために、来年度も中大卓球部は白球を追い続ける。新たな一年、卓球部がどう自分たちの卓球と向き合っていくのか、今から楽しみだ。
●結果
【男子】
〈決勝トーナメント〉
前出陸杜(商3) ベスト8
道廣晴貴(文3) ベスト8
青山貴洋(文3) ベスト16
石山浩貴(文1) ベスト16
小野泰和(文1) ベスト16
【女子】
〈決勝トーナメント〉
枝廣愛(商4) ベスト16
香取位圭(文4) ベスト16
〈予選リーグ〉
吉岡桜子(文4) Aブロック3位
武山華子(文3) Fブロック4位
吉松寿莉(文3) Bブロック3位
(記事・写真:功刀萌恵、山崎響)
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