2024年11月17日 三重県・鈴鹿サーキット
今年度の集大成ともいえる全日本学生自動車運転競技選手権大会で中大自動車部は男子団体4位、女子団体優勝、個人でも輝かしい成績を残した。
「フィギュア」は運転技術を競う競技であり、自動車競技のほかの種目よりも一見地味に見える。しかし、そこには多彩な技術が必要となり奥が深い。タイムが速いことが一番の基準になるが、「接脱缶」や「同乗減点」という減点システムがあるのもこの競技の特徴だ。
オープン枠での参加となった石渡響(理工2)は「オープン枠で順位は残らないので、上手くいったら自分の一番速い走りをしようと思って減点とかなにも考えずにずっと攻めた走りをしてました」という言葉の通り、組トップのタイムでフィニッシュ。一方、タイム重視のレース運びによって総減点251点を受けてしまったため次回までの修正を目標にした。「来年は全関も全日もちゃんとした選手になって、順位もタイムも残していけるように頑張りたいですね」と来年度のさらなる活躍を目指す。
同じくオープン参加となった古橋陽太(経3)は同乗減点等あり、3位でフィニッシュ。3年生で初めての試合出場となった古橋。「先輩から教わったことを積み重ねて、練習で一番いい状態ぐらいがタイムとして出せたのがよかった」とレースを振り返った。来年ラストイヤーを迎える古橋の目標は、全日本優勝ただ1つ。チームの団結力がカギとなる。
▲ラインを見ながら慎重に走る野村(提供=早稲田スポーツ新聞会)
昨年度はオープン枠だった伊藤光翼(法3)、今年は選手として全日本初出場を果たした。「大学で練習していたコンディションと違ったなか、ゆっくり減点をなくすような走りで自分としては上手く走れたんじゃないかなと思います」。課題は丁寧に走ること。「動きながらシフトをいじっちゃいけないとか、急セーブ、急にぎゅっと止まるので結構減点されていると思うので、次回はそれをゼロにしなくてはっていう責任感を持っていきたいです」と語った。
続いて普段はジムカーナやダートを主戦場に戦う野村飛美樹(国経3)が男子貨物の部Aでフィギュアに初出場した。野村は「練習の未熟さが出てしまった、後悔が残っている」と接・缶・同乗の減点が響き8位でフィニッシュ。攻めた走りを見せたが、荒削りな部分が出てしまった。来年、ラストイヤーで狙うは総合杯優勝。優勝へ向けて避けては通れないフィギュアの腕も磨く。
午後に行われた女子の部では、女子貨物の部で古川佳愛(法3)が出場。大きな減点もなく、安定した走行で全関に引き続き種目1位という結果を残した。しかし自身では「緊張に弱いところ」が依然として課題だと試合後に振り返った。来年はラストイヤーとなる古川。「全日本総合杯をとって笑顔で終われたらな」と大きな目標を掲げた。
▲表彰台にあがった古川
乗用の部では、全関準優勝の武内結(法3)が出場。こちらは「普段使って練習している車よりもちょっとアクセルのレスポンスが悪かった」ということもあり同乗減点を受けるも、古川同様種目1位という成績を収めた。武内も古川と同じく来年がラストイヤーとなる。来年について武内は「なかなか最近優勝できてないジムカーナで優勝できるように」とジムカーナへの思いを語った。
▲表彰台で笑顔の武内
3月に行われた全関フィギュアで優勝し、今大会では優勝候補の筆頭だった小林隆典(国経4)は貨物の部Aで登場。タイムこそ全体の3位だったものの、接・缶減点もありリズムを崩して4位フィニッシュで表彰台を逃す結果となった。小林は、4年間の競技人生を「4年で全日本を取ってやろうと思っていたが、それが取れずに悔しい。(4年間を振り返ると)すごくいい先輩に恵まれたので楽しかった。後輩も育ってきているので、悔しさも残りつつも充実したなと思っている」と笑顔で振り返ってくれた。これからの中大自動車部に向けてのメッセージを聞くと「もう打倒早慶だけ。来年は力がある代。総合杯を取ってくれると思う」と期待を寄せていた。いつも笑顔で取材に答えてくれた小林。これからはOBとして、中大自動車部を陰ながら見守る。
▲慎重に走る小林
続いて男子乗用の部Bで出場したのは、小林と同様に今大会が学生生活最後の大会となる中山涼雅(経4)。「悔いの方が多く残る」と試合後に語ったように、接で2度、缶で1度、同乗減点で25点の減点を食らった。また、タイムに関しても「練習していた中では正直いい方のタイムではなかった」と後悔を口にしたが、それでも学生生活を締めくくるにふさわしい、種目別3位というすばらしい成績を残した。 今年度の自動車部主将を務めた中山。今年を振り返って「チームの人間に助けられた場面っていうのはすごく多くあったので、そういった部分では本当に恵まれた1年だった」と語った。車の不調によるリタイアもあった今年度、その中でもいい成績を残す後輩たちを誇らしく思うという言葉には、中山の主将として向き合った一年間が感じられた。
▲学生生活最後の大会を走る中山
様々な選手が口にした「総合杯」という言葉。「ジムカーナ」、「ダートトライアル」、「フィギュア」の3種目の年間総合成績で競う総合杯において、今年度中大は男子団体5位、女子団体2位という結果に終わった。来年、男女ともに総合杯優勝を目指す。今大会を最後に心強い4年生が引退する。しかしながら男子はダート・ジムカーナの野村、フィギュアの伊藤、そして女子の武内と古川。ほかにも多くの有望な選手が控えている。総合杯優勝で真の王者へ。大きいが、確実に近づいている目標に向かって中大自動車部は走り続ける。
◆試合結果◆
〈乗用の部〉
男子乗用の部A
③伊藤光翼(法3)
男子乗用の部B
③中山涼雅(経4)
女子乗用の部
①武内結(法3)
乗用オープンの部
③石渡響(理工2)
〈貨物の部〉
男子貨物の部A
④小林隆典(国経4)
男子貨物の部B
⑧野村飛美樹(国経3)
女子貨物の部
①古川佳愛(法3)
貨物オープンの部
③古橋陽太(経3)
(記事:大澤晶、小林想、山崎響 写真:関拓斗、小林想 提供:早稲田スポーツ新聞会)
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