• Twitter
  • facebook
  • instagram

2人の左腕が思いを繋いだ!完封リレーで優勝にまた1歩前進ー東都大学野球春季リーグ戦 対亜大3回戦

2024年5月17日 明治神宮球場

チーム 123 456 789   =RHE

中 大 100 000 010   =251

亜 大 000 000 000   =030

[中]今村、岩城ー野呂田

[亜]齊藤、北嶋、川尻ー田島

[本]なし

◆スタメン◆

1[中]橋本 航河(文1=仙台育英)

2[遊]佐藤 壱聖(経2=東日本国際大昌平)

3[一]繁永  晟(商3=大阪桐蔭)

4[左]櫻井 亨佑(商4=習志野)

5[右]皆川 岳飛(経3=前橋育英)

6[指]佐藤  豪(経3=藤代)

7[三]伊藤 櫂人(文2=大阪桐蔭)

8[捕]野呂田 漸(文3=秋田中央)

9[二]山本  聖(文4=鹿屋中央)

P   今村 拓哉(文4=関東第一)

 

前日の試合では初回に4点を失うも、粘り強い攻撃で逆転勝利に結びつけた中大。優勝に向けて負けられない試合、さらには今季初の3連戦という状況の中で亜大との一戦を迎えた。
初回から幸先良くリードを奪うと、先発の今村と2番手の岩城颯空(経3=富山商業)が亜大打線をシャットアウト。左腕コンビの完封リレーで勝ち点を3に増やし、リーグ制覇へまた1歩前進した。

逆転勝利の勢いそのままに、運も中大打線に味方した。初回、1死から前日公式戦初本塁打を放った佐藤壱聖がライト前にポトリと落ちる二塁打を放つ。その後、連続四死球で1死満塁となった場面で打席には5番皆川。追い込まれた中でも高いバウンドの遊ゴロを放ち、併殺崩れの間に1点を先制した。


▲この日3安打と好調を維持する佐藤壱

中大の先発は4年生の今村。前日の試合も中継ぎで登板した左腕が連投となるマウンドに上がった。初回、先頭の的場(亜大)に安打を許し、続く打者にも制球が定まらず四球を与え、無死一、二塁のピンチを背負う。それでも、徐々に落ち着きを取り戻し、3番笠松(亜大)から真っ直ぐで見逃し三振、4番西川からは初球で注文通りの併殺打を奪い、序盤のピンチを切り抜ける。2回以降、尻上がりに調子を上げていった今村。「落ち球で打ち取れたことが良かった」と語るように、低めに決まる変化球と140㌔前後のストレートを織り交ぜ、4回まで亜大打線に的を絞らせず、奪った三振は6個。前回登板の疲れを感じさせない内容で先発投手としての役割を十分に果たした。試合後、清水監督は「投球もそうだし練習、私生活の面でも下の子たちを引っ張ってくれている」と4年生左腕の快投をたたえた。


▲先発し4回無失点と好投した今村

5回から中大は継投に突入。今村から同じく左腕の岩城にスイッチし、逃げ切りを図った。今カード3連投となった岩城だが、「今村さんの良いピッチングの流れを相手に渡さないように」とこの日も力強い真っ直ぐにスライダー、スプリットを軸に終始ストライク先行で勝負を進め、7回までの打者9人をパーフェクトに抑える。テンポ良く亜大打線を封じ、初回以降得点から遠ざかっていた攻撃陣の援護を待った。


▲2番手で登板した岩城

岩城の投球から流れをつかんだ中大打線は8回、1番橋本が振り逃げで出塁すると続く佐藤壱がこの日3本目となる安打を放ち、1死一、三塁でここまで打点王の3番繁永。亜大2番手北嶋の高めのストレートをレフト前に弾き返し、中大に待望の追加点をもたらした。


▲追加点となるタイムリーを放った繁永

援護を受けた岩城はその後もマウンドへ。8回は先頭に四球を与え、2死三塁のピンチを背負うも、的場(亜大)からストレートで三振を奪い、ここも得点を許さない。9回も2死からエラーでランナーを背負ったが、動じた様子を見せずに5番芹澤(亜大)を最後は右飛に仕留めゲームセット。5回を投げて許した安打は0本。6奪三振無失点という圧巻の内容で試合を締めくくった。最後まで亜大打線を寄せ付けない完封リレーを披露した。


▲勝利の瞬間、両手を挙げる岩城

左腕コンビにはそれぞれ秘めた思いがあった。2番手の岩城は今季から背番号18を背負い、リーグ戦では開幕投手を務めたものの、その試合には敗れた。「あまりチームに貢献出来ていなくて、本当だったら自分がチームを勝たせるピッチングがしたいなという悔しい思いもあった。今日こういう形で貢献出来たことはすごく良かった」と振り返った。先発した今村は大学2年の夏にトミー・ジョン手術を経験。長いリハビリを乗り越えて最上級生のこの春にリーグ戦デビューを果たした苦労人だが、「純粋に投げてるのが楽しいですし、東京都出身なのでまた神宮のマウンドに戻ってこられて嬉しい」と思いを明かした。2人の気迫が生み出した“完封”劇。清水監督は「他の子たちに勝ちがついたりしている中でも今回投手陣を引っ張ってきてるのはこの2人だと思うし、最後こういう形で結果を出してくれたのはすごい良かった」とゲームを総括した。


▲4回、ピンチを切り抜け吠える今村

この勝利で勝ち点を3に伸ばした中大。現在首位の青学大が勝ち点を落とし、優勝争いは青学大・日大・そして中大に絞られた。運命のいたずらか、2年前に東都リーグ史上初となる「三つ巴最下位決定プレーオフ」の死闘を繰り広げた3校と同じ顔合わせ。中大が優勝するためには残り3試合で3連勝が絶対条件だ。清水監督は「選手たちはすごく成長してくれています。繋いで、一人一人が役割を果たそうっていう意識でやってくれている」とここまでの選手の活躍を評価した。この春見せてきた「繋ぐ」野球。勝負の最終週へ、繋ぐ姿勢を貫いた先に優勝の2文字が見えてくる。

◆試合結果◆
◯中大 2ー0亜大●

◆お知らせ◆
次戦は5月21日(火曜日)に明治神宮球場で行われる対日大3回戦です。

(記事:志水恒太 写真:髙梨晃世、齊藤さくら)

公式X(@chudaisports
Instagram(@chuspo_report