春は東洋大相手に入れ替え戦で見事残留し、この秋も長く続いている1部の舞台でプレーした中大野球部。この秋は春の最下位から見事躍進を遂げ、リーグ優勝の夢は叶わなかったものの2位でシーズンを終えた。成長を遂げた秋を終えた監督、選手たちは何を語るのか。17日間に渡り彼らの思いをお届けする。
連続インタビュー5日目は三奈木亜星選手(商1=浦和学院)。この秋は3登板と出場機会には恵まれなかったものの、リーグ最終戦となった対日大2回戦では好リリーフを披露し、春からの確かな成長をうかがわせた。強力投手陣のピースとして大きな期待がかかる三奈木に飛躍の2年目に向けた想いを語ってもらった。(取材、構成=志水恒太)
──秋季リーグを振り返って
秋はあまり試合では投げられなかったので、最後投げる事が出来て良かったです
──日程の関係もあって登板機会は多くなかったですが、もどかしさはありましたか
春は結構投げていて、その思いはあったので、もちろん投げたいとは思っていたんですけど、緊迫したゲームも多かったので、ある意味投げなくてよかったというか…
投げなくてよかったということはないですけど、結構緊張する場面があった、そんな感じです
──合計4球場で試合を行いましたが準備において何か意識したことはありますか
やっぱり環境とかは変わったので、マウンドからバッターボックスまでの景色っていうのは球場によって違うので、そこは試合前に確認ができれば、マウンドまで行ってどういう風に見えるかって事を確認して試合に入れるようにしてました
──今年は西舘(勇陽=法3・花巻東)選手や大栄(陽斗=商3・仙台育英)選手が数多く投げていたが同じ右投手として参考にしている部分はありますか
2人とも球が速くて三振が取れるピッチャーなので、まずは自分もストレートの質だったりを高めることを見本にしながら投げ方とか聞いたりしているので、それを追いつけるようにやって将来的に自分が2年後にはその存在を越せるようにしたいと思います
──リーグ最終戦の日大戦では好リリーフがありました。春からやってきたことの手応えは掴めましたか
やっぱり春はストレート主体というか、運任せで投げてた部分もあるので、秋はリーグ戦に入るまでだったり途中でも変化球の精度だったりちゃんと配球の中で組み立てるという事を意識してやっていたので、最初のピンチの場面では気持ちで押すっていう部分でしたけど、次の回はしっかり組み立てながら投げられたので良かったです。でも目標として150㌔出すっていうのがあったんですけど、あと1㌔足りなかったので来年は絶対にそこを越えようと思ってやっていきます
▲リーグ最終戦の日大戦で好リリーフを見せた三奈木
──今年のリーグ戦は全試合中継ぎでの登板でしたが、先発への憧れはありますか
将来的には先発してチームに勝ちをつけるようなピッチャーになりたいので、練習試合では先発で出たりもしたんですけど、もっと監督やチームの人たちに信頼してもらえるように、リーグ戦で少しでも先発できればなと思います
── 1年間ベンチ入りして感じた、高校野球と大学野球の一番の違いは
高校野球は大学野球と比べて全体的にレベルが一回り、二回り下になってくるので、1球で勝負が決まることもあるんですけど、例えばバッターで言うと1球のミスボールでも絶対に捉えてくるっていうのは多いわけじゃないけど大学は1球でもミスしたらヒットになってしまうとか、そういう1球の重さっていうのがありました
──そういった事を春に感じて、秋に向けて対応していったことはありますか
春はコントロールは少しアバウトに投げている部分があったんですけど、ただ投げてるだけじゃなくてちゃんと自分たちの意図で打ち取れている形を取れるように、コントロールっていう部分では意識してやってきました
──1年生の選手が数多くスタメン出場しているが刺激にはなりますか
同じ1年生が試合に出て頑張っているので自分も同じ舞台に立ってやりたいなって思ってます
──1年間ベンチに入って、春と比べて成長出来たと感じる点はありますか
技術面で言ったらやっぱりコントロールですね。あとは配球の組み立ての中でピッチングが出来るようになってきたと思います。精神的には、春は入部したばかりでピンチの時には緊張してしまっていたんですけど、秋季リーグ最後の日大戦で投げた時には緊張というよりはいつも通り、冷静に投げる事が出来ました
──リーグ戦終盤は優勝争いの中での試合が続きましたがベンチの雰囲気はどうでしたか
やっぱり4年生も最後だったので、全員が優勝したいという想いも強かったと思いますし、自分がブルペンの方のベンチにいても、みんなが1球に対して応援するという姿がいつも以上に見えました
▲力強いストレートを武器に1年生からブルペンを支えた
──大学生活1年目を振り返っていかがでしたか
結構勉強が難しくて、文武両道も学生なので大事ですけど、前期は単位を落とさなかったですし今のところは上手くいっているので、これを継続してやっていければ良いなと思います
──惜しくも2位に終わりましたが今年の中大野球部はどのようなチームでしたか
4年生にキャプテンの北村(恵吾=商4・近江)さんと森下(翔太=商4・東海大相模)さんがいて、その2人を中心に皆が、打線だったらチャンスで回すだったり、そういうチームの顔となる人がいて、他のメンバーがそこについていくというチームだったと思います
──秋季リーグを踏まえて、来季も継続していきたいと考えている部分はありますか
球速の話になってしまうんですけど、春は大体143㌔とか、出ても145㌔とかだったんですけど、そこを上げるという意識でやったら目標(150㌔)は達成出来なかったですけど球速はかなり上がって、そういう練習やトレーニングは間違っていなかったのでこれからも続けていきたいです
──球速を上げるために具体的にどのような練習に取り組みましたか
まずはフォームがあまり安定していなかったので、そこを安定させるために日々のキャッチボールであったり、ピッチング練習で常に同じフォームで投げる事を意識しました。あとは筋トレで力をつけたり、体重を増やすって事を集中してやりました
──逆に秋季リーグで見つかった課題についてはいかがですか
課題は決め球っていう部分で、今のところスライダーしか確率良く投げられるボールが無いので、ストレートは絶対良くする事は前提としてスライダーに並ぶような変化球を完成させたいです。今はスプリットとかカーブを練習しているので、もっと精度を上げていければ投球の幅は広がるんじゃないかと考えています
──技術的に参考にしているプロ野球選手はいますか
誰か1人というよりは、色々な人の良い部分をそれぞれ見ているという感じですかね。あまり器用な方では無いので球の軌道とかフォームはすぐ変えられないんですけど、変化球の握りとかは結構色々な人のものを探して研究しています
──これからオフシーズンとなりますが、何か楽しみにしている事はありますか
自分の地元が山口県で1年間家に帰れていないので、まずは家に帰れる嬉しさと、あとは地元の友達と会って遊べるのが楽しみですね
──最後に来季に向けての意気込みをお願いします
来季は今年の秋みたいに最後だけ投げるとかでは無くて、リーグ戦の最初から最後まで試合で投げられるようにこの冬と実戦でしっかりアピールをしたいと思います。2年生になるので、ただやってるだけでは無くて常に入部した時の初心を忘れずに自分の力を出せていったら良いなと思います
◇三奈木亜星(みなぎ・あせい)◇
学部学科:商学部・国際マーケティング学科
身長・体重:178㌢・82㌔
出身高校:浦和学院高校