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中大に神宮の女神は微笑まず… 首都の完全王者に敗戦ー第50回記念明治神宮野球大会2回戦 対東海大

11月18日 神宮球場

チーム 123 456 789=R H E

東海大 000 240 001=7 9 0

中 大 012 000 000=3 9 2

[中]皆川、後藤、水谷―古賀

[東]原田、松山ー海野

[本]なし

◆スタメン◆

1[遊]中川 拓紀(商2=宇治山田商)
2[中]五十幡亮汰(法3=佐野日大)
3[三]内山 京祐(文3=習志野)
4[二]牧  秀悟(商3=松本第一)
5[左]植田 健人(経2=興国)※1
6[一]小野寺祐哉(経4=白鷗大足利)
7[右]大工原壱成(商4=桐光学園)
8[捕]古賀 悠斗(法2=福岡大大濠)
9[投]皆川 喬涼(法2=前橋育英)

※1 初回の守備から倉石匠己(経3=東海大市原望洋)に交代

実に15年ぶりの全国の舞台。応援席はあふれんばかりの観客が詰めかけた。15年分の思いを胸にー。対するは全日本選手権ベスト4、この秋も首都大学リーグで他を圧倒し、1回戦では東北福祉大にサヨナラ勝ちと勢いに乗る東海大だ。「各自がビデオを見るなどして対策をしていた」(五十幡)と全国での経験豊富な相手に堂々と立ち向かった中大ナインだったが、気まぐれな神宮の風と東海大の無駄のない多彩な攻めに翻弄され敗戦。全国での勝利は来年度に持ち越しとなった。

▲重圧のかかる中、先発として力投を見せた皆川喬涼(法2)

プレッシャーがのしかかる中、先発のマウンドに上がったのはリーグ戦でも先発を任される機会が多かった皆川。初回の先頭打者に安打を浴びたものの、続く打者を空振り三振に。さらに、その間に一塁走者が試みた盗塁を大学日本代表候補選手にも選出された古賀悠斗(法2)がセカンドへのストライク送球で阻止。後続も打ち取り、積極的な走塁が持ち味の東海大の最初の攻めを封じる快調なスタートを切った。

続く2回、3回も皆川はストライク先行のテンポのいい投球で、東海大の強力打線を三者凡退に切って取るなど安定感ある投球を見せる。

皆川の好投に応えたい打線は2回、一死から小野寺が左中間へ二塁打を放ちチャンスメーク。続く大工原主将も3ボール2ストライクの7球目を逆方向へおっつけて技ありの左前安打を放ち、チームを支える4年生がチャンスを拡大すると、続く古賀が逆方向へ転がし、これが先制点となった。

続く3回、持ち味の強力打線が火を噴いた。先頭の中川が四球で出塁すると、続く五十幡がバスターでセンター前へ運び、二、三塁とチャンスを作る。一死後、打席には牧。初球の真っすぐを捉えると、打球はレフトの頭上を越える2点適時二塁打となった。この回2点を追加し、序盤は中大ペースで試合が進んだ。

▲3回に追加点となる2点適時二塁打を放った牧

3点リードで迎えた4回表、先頭を3球三振に打ち取ったものの、二死から二、三塁のピンチを招く。ここで打席には1年生ながらスタメンに抜擢された小松(東海大)。4球目を捉えた打球は五十幡のグラブのわずか先に落ちる、2点適時三塁打となった。強風が吹く中だったが、「風は関係ない。全力で追えて一歩目も良かったので相手の打球が良かったということだと思う」と五十幡は振り返った。

点差はわずかに1点。5回表のマウンドにはリーグ戦で投手3冠を達成した後藤茂基(経2)が上がった。リーグ戦同様、キレのあるボールで連続三振と最高の立ち上がりを見せたかに思えた。しかし二死から9番竹内(東海大)にレフト線へ二塁打を浴びると上位打線に捕まり、4連打と不運な失策が絡んでまさかの4失点。強く吹く神宮の風に対応できず守りが乱れた。

 

▲最初のイニングで失点するも、その後は粘り強い投球を見せた後藤

6回以降は落ち着きを取り戻した後藤。力強い直球に変化球を織り交ぜながら多くの三振を奪い、粘りの投球を見せた。「真っすぐを決め球にしていたが、相手が真っ直ぐに強かった。立ち上がりが課題だと感じたし、そういう場面での失投を無くしていきたい。来年もいいピッチングをして全国に出られるように頑張りたい」と決意を口にした後藤。リリーフエースのさらなる進化に期待したい。

反撃といきたい攻撃陣は6~8回すべてで先頭打者が出塁。特に8回は先頭の大工原主将が追い込まれた中でも驚異的な粘りを見せて四球をもぎ取ると、続く古賀もこの日2本目の安打を放ち一、二塁のチャンスを作る。ここで代打として起用されたのは石田瑛平(商2)。しかしここで痛恨の空振り三振。続く打者の中川が放った打球も相手ショート杉崎(東海大)の好守にはばまれて攻撃の目を摘まれ、この回も得点を挙げることはできなかった。

 

▲主将の意地を存分に見せた大工原主将

9回には水谷康希(商3)がマウンドへ。無失点で最終回の攻撃に繋げたいところだったが、先頭を四球で歩かせると、一死二塁からレフト前ヒットとエラーが絡み、ダメ押しとなる1点が東海大に入った。

4点を追う9回の攻撃も、3回途中から登板した松山(東海大)を最後まで捉えきることができず、三者凡退。目標としていた日本一には届かず、主砲の牧も「東都の代表としてきたので悔しい」と唇を噛んだ。

▲試合終了後応援席に挨拶する選手たち

「上を見ながら戦えていたし、入り方も良かった。序盤はリーグ戦と変わらずのびのびやれていたと思う。後藤はエラーが不運だったけどいいピッチングをしてくれた。8回、上手くつながればというところだったが、抑えられてしまったのでピッチャーが良かったということ。プレッシャーがあった中、東都代表としてのプライドを持って戦ったので、他の東都の大学にはここで負けてしまって申し訳ない気持ちもある」と清水監督。試合終了後、牧は「小野寺さん、大工原さんが中心になって声を出してチームを鼓舞してくれた」とチームを支えた4年生に感謝の言葉を口にした。

15年ぶりのリーグ優勝を完全優勝という形で達成し、新たな歴史を刻んだ今年のチーム。苦しい入替戦の経験を糧にリーグ戦では鮮やかな『逆襲』を果たして見せた。東都の厳しさと優勝の喜び、そして全国で敗れた悔しさを知る経験者が数多く残る来シーズン。リーグ戦連覇となれば、昭和23年春秋以来の快挙となる。全国で『逆襲』を果たすため、全国での勝利に飢えた選手たちは、全国での忘れ物を取りに帰るべく、まずは72年ぶりの連覇を目指す。

 

◆大会結果◆

●中大3-7東海大〇

◆お知らせ◆

今年度の硬式野球部の試合はこの試合をもって終了となりました。なお、11月24日(日)に秋季リーグ個人タイトル表彰式が行われます。

記事・写真:「中大スポーツ」新聞部