5月18日 国士大多摩体育館
「もしかしたら今季で一番いい試合だったかもしれないね」。春リーグの全日程を終えた指揮官はそういって胸をなでおろした。5勝2敗1分で迎えた最終戦の相手は立大。「やるべきことをやって、自分たちの力を発揮しよう」(長谷川舜・商4)とチームは強い気持ちで臨んだ。結果は32-19で大勝。これで春リーグの戦績は6勝2敗1分となり、中大は3位で大会を終えた。
▲キャプテンとして新チームを引っ張ってきた山川主将
前半は司令塔・安永翔(法3)のゲームメイクが光り、常に中大が試合の主導権を握る展開となった。この春リーグからスタメン入りを果たし、「試合に慣れた」と好調を維持してきた岩﨑滉大(文3)は前半で5得点を奪うなど今回も躍動。中村翼(法2)や山川慎太郎主将(経4)も速攻を決めるなど、中大は得点のチャンスを生かした攻撃で徐々に得点を重ねていった。ディフェンスでは、これまで守備をけん引してきた保利憲之朗(経4)と久保寺歩夢(文1)の活躍加え、最終戦にして初スタメンとなったゴールキーパーの宮城風太(経2)が好セーブを連発。「緊張して昨夜はなかなか眠れなかった」と語る宮城だが、試合では持てる力を存分に発揮した。また、今回は海外から帰国している部井久アダム勇樹(法2)と藤田龍雅(法2)も応援席から熱いエールを送るなど、試合中の雰囲気も最高潮に達した中大。蔦谷大雅(法1)は「応援がすごかった。チームとしてもみんなで盛り上がっていけた」と話す。そんな頼もしい声援を力に変えた選手たちは17-11と6点差をつけて前半を折り返した。
▲抜群のゲームメイクでチームを支える安永(左)と春リーグで急成長を遂げた岩﨑(右)
後半も中大の勢いは止まらない。川内直喜(文3)や蔦谷が今季のチームテーマとして掲げる『守っての速攻』を体現するなど、さらにリード広げ続けた。そして前半だけでなく、なんと後半15分過ぎから26分終盤まで立大に得点を与えない鉄壁の守りを見せた中大。中村翼も「今回は失点が少なかったし、ディフェンスが良かった」と守備の俊敏な動きを振り返った。苦しみながらもディフェンス面の課題改善や強化に取り組んできたことが結果として実を結んだ瞬間だった。
▲試合終了の合図とともに拳を掲げて喜ぶ選手たち
後半中盤からは大幅にメンバーを変更。それでも、「試合に出た選手たちで全員ハンドボールができた。メンバーは変えたけど、締まった試合になった」と実方監督はいう。絶対的なエースがいないチーム状況の中、『誰が出ても勝てるチーム』を目指してきた選手たち。春リーグを通して、どのポジションからでも、どんな選手がコートに立っても安定した試合運びが少しずつできるようになっていた。そんな『誰が出ても活躍できる』戦いを繰り広げた中大は後半も勢いそのままに大量リードを奪って32-19で快勝。約1カ月にわたる戦いのラストを勝利で飾った。
▲リーグ戦終了後、恒例となっているゴール前での記念写真
「リーグ戦が始まる前からチーム全員で一生懸命練習に取り組んできたことが、試合の全員ハンドボールにつながったのかな」(山川主将)。試合に出場できる選手は限られるが、ベンチや応援席にいるチームメイト、そしてコーチやマネージャーが一丸となって日々チームを支えてきた積み重ねが今回の結果につながった。しかし、決して選手たちは今回の結果に満足することはない。「またゼロからスタートしたい」。指揮官とキャプテンが口をそろえてそう語るのは、去年の壮絶なインカレ初戦敗退の悔しさがあるからだ。あの時の思いを再び大舞台で晴らすため、チーム全員がさらなる飛躍を誓う。
▲表彰を受けた三選手(左から山川主将、保利、中村翼)
◆試合結果◆
〇中大32(17-11、15-8)19立大●
◆大会結果◆
①筑波大
②日体大
❸中大(6勝2敗1分)
▼表彰選手
優秀選手賞:山川主将
特別賞:保利
優秀新人賞:中村翼
◆コメント◆
実方監督
「今回はオフェンスとディフェンスどっちも良かった。安永も最高のゲームメイクをしてくれたし、それに山川や中村翼が応えてくれたね。岩﨑も大活躍だったし、みんなが持っている力を出せたと思う。この春リーグは大黒柱がいなかったので、全員ハンドボールで速攻で点を取ろうとやってきた。誰が出ても勝てる最高の試合ができたのは秋につながる。秋リーグまでにまた速攻の精度を上げて、個人のスキルも向上させていきたい」
山川主将
「いろいろな意味で集大成の最終戦だった。春リーグの収穫はうまくいかないことも、試合を重ねるごとに良くなっていったこと。守れない、攻めることができなくなった時に修正する力がついたと思う。去年の悔しい思いがあるので、これからは一回春の結果は忘れて秋リーグ4位以上(インカレシード権獲得の条件)に絶対入れるようにやっていきたい」
岩﨑
「リーグ戦を通してリラックスして試合に臨めるようになった。そうやってうまく試合に調子を持っていけるようになったのは個人として成長できた面でもある。また、点を決めたいところで周りが自分を信頼してパスをしてくれたのでこれからも頑張りたい。春に上位だったからといって秋も今回のような戦いができるとは限らないので、気を引き締めてやっていきたい」
安永
「今回の試合は前半から雰囲気も良かったし、最終戦ということでみんな気持ちが入ってた。個人としてはもうちょっとやれることはあったが、それは秋までに修正する課題なので『まだまだやれるんじゃないかな』という気持ちになった。春リーグでは周りとコミュニケーションを取っていい意味で我慢できるようになった。今後は基礎的なことを見直して当たり前のことが当たり前にできるようにしていきたい」
中村翼
「今年のチームはどれだけ守れるかだと思うので、今回はいい試合ができたと思う。春リーグのベストゲームは個人としては筑波大戦で、チームとしては東海大戦と明大戦。特に東海と明治はディフェンスで抑えて勝てたので良かった。この新チームになってミーティングを長くやってきた。それでも、前回の国士大戦みたいに勝ちきる強さがまだないと思うので、秋に向けてもっと勝てるようにしていきたい」
宮城
「初スタメンで緊張とプレッシャーはあったが、楽しくプレーできたし、それで緊張もほぐれた。いい緊張感の中でできたのが結果につながったと思う。秋はもっと大西(暁斗・法4)さんと協力して今回のセーブ率をキープできるようにしていきたいし、必ずインカレのシード権を獲得できるように頑張りたい」
蔦谷
「春リーグを通してもっとフィジカルを強くしないといけないと思った。あとはシュートの工夫をもっとできるようにしたい。ベストゲームはチームとしては筑波大戦で、個人としては今回の立大戦と国士大戦。また、試合に出たことで関東リーグのレベルがわかったことは今回の収穫。秋はチームとしてまず4強に入ることが目標にしている。でも一番を目指してやっていきたい」
記事・写真:「中大スポーツ」新聞部