昨年、念願のインカレ優勝を果たしたスケート部アイスホッケー部門。新体制になり「研鑽」というスローガンを掲げ、再スタートを切った。今回は八戸監督にインタビューを行った。〈聞き手:野村真、水﨑菜花、塚越香都、構成:塚越香都〉
▲八戸監督に「中大スポーツ」4月号を持っていただきました
―昨年度1年間振り返って
戦力的には他大学からも結構揃ってますよねっていうような話もあったりはしたんですけど、なかなかね。夏はプレシーズマッチ勝ちましたけど、春、秋となかなか思うようにいかなくて。ちょっと厳しい戦いは続きましたけど、最後(インカレ)はなんとか取れてよかったなというところではあります。
―春、秋は準優勝だったが、そこからインカレに向けて改善した点はあったか
特別にこれをやったからっていうのは、実はあんまりないかなと思っていて。やっぱり春、秋やっていった中で、自分たちがすごく不甲斐ない部分もあったりして、学生の意識がやっぱり徐々に変わってきたかなっていうのがあって。本当にインカレの最後の方になると、あんまり細かいことをこっちが言わなくても、ベンチの中で自分たちでいろいろ話をして、こうしようっていうことでやってたかなっていうのがすごく印象に残ってますよね。
―印象に残っている試合
やっぱりあれですね、インカレの準々決勝の東洋大学の試合。この試合をものにするためにみんなで頑張ってこうっていうことでやっていたので、それは1番インパクトがあった次第ではあります。あとは全日本選手権の東北フリーブレイズの試合で、やっぱりプロ相手にすごく前線できた、内容的にもすごい素晴らしい試合だったので、そういう意味では印象のある試合でしたね。
―全日本の時、すごく雰囲気いいなっていうのは感じていたのだが、そこから雰囲気良くなったか
あれが1つきっかけになったのは間違いないと思います。ただあの後、もう部の中でインカレの最後、集大成に向けて仕上げていく中で、全てが順調にいっていたわけではなくて、いろいろあったんです。ただ、それもまたね、いいアクセントになったのかなって。
今終わってみればね、そう思う部分はあります。
―監督さんの目から見て昨年度の4年生はどういう存在だったか
やっぱりキャプテンがね、すごく強力なリーダーシップのある人間で、有限実行で、プレーもね、そこそこできる人間だったので、彼が発言したことに対しては、みんながちゃんと従うというか、いい感じでついていくところもあったんですけども、それだけじゃまとまらなかった。4年生全体的に我々がちょっと目を離したらサボる連中も結構いましたけど、いいバランスが取れてた学年だったのかなって思いますね。
―インカレ準決勝、関大戦について。昨年のインカレで負けていたというのがあって堅い雰囲気はあったか
選手がどう感じてたかはわかんないんですけど、戦略的には一昨年よりかは去年の方が圧倒的に上がっていたし、試合前からもなんだろうね、負ける気はしない試合だったかなと思ったんですけど、始まってすぐにアクシデントがあって、キャプテンがけがしちゃったりね。あとはその試合に入る前に、去年のエースの堤虎太朗(総4)ってのは、前の試合(東洋大戦)でけがしちゃって、基本的には出さないつもりだったんですけど、そんな中で自分たちのペースを作れなくて、流れがどんどん悪くなってきて、良くなっていかなかったっていうところがあったんですよね。そこだけですよね。だから、前の年に負けてしまって、嫌なイメージがあってっていうのは、自分の中では少なくともなかったですね。
―監督さんから見て新チームはどのような雰囲気か
毎年4年生が出てって、1年生が入ってきてっていうことで入れ替わっていく中で、今年のチームはいい意味でキャラが強くないというか。まとまりもあるのかなっていうところもあるし、逆に、なんか興味ないことに向かないような感じもあるし。そういった意味では、去年より難しいところもひょっとしたらあるのかもしれないですけど、まだちょっと始まったばかりでね、あまり1年生の性格とかもちょっと完全に掴みきれてなかったりとかもするとこもあるので、これからもう少し時間かけていろいろ見ていきたいなっていう風には思います。
―チーム内で結構競争が激しいっていう風に、この間4年生のインタビューでおっしゃっていたが、それについてどうか
ここ数年ずっとそうなんですけど、ある程度レギュラークラスとレギュラーから外れるクラスっていうのが、はっきりしてたところがずっとあったかなっていう風にはあるんですけど、今年は核になる選手が1セット、2セットいて、3つ目4つ目の次のラインのところにいる選手、ボーダーの選手がすごく多い。なので、誰が出てもっていうよりかは、そこの中の争いがすごく激しいかなっていう風には思っています。
―例年に比べて4月としては練習の質がよいと聞いたが
例年に比べる天候が悪かったりとかして、氷上練習終わった後の陸上でのトレーニングとかもあんまりできなかったりとか、ちょっとスロースタート気味なところはあったんですけど、氷の上の練習は非常に質が高くて、本当に今週なんか特に、先週今シーズン1発目のテストマッチをやったんですけど、そこには核になる選手を一旦外して、ボーダーの見極め的なところもあったんですけど、その中である程度自分がどのポジションにいるかっていうところを選手自身が把握した中で、これじゃダメだよねとか、もっとやんなきゃねとかっていう意志が、多分今週やった中の練習ではすごく当たりもあるし、スピードもあるし、すごく質のいい練習はできてると思います。
―今練習で力を入れていることは
ゲームを組み立てる上での重要な要素の部分をしつこく練習してるっていうところだから、いろんなものをインストールしてるような状況です。なので、特にやっぱり課題感を持ってやっていくのは、バックチェックって言って、攻めてるゾーンからも守りに展開が変わった時に自分たちがどこに戻るかとかっていうところとか、あとは守り、自分がどこのポジション取って誰につくのかとか、そういうところの確認を重点的にやってますね。
―新しく入ってきた1年生の練習について
なんていうのかな、適切な言葉かどうかわかんないですけど、いい意味で遠慮がないというか、いい感じかなっていう風には思うんですけど、大人しいとはまたちょっと違うんだけど、強いカラーを感じない感じはある。今のところ。それがただ慣れてないだけなのか、わかんないですけど、その辺りも見極めていきたいなっていう風には思います。例年に比べると、スカウトに行って各高校から優秀な選手が入ってきてるので、年代別の代表とか入ってる選手もいっぱい入ってきてるんですけど、今年は特に全体のベースが高いですね。標準的なレベルが高いかなという風には見てます。
今週、また土曜日に1試合やって、19、26の土曜日はそれぞれ2試合ずつダブルヘッダーで練習試合入れてるんだよね。多くの選手を出して、見て、評価して、5月の3日に今度、韓国の高麗大学っていうところが来て、それも含めて全部で8試合かな。5月の中旬から本大会に入っていくので、それまでにメンバーを決める。
―高麗大学との交流について
日本に強化のために合宿に来るっていう話があって、東洋大学が窓口だったんです。当時やるって話になってて、もしよかったらうちもどうですかって向こうから声がかかってんだけど、そんな話から始まって、じゃあリンク取れればぜひやりたいねって話になって、リンク取れたので。
―海外の大学との交流について
韓国の延生大学っていうのと高麗大学っていうのが、今ずっと強いんですよね。今年はね、延生の方が強いみたいなんだけど、この間3月に苫小牧に来てやってて、うちはそこに行けなかったので、やってないんですけど。あと、夏も来てることがあるので、ここ数年やってないですけど、何回かやったことあるし、去年の夏だと釧路に別の大学が来てやりました。10何年ぶりとかじゃないかな。
―海外に行っていた選手もいたが、変化を感じたか
今回で言うと、堤虎太朗とか、あの辺の感じかな。やっぱり体の強さなんかも全然違うし、スピードだとか全然違う、そういう環境でやるのはすごくいいんだろうなとは思う。元々ね能力があった子だったので、そういうところでチャレンジすると伸びるいい素材にはなってくんだろうなと思ったんですけど。あそこまで行くとは思わなかったね。今なんか大学生の中に1人、プロの選手入ってる感じだよ。半年か、1年とか、1年半とかね、向こうに行ってるとすれば、やっぱり全然変わってきますよね。すごくやっぱり彼の存在って大きくて。プレー面はもちろんそうなんですけど、性格的なところ、人間性だとか、キャラクターだよね。あれがやっぱり大きい。明日からフル代表の合宿に行くんですよ。日本代表の。世界選手権の選考合宿に入って、それで選ばれたら、5月6日まで日本代表として行く。(取材後、実際に選出され2025 IIHF World Championship Division I-Aに参加していた。)練習に彼がいるともうすごく明るいし元気もある。あれはね、すごくいい選手になると思うよ。
―今いる選手の中で、この選手いい選手になるだろうなみたいな選手いるか
大学4年生だと角丸(陸斗=国経4)だよね。あれはもう天才だよ。元々横浜の子で、その後北海道の高校行って、俺と同じ高校なんだけど、インターハイとかでも勝ち上がっていけないような高校だったんだけど、もう(角丸が)1人でやってる感じ。ただ他大学に進学希望もあったりしたんで、うちはスカウトできなかったんだけど、そっちの方がうまくいかなくて、一般受験して、うちに入ってきたんだよね。入ってきた時、やっぱり体も細くて、繊細な感じのプレーをしていたけど、今は本人の意識も変わってきて、体つきもだいぶ良くなってきた。
―今年は主将も務めることになっているが
うん、今のところすごくよくやってくれてるんじゃないかなっては思いますけど、元々学年をずっと見ている中ですごく独特の世界観というか、時間の感覚というか、そういうのがあって、ぽわっとした感じ。選手の話とか聞くとそうじゃなくて、今回キャプテン任せるって話になった時も、新4年生、前の4年生の意見を尊重したんですよね。その中で彼を押す声が1番多かったの。だから、すごくやっぱり人望も実はあって、リーダーシップというか、考えもしっかりしてるから、そういう風になったんだろうなっていう風に思っています。
―監督さんから見たチームの強みは
プレー面で言うと高校生がうちを目指してくれる時って、パスオッケーが好きだからとか、綺麗なパスホッケーをするからとかって言ってくれるんだけど、プレー面で言うと、やっぱりそういうところ。他大学とざっくり比較しちゃうと、相手側にボーンとパック放り込んで、プレッシャーかけたりするようなホッケーとかあんまりうちしないので、そういうところが、強みというかいいところなのかな。それ以外で言うと、やっぱり選手間の横の繋がりなのかな。他大学の状況もよくわかんないんですけど、他大学よりも風通しも縦横いいのかなっていう風には見えてます。
―学生主体でやられてる印象がすごく強いが、学生主体で進めている理由は
高校生までと違って、言われてそれをただ遂行するっていうのはなんか面白くないんじゃないかなと思うし、やっぱり考えて何かを成し遂げるっていうことが、本当の意味での楽しいことなのかなって自分自身思うところがあるので。確かに勝てば楽しいっていうか、嬉しいことはあるのかもしれないけど、言われたことだけやってただ勝ちましたって、大学生の意義ってそういうことじゃないんじゃないかなって思うところがあるので、ある程度学生に裁量を持たせた中でやっていって、失敗することもいっぱいあると思うけども、そこから学ぶこともいっぱいあると思うし、そこで成功したら2倍も3倍も嬉しいことが返ってくるんじゃないかなって思うところがあるので、自分はそうしてます。
-練習以外で選手と会ったりするか
たまに寮に行って、コミュニケーションを取ったり。用がある時は行くけど、用がない時には(行かない)。ただ行った時にはなるべく多くの選手と話をするようにはしてるつもりです。あとは衛生管理とか、学生だけだともうすごいことになるから(笑)。最低限、玄関とか食堂とか共用部分だけはちゃんとしなさいっていうのは、本当うるさく言ってる。自分の唯一のスペースというかそんなとこまではうるさく言わないから、少なくとも廊下とか階段、ウエイトルームとかトレーニングルームとか、食道とか厨房。そういうのはちゃんとしましょうっていうのはうるさく言ってる。
―最後の質問ですが、今年の目標は
今年チームをスタートするときに全員で共有したのは、やっぱりインカレまた取って、最後いい形で締めようってことなんで、インカレ2連覇が1番大きな目標ですね。近いところの目標で言うと、やっぱりまず春勝ちましょうと。それで夏がプレシーズンマッチなんですけど4連覇かかっているので。秋はいつも夏の大会からいい感じで帰ってくるんだけど、どんどん落ちてくんだよね。そこをなんとかして、秋も勝ちましょうっていう。だから、各大会優勝しましょうっていうのは目標としてはあるんですけど、最大の目標としては、インカレ2連覇を目指してみんなで頑張っていこうということは35人誰に聞いても同じ答えをしてくれると思ってます。
◆お知らせ◆
本日5月11日(日)にダイドードリンコアイスアリーナで春季リーグ初戦が行われます。
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