2024年8月26日 東京都・スリーボンドスタジアム八王子
前日の九大戦で7回コールド勝ちを飾った中大は、準決勝に駒を進めた。対するは、延長11回に及ぶ壮絶な試合を制した東海学院大。中大打線の勢いは衰えることなく連日の10得点を挙げ、2日連続で先発した牧温人(法3)は疲労の色をにじませない9回3失点の完投を収める。見事勝利した中大は部史上初の全日本連覇に王手をかけた。
先発は、九大戦で5回を投げ無失点の主将・牧。初回は三者をわずか10球で抑え、前日の疲れを見せない良好なスタートを切った。2回には三塁手・福島諒平(文3)のダイビングキャッチにベンチが沸き、このイニングも三者凡退に抑える。3回は1死から初ヒットを許すも、後続を断って二塁を踏ませなかった。
前日に猛攻を見せた中大打線の勢いも止まらない。2回表、先頭打者の5番牧がツーベースを放つと、続く織田尚(商3)が初球で送りバントを決める。さらに山村駿悟(経2)のセーフティスクイズが成功し、牧が先制のホームを踏んだ。3回は先頭の1番海老沼樹喜(経2)がツーベースヒットで出塁すると、4番福島のツーランホームランが飛び出して盛り上がりは最高潮。「変化球が3球連続できていて、自分は4番だったので変化球攻めにあうなとは思っていたので、あの場面はストレートしかないなと思っていたので追い込まれながら張ってそれがちょうど自分が一番好きなコースに来たので思い切り引っ張ってあの形になりました」と福島は手応えをにじませた。
▲3回表、レフトへホームランを打った福島
4回には織田と林輝一(経2)が四球で出塁。山村のツーベース、小牧颯太(経2)の犠牲フライで2点を挙げ、なおも2死一、三塁とすると、一塁走者の海老沼が飛び出した隙に三塁走者の寺沼樹(商2)がホームイン。積極的な走塁も光り、中大はここまで6点をリードする。
しかしその裏、相手の先頭打者にヒットを許すと、続く3番安江(東院大)にツーランホームランを浴びてしまう。この回は点差が開いて気が抜けてしまったと明かした牧だが、鍛えられた守備で追加点を許さなかった。
中大は5回の表、先頭の片倉裕文(法2)、続いて福島が四球で出塁すると織田の犠牲フライ、山村のヒットで2点を追加し再び点差を広げる。6回にも先頭の寺沼が四球で出塁し、盗塁を決める。さらにバッテリーエラーの間に進塁し、片倉の犠牲フライで9点目のホームを踏んだ。
9回には先頭の福島がヒットで出塁し、牧の送りバントと相手バッテリーのエラーで三塁に進む。ここで代打・若松虎太朗(文1)がセンターへツーベースを放ち10点目を奪った。若松はこの打席を「しっかり何も考えずにってことを意識して打席に入った結果がいいヒットに繋がったかなと思います」と振り返る。ノーヒットに終わった前日の九大戦後、バッティングセンターへ行き200球ほど打ってきたと明かした若松だが、「先輩からも打席の中で考えすぎだから何も考えないで気楽に入りなって言われて、なんも考えずに打席入ったら結果残ったんで」と語るように、先輩からのアドバイスも効果てき面だったようだ。
牧はテンポ良く抑える投球でマウンドを守り切り、中大は勝利した。
九大戦に続いて10得点を挙げた打線だが、牧は好調の要因を「ヒットが相手より少なくて10点取れているので、やっぱり足を絡ませたりとかスクイズ、セーフティしたりとかそういう細かい野球をしっかりできていることが大量得点につながったのかなと思います」と分析する。その言葉の通り小技が大量得点に絡みついた。さらに、こうしたサインは全てサードコーチャーの谷口太輝(商4)が出していると明かし、「みんな信頼してやっています」と断言した。
「(谷口を)信頼しているのでそこはもうサインを遂行するだけです」
▲整列するナイン
台風の接近により悪天候が見込まれるため、翌27日に予定されていた決勝戦は準決勝2試合の後に行われることとなった。ナインはダブルヘッダーの決勝戦に臨むが、牧は「やったことないのでわからないですけど、まずはしっかり休息をとること、ご飯をしっかり食べること、相手も同じ条件なのでそこはもうやるしかないので全員一致団結してやります」と力強く語った。
決戦を目前に、選手たちの言葉からはチームの雰囲気の良さがひしひしと伝わってくる。目標としてきた全日本連覇まで残り1勝。勢いそのままに頂点をつかみ取りたい。
◆試合結果◆
〇中大10 - 東院大3●
中 大012 321 001=10
東院大000 201 000=3
(記事:木下百葉、写真:湊谷昂太郎)
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