2025年5月12日 ジャイアンツタウンスタジアム
チーム 123 456 789=RHE
中 大 001 000 111=490
国学大 110 000 000=270
[中]三奈木、岩城ー綱川
[国]當山、藤本、榊原、飯田ー立花
[本]なし
◆スタメン◆
1[指]佐々木琉生(商3=健大高崎)
2[中]橋本 航河(文2=仙台育英)
3[二]繁永 晟(商4=大阪桐蔭)
4[右]皆川 岳飛(経4=前橋育英)
5[三]伊藤 櫂人(文3=大阪桐蔭)
6[左]安田 淳平(商3=聖光学院)
7[一]髙橋 徹平(文1=関東第一)
8[捕]綱川真之佑(経4=健大高崎)
9[遊]藤本 陽毅(文1=京都国際)
P 三奈木亜星(商4=浦和学院)
中大はこの日、勝利すれば1部残留が決まるという運命の1戦に挑んだ。昨秋勝ち点を目の前にして逆転負けした因縁の相手でもある国学大。そんな絶対に負けられないこの日の先発を託されたのは三奈木。しかし、序盤国学大打線に掴まり初回、2回と1点ずつ加えられリードを許す展開に。試合中盤は両者譲らない拮抗した展開が続いたものの5回途中から登板した岩城(颯空=経4・富山商業)が流れを呼び寄せる好投を披露。すると中大打線は終盤の7、8、9回に1点ずつ加え逆転に成功。そのまま岩城が試合を締め、4回と3分の2を1安打6奪三振無失点に抑え今季初勝利を挙げた。チームは今カードの勝ち点獲得とともに見事に1部残留を決めた。
初回、中大は1死から橋本が死球で出塁するも、相手先発當山のテンポの良い投球に後続が続かず、橋本も盗塁失敗に終わり得点することができない。
▲先発した三奈木
中大の先発を託されたのは今カード初戦で見事完投勝利を挙げた今季安定感のある三奈木。しかし、先頭の中西(国学大)にファーストストライクを捉えられると、その大きな当たりはライト皆川がフェンスに直撃しながら懸命に追うのも虚しく二塁打に。いきなりピンチを背負うと、送りバントとフライアウトで2死三塁となったところで打席には4番仲(国学大)。カウント1−2からの4球目をうまくレフト方向へ運ばれ3試合連続で先制点を許す。
続く2回も1死から7番赤堀(国学大)にレフト線への二塁打を打たれピンチを背負うと、打席には前日4打数2安打1打点の立花(国学大)。カウント1−2と追い込んでからの4球目をレフトへ運ばれ、レフト安田からホームへの好返球が来たもののセーフになってさらに1点を献上。しかし、二塁を狙おうとしていた立花をキャッチャー綱川が見逃さずすぐさま二塁へ送球。二塁タッチアウトとなり守備の堅さを見せてピンチを最小失点で切り抜ける。
▲先制タイムリーを放った佐々木
勝利へ向けまずは少しでも点差を縮めたい中大。3回表、1死から綱川、藤本の連続ヒットで一、三塁のチャンスをつくると、打席には佐々木。高めに浮いた直球を見事にセンター方向へ打ち返し1点を返すことに成功する。
続く4回表も皆川のヒット、伊藤櫂の四球で無死一、二塁のチャンスをつくる。6番安田がバントを試みるも強いバントとなり、三塁に送球されてランナーを送ることができない。その後髙橋が見三振で2死となったもののなおもチャンスは続き、綱川が打席へ。綱川のショートへの打球が二塁へ送球されるがこれがセーフとなる。しかし三塁を回りかけていた伊藤櫂を国学大の抜かりない守備が見逃さず三塁へボールが送られ走塁死となってチャンスを生かすことができない。
▲リリーフ登板した岩城
なかなか流れを掴めない中、守備にも山場が訪れる。2点差で迎え、これ以上の失点は許されないという状況で迎えた5回裏。ここまで大崩れはない三奈木だが、1死三塁のピンチを背負う。ここで清水監督がマウンドを託したのは岩城だった。前日の試合、毎回ランナーを背負い2失点という不甲斐ない結果に終わった岩城。開幕先発を務める予定が発熱により緊急回避から始まった今季はどの登板も本来のピッチングではなく、どこかモヤモヤしたものがずっとあったという。「昨日怒りました。淡々とやってるように見えたので 」と清水監督。それでも「色々本音で話したし最後はスッキリ明日頑張りますって言ったんで大丈夫かなって 」と送り出すことに不安はなかったと言う。この日の岩城は前日までとは明らかに違っていた。常時140㌔中盤の直球を軸に130㌔中盤のスライダーを織り交ぜ5回、6回を1人の走者も出さずに次々にねじ伏せていく。そんな岩城の気迫の投球が攻撃の流れを呼び寄せる。
▲逆転タイムリーを放った伊藤櫂
7回表、先頭安田がヒットで出塁すると続く代打古河(琢麿=経3・佐野日大)のバントがフィルダースチョイスとなり無死一、二塁のチャンスをつくる。さらに、安田の代走・青木(勝吾=文1・中央学院)が盗塁を決め無死一、三塁にチャンスを拡大。ここでバッターボックスには綱川。綱川が併殺打に倒れる間に青木がホームへ返りついに同点に追いつく。さらに、8回表、内野安打と四球で2死一、三塁となったところから今季好調の伊藤櫂がショートへのタイムリー内野安打を放ち逆転に成功。ベンチは大きな盛り上がりを見せた。
▲ライトへのタイムリーヒットを放った代打坪井
勢いに乗る打線は9回にも代打坪井(洸之介=文4・創志学園)のライトへのタイムリーで追加点を加えじわじわとリードを広げていく。
岩城は味方から2点のリードをもらい、勝ち投手の権利を持って9回裏を迎えた。この回を抑えれば勝ち点獲得とともに1部残留が決まるという独特な緊張感の中彼はマウンドに向かった。5イニング目だったが球威が落ちることはなく、この回にも147㌔を計測。3番から始まるクリーンナップの攻撃を最後は見三振に切り見事3人で抑えてゲームセット。2008年秋以来17年間死守してきた東都大学1部リーグを今季も無事守った。残留確定に中大ナインはお互いを讃え合い歓喜の声を上げた。
▲1部残留に歓喜に湧く中大ナイン
4回と3分の2を1安打6奪三振無失点に抑え、今季初白星を挙げた岩城。まさにその姿はエースにふさわしいものだった。岩城は「昨日打たれて点差開いて負けちゃったので自分の中ではずっと悔しいって感じで残ってて。監督に呼ばれて話した時に思ったことを言い合って最後吹っ切れたっていうか。本当だったら前から戦う気持ちはできてたんですけどやるしかないっていうのがもっと強くなって、それが今日のピッチングにつながったんじゃないのかなって思います」と振り返った。清水監督も「本当だったらこのくらい投げれるのに昨日がちょっと不甲斐なかったので気持ちの部分もあると思ったから話をしました。今日はよかったです」と頼れるエースに温かい眼差しを向けた。
▲4回と3分の2を1安打6奪三振無失点に抑え今季初白星を挙げた岩城
今季は開幕から2カード連続で勝ち点を落としたものの、前節の日大、今節の国学大の勝ち点をきっちりと取り見事1部残留を決めた。今節は髙橋、藤本、青木、若井(勇輝=文1・桐蔭学園)などの1年生の活躍も目立ち中大野球部の新たな芽吹きを感じたカードとなった。清水監督は国学大とのこの3連戦を「1つ1つのプレイにずっと集中して声も出てたし全員で戦ったっていうゲームができたので、岩城も含めてですけど今まで殻かぶってたような子も破れたんじゃないかなと思います」と振り返った。
次節は現在リーグ3位で並ぶ東洋大と戦う。中大野球部の目標であった「優勝」の可能性は消失したものの、より高順位獲得へ向けまだまだ熱き戦いは続く。
◆試合結果◆
〇中大 4-2国学大●
◆お知らせ◆
次戦は5月20日(火曜日)に神宮球場で行われる対東洋大1回戦です。
(記事:高橋美帆、写真:高橋美帆、齋藤さくら、橋本唯花、比留間柚香)
公式X(@chudaisports)
Instagram(@chuspo_report)