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苦節6年、藤原監督「物事は何事も相応しい時期にやってくるもの」(監督コメント)─第53回全日本大学駅伝関東選考会

2021年6月19日 神奈川・相模原ギオンスタジアム

19日の選考会で、中大としては2012年以来となる全日本大学駅伝への出場を決めた。2016年に就任した藤原正和駅伝監督は「ずっと右肩下りできたチーム」を立て直すため、意識改革を続けてきた。就任6年目にして初めて得た伊勢路への切符だが「物事は何事も相応しい時期にやってくるもの」と冷静に過去を振り返る。

▲19日発行の本紙号外

「お疲れさま。良かったね!」

──伊勢路出場が決まり、選手たちにかけた一言目は何でしょうか。また今回の選考会を振り返って率直なお気持ちをお聞かせください
走った選手達にはまずは「お疲れさま。良かったね!」と話しています。選考会全体として、ほぼ想定通りの走りをしてくれました。当然まだまだ改善していかなければならない部分もありますが、上手く展開に合わせてくれていましたし、強くなっているなという手応えを得られた選考会でした

三浦は言わずもがなエースですから

──1組から4組までの選手起用について戦略的な部分を具体的にお願いします
1、2組で1位か2位につけておきたいという考えがありました。また戦力的には29分前後の選手が沢山いますので、3、4組で戦える選手を配置しつつ、攻めの1、2組にしたかったのが大前提としてあります。そこで4年生の手島と3年生の助川で一番不安定な1組をスタートさせ、きっちりと組内5番のラインを目指しました。2組も3年生の若林と1年生の阿部でしたが、例年2組が1番ゆったりとしたペースになりつつ、急激に上げ下げを繰り返すので、2人に託し、組内10番以内を目指しました。3組は各校のエースクラスが数名起用されますので、2年生の中野と1年生の東海林を起用しました。中野はレースから遠ざかっていた分、アドレナリンが出る組で使いたかったのと、先を見据えた時にエースになってもらわないとという事もあります。東海林については、5、6月の練習がパーフェクトだったので自信を持って起用しました。失速しましたが、あれが彼の実力ではありません。4組はエースの三浦と2年生の園木を起用しました。三浦は言わずもがなエースですから、ここでやってくれなければ困ります。園木も持ちタイムはまだありませんが、安定感と勝負強さは最早エースクラスです

──今回の13名から8名への選手選考はどのような点を重視されましたか
今回の13名もまずは力のある選手を選びましたので、力は拮抗しています。8名に絞る時には合宿でのポイント内容と直前の上がり方で判断しました。森凪也は一時の不調は脱しましたが、まだ5〜6割といったところでしたので今回は起用に至りませんでした

エースたちを生かすチーム

──今季はエースに頼らないチームを目指しておられます。今大会はエースに頼らないチームを体現できたのではないでしょうか
エースに頼らないという部分ではそういったことを体現できるようにはなってきています。次はエースたちを生かすチームにならなければなりません。その為には、ここからエースたちの成長が必要不可欠です

この状況を変えるには10年はかかるだろうな

──過去にはアクシデントによる途中棄権やあと一歩で出場権を逃した年、昨年は書類審査での敗戦を喫しました。監督ご自身、苦慮を重ねてこられたと思います。改めて母校としては9年ぶり、監督に就任されてから6年目で初めての伊勢路の出場権を獲得されたことについてどのように感じておられますか
これは一個人としての考えですが、物事は何事も相応しい時期にやってくるものだと思っています。そういった意味で、厳しい言い方かもしれませんが、過去5年のチームは出場するに相応しいチームにまでは至っていなかったのではないかと考え、足りないものが何なのか考えながらチームビルディングを行ってきました。様々なことを沢山変えて行かなければならないチームでしたし、これからも改善していかねばですが、私個人としても常々変革を行い、どう選手にチームに接していくか、という部分を考え変えてきた所はあります。常勝チームに成長するにはまだまだ時間がかかりますが、その過程が選手とチームを成長させると考えています。出場が当たり前になり、優勝争いが出来るように、と今回の出場できるということだけに満足せず常々課題に取り組んでいく、その繰り返しでしか強くはなれないのではと考えています。ですので、今は知らない伊勢路をどう戦っていくか、ということにフォーカスしています

──監督に就任された5年前と今年では競技面や精神面でどのような変化があると感じておられますか
初年度に比べると物凄く大きな差があると思います。ずっと右肩下りできたチームを、右肩上がりにするのはそう簡単ではないです。物事には必ず理由があります。弱くなっていった過程を見直し、ダメなものはダメと線引きし、意識改革を促し続けていくしかありません。当たり前のレベルが下がり切ったところから次の年はこのレベルが当たり前レベルと定義し設定してそのラインを上げ続けています。ですので、比べようがないくらい、今の選手達は勝つことに、勝負することに飢えてきていると思います。そのくらい意識を変えていくのには時間がかかると思います

──具体的に監督が就任した当初、部はどのような状態や雰囲気だったのでしょうか。また、改革を行うにあたり第一に取り組まれたことは何だったでしょうか
一言で言うと、戦う集団ではなかったです。何となく進学して何となく陸上を続けて、という感じの選手が多かったと思います。この状況を変えるには10年はかかるだろうなと思ってスタートしましたので、とにかくまずは生活のあらゆる点の改善を植え付けていきました。掃除をするだとか、物を大切にする。だとかですね

吉居、森凪、千守の復活を

──昨年の書類選考での敗戦が今のチームにプラスに働いている面もありますでしょうか
それはほぼないと言っていいと思います

──今大会で課題や改善点が見つかりましたらお願いします。また、その課題や改善点を夏にどのように克服し、駅伝シーズンにつなげていかれるお考えでしょうか
前述していますが、エースを生かすにはエースが成長しないことには始まりません。吉居は勿論ですが、森凪也と千守の復活、そしてそれ以上の成長が必要不可欠です。まだ夏合宿が実施出来るかどうか分かりませんが、チーム全体としてしっかりと練習を積み上げていくのみです

──全日本大学駅伝での目標をお願いします。また、どのような戦い方をしていきたいでしょうか
まだどういった布陣が敷けるか未知な部分が多いですが、エース達と主力・新人を上手くミックスさせて戦いたいと思います。具体的な目標は夏を超えてからということでお願いします

──ありがとうございました

今回の全日本大学駅伝関東学連選考会の写真、結果、コメントは7月5日発行予定の7月号にも掲載予定です。紙面は本学各キャンパスに設置予定ですが、定期購読も受け付けております。

選手コメント記事もあわせてご覧ください

◆大会結果◆
総合順位
①東国大 3時間56分39秒39
②國學院大 3時間56分47秒04
③法大 3時間57分14秒64
④拓大 3時間57分17秒26
⑤中大 3時間57分17秒61
⑥中央学大 3時間57分23秒16
⑦日体大 3時間57分47秒90
以上7大学が本戦へ出場

1組目
#助川拓海(経3)29分42秒41
#手島駿(商4)29分42秒91

2組目
#阿部陽樹(文1) 30分02秒73 PB
#若林陽大(法3) 30分04秒64

3組目
#中野翔太(法2)29分27秒92
#東海林宏一(経1)30分15秒16

4組目
#三浦拓朗(商4)28分58秒51
#園木大斗(法2)29分03秒33 PB

記事・写真:「中大スポーツ」新聞部