2022年5月4日 宮崎・延岡市西階総合運動公園陸上競技場
日本グランプリシリーズ延岡大会「ゴールデンゲームズ in のべおか」が３年ぶりに開催され、5000ｍで世界陸上（７月、米・オレゴン）出場を目指す吉居大和（法３）は13分29秒35と標準記録（13分13秒50）には及ばなかった。レース後「（13分）13秒切ることに集中して、やっていくしかないかなと思います」と参加標準記録有効期間（６月26日）での雪辱を誓った。
▲フィニッシュした吉居大
日中は日差しが強く差し込んだものの、グランプリ種目スタート時点では20度ほどに落ち着き、涼しさを感じるような環境でのレース。まずC組には伊東夢翔（経１）と西優斗（法１）が出場した。スタート直後は二人そろって集団の中ほどにポジションをとるも、レース中盤から徐々に集団から離されていく。3000ｍをともに８分24秒あたりで通過すると、以降も先頭との差は広がったままフィニッシュを迎えた。大きく引き離されることはなかったものの、レベルの高い組で苦戦を強いられ、伊東夢は「考えすぎてしまった」と思うようにはいかないレースだったと振り返った。
▲伊藤夢と西（左）
今大会最もレベルの高い選手たちが集うB組。ケニア出身の実業団ランナーが大半を占める中、かねてから今大会に照準を合わせてきた吉居大が世界陸上標準記録を狙う。
気温、風、外国人ランナーが引っ張る展開と条件がそろう中で鳴り響いた号砲。序盤から積極的に前方にポジションを取ると、最初の1000ｍを２分39秒と標準記録をやや下回るペース。その後、スタート地点から7周目、2800mを７分28秒前後で通過した後、だんだんと遅れを取り始めた。
日本人選手では遠藤日向（住友電工）が徐々にペースを上げる中、吉居大は思うように付いていくことができない。そのまま先頭集団との差がつき始め「行きたいけど行けない」と、終盤は単独走となった。
組トップの遠藤が日本歴代２位の記録でフィニッシュし会場が沸く中、吉居大は13分29秒35でフィニッシュ。「タイムを狙える準備をしてきた分、もう一つというところでしたので悔しさが残った」と振り返った。
▲フィニッシュ後、藤原監督（左）から声を掛けられる吉居大
最終A組に出場したのはともにルーキーの吉居駿恭（法１）と溜池一太（文１）。入学後、思うようにいかない溜池は「今回こそは」と臨んだ。その言葉通り、序盤から積極的に日本人先頭に出た溜池。1600m通過前後まで安定した走りを見せるも先頭を譲り、3000mを前に集団から遅れて大きく引き離された。一方で吉居駿は序盤から終始集団の中ほどにポジションをとるも、徐々に先頭集団から遅れる。最終的には13分43秒22で自己記録を更新したものの「かなり悪いかな」と、日本選手権資格記録（13分36秒）には届かず悔しさを口にした。溜池も13分台に乗れず「改善していかなければ」と苦しい結果となった。
▲フィニッシュする吉居駿（上）と溜池（下）
吉居大が狙う世界陸上の参加標準記録有効期間は６月末。出場には６月上旬に開催される日本選手権で上位に入ることが条件でもある。「標準を狙うチャンスはまだあります。まずは日本選手権でしっかりと順位をとらないと、というところですのでそこに向かっていきます」（藤原監督）と残りの期間でオレゴンへの切符を掴みにいく。
◆結果◆
男子5000ｍC組
㉑伊東夢翔（経１）14:17.67
㉒西優斗（法１）14:27.55
B組
⑱吉居大和（法３）13:29.35
A組
⑫吉居駿恭（法１）13:43.22
⑲溜池一太（文１）14:00.56
◆コメント◆
伊東
──レースを振り返って
「自信はあったのですが、最初の１周目でちょっと違うなというのを感じて、そこで考えすぎてしまって、ペースは上がっていないのに自分の位置が後ろにいるという悪循環な感じになってしまった。それでどんどん集団から遅れていってしまったという感じです」
──どのような目標を設定していましたか
「13分50秒切りで自己ベストを目標にやっていたのですが、思ったよりきつくて、3000ｍ手前で離れてしまった。（13分）50秒を切るためには（3000ｍを）８分15秒とかでいかないといけないので、まだそこの力が足りていないのかなと思います」
西
──レースを振り返って
「ターゲットタイムは13分台でした。去年けがをして全然走れなくて、溜めがない中で入学し、高校と違って練習もだいぶ増えてきて、まだ試合に向けて体を上手くコントロールできていないのが課題だと思いました」
──結果自体自身としてどう感じましたか
「こういう結果で走っても、これから戦っていく相手に通用しないと思う。もう一度しっかり練習して、大会に合わせて形にできればいいと思います」
吉居大
──レースを振り返って
「タイムを狙える準備をしてきた分、もう一つというところでしたので悔しさが残りました」
──3000ｍあたりで単独走になったかと思いますがあの場面をを振り返って
「苦しさがあるというか、行きたいけど行けないというイメージがあったので、まだまだ練習のレベルを上げないと3000ｍ以降は難しいなと思いました」
──タイムについて
「13秒を切れる自信があったので。なかなか、まだまだです」
──今後について
「13秒切ることに集中して、やっていくしかないかなと思います」
溜池
──レースを振り返って
「結果としては悔しい。入学してから思うように走れなくて、今回こそはと思っていたんですけど、まだまだ改善するところがあるので、改善していくしか自分の走りは取り戻せないなと思いました。高校３年の後半は思うように事が進んだというか、いい感じでレースもできていたのですが、大学に入って、環境が変わったからとも思いましたが、ここまできたらそれだけではないなと思ったので、他に原因があると思うので探していかないといけないなと思いました」
──目標と次戦に向けて
「関東インカレに選ばれたら、選ばれない人もいるということなのでその人たちの分まで結果を残さないといけないなと思っています」
吉居駿
──レースを振り返って
「あまりよくない、悔しいレースでした」
──13分43秒ほどでしたがタイムとしては
「かなり悪いかなと」
──どういったところが悪かったと捉えていますか
「先頭で進めたかったのですが、上手くいかずというところで。気持ちの部分でもっともっと攻めていかないとなと思います」
──次の目標に向けて
「まだ明確な目標はこれから監督と相談してですが、強い先輩や同期がいるので刺激し合いながら頑張っていきたいです」
藤原監督
──吉居大選手、標準切りとはなりませんでした
「良かっただけに、目標に届かなかったのは指導者の力不足かなと思います」
──走りとしては
「いい形で入りましたし、ポジション取りも良かったと思います。3000ｍ以降のところの練習がもう少し足りていなかったかなというところですかね」
──監督ご自身もすごく悔しい表情がうかがえますが
「そうですね。いい形でここまでこれていましたので。うーん。まだまだ改善する余地はあるなと思います」
──６月末まで標準を狙っていくチャンスは残っています
「標準を狙うチャンスはまだあります。まずは日本選手権（６月・大阪）でしっかりと順位をとらないと、というところですのでそこに向かっていきます」
（記事、写真：杉浦瑛俊）
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