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【箱根駅伝特集2023/勇往邁進】第9回 創価大・榎木和貴監督「中大卒の指導者が率いるチームはライバル」

今大会、中大出身の指揮官は前回から一人増えて4名。各監督はそれぞれどのような信念で指揮を執っているのか、箱根路でどんな争いを繰り広げるのか─。

第9回は創価大・榎木和貴監督。箱根駅伝特集号の紙面には載せきれなかったインタビュー全文を大公開。(取材は12月7日に行いました)

<榎木監督プロフィール>
榎木和貴(えのき・かずたか) 1974年(昭和49)6月7日、宮崎県生まれ。小林高卒、93年中大入学。箱根では史上7人目の4年連続区間賞獲得を達成。3年次には大志田コーチの指導のもと総合優勝を経験した。2019年2月に創価大の監督に就任。21年には初の往路優勝を成し遂げ、総合順位は過去最高の2位と躍進した。今季は初の三大駅伝フル出場を果たし、出雲6位、全日本5位。


——今回の箱根駅伝には4名、中大出身の監督がいますね。亜細亜大学の佐藤監督含めた五人のLINEグループもあるとか

「前回の箱根では中大さん、東京国際さん、うちが参加しまして、続けて中大卒の指導者が率いるチームが参加できたということは卒業生としてうれしい思いです。また、お互いに刺激をもらいながら戦っていて、負けたくないライバルの一つでもあると感じています。LINEでは定期的に情報交換をしています。ちなみに5人全員の都合は合わなかったのですが、東京国際の大志田監督と私と藤原監督の三名で集まって、箱根駅伝の決起集会をやろうという話をしています。」

——今年は上野監督が率いる立大が55年ぶりの出場となり4校になりました

「上野君がまだ現役で選手を引っ張ってチームづくりをしていて、自分の体を使って選手に伝えたいことを伝えているなと感じます。就任当初からそういうスタイルで、今の現役の選手たちよりも強いタイムで素晴らしいなと思います。それに合わせて選手も結構記録が伸びてきてますので、上野イズムというのが立教大学にはもう植え付けられているのかなと感じています。」

——中大の藤原監督との関係は

「藤原君は学生時代からマラソンで学生記録を出したり、箱根の山で区間賞をとったりと活躍を拝見していたので、試合で会うときに色々な情報交換をしていました。今のホンダの小川(智、平12卒)監督が、私の二つ三つ下の後輩で、監督の下で藤原君が競技をやっていたので、マラソンの成功の秘訣など小川監督を通じて話したこともありました。」

——今シーズンの中大の状況はどう見ていますか

「中央大学は毎年凄くレベルの高い選手たちが集まっている大学で、少し低迷期もありましたが、藤原監督が就任されてから、結果がどんどんついてきてるなという印象があります。特に吉居(大和・法3)君が入ってから大きくチームが改革されたなと感じています。」

——榎木さんは中大時代、4年間箱根駅伝に出て全て区間賞を獲得する偉業を成し遂げられました

「箱根といえばモチベーションが高く持てる試合です。でもそこに向かって、自分1人だけの力じゃ絶対に達成できない部分があります。結果だけを見れば、順調に4回区間賞ですが、そこには山あり谷あり苦労があって。チームメイトの力、コーチ、指導者の力がすべてマッチして結果が付いてきたと思っています。」

——当時は中大で大志田秀次コーチ(現・東国大監督)が指導されていました

「細かいコミュニケーションをよく取ってくださるコーチでした。調子の波をしっかりと理解してくださったので、私も指導者になってから大志田コーチの指導方法を参考にさせていただいています。指導者として何が必要なのかを大志田さんから学ばせていただきました。」

——選手に寄り添った指導を大事にされているんですね

「そうですね。一方的な指導になると押し付けになってしまうので、選手が何を目指しているのか、我々が何を選手に求めたいのかをキャッチボールしながらえ進めていくのが大事だと思ってます。選手となるべくコミュニケーションを取るようにしてます。」

——チームづくりの面で意識していることはありますか

「練習でも試合でも結果を残してくれるエースがいるのが、チームをつくる上で一番大事な要素になってくると思います。今創価大でいえば、嶋津(雄大、4年)、葛西(潤、4年)、ムルワ(4年)ですね。この三人は日々しっかりと努力できるタイプの人間ですので。他の選手たちがそこを目標に同じように頑張れば強くなるんだという意識を持たせてくれるので、そういった部分でエース的な存在がチームにいるということは大きいです。」

箱根では創価大の強みを

——創価大の今のチーム状況は

「タイムから見ても練習の内容から見ても、就任4年目にして一番戦力が充実していると感じます。けがをしている選手もいないですし、各試合で上位で戦えるようになったというのが今までの創価大学にない強さです。」

——箱根においてここは中大に負けたくないというポイントは

「出雲とかスピード駅伝になると、中大は入学時からスピードを持っている選手たちなので、負けるかもしれないですが、箱根の距離になったらうちの強さ、地道に作り上げてきた粘りだけは負けたくないです。」

——スカウティングという面で創価大と中大の違いはありますか

「MARCHブランドが陸上界でも人気で、競合すると、能力の高い選手はそっちに行ってしまいます。我々は、地道に選手を育成していくところを評価してもらわないとなかなかスカウトでは勝つことができないです。4年間努力を積み上げることで、箱根で活躍できるという部分を就任からこの4年間で作り上げてきました。創価大に来れば強くなれるんだという思いを高校生たちが持ってくれればいいなと思います。」

——創価大は優勝を目標にされていますが、中大、立大、東国大の順位予想は

「難しいですね(笑)。駒大、青学大、国学大、このあたりが上位争いをすると予想しています。そこにうちが入ったとしてももう4校いますので。中大さん東国大さん立大さんは…5・6・7位できてもらえれば一番うれしいですよね。全校シード権獲得するぐらいの走りができれば。」

——最後に箱根に向けて意気込みをお願いします

「総合優勝を目標に今年1年動いてきました。私の就任と同時期に入ってきた今の4年生たちがすごく成長してくれて、彼らの口から『総合優勝を目標にしたい』と言ってくれたので、指導者として応えたいという思いが強くあります。」

(取材・構成:鈴木咲花)

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