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西舘涙の完投劇!4年生の活躍で大一番を制し1部残留!ー東都大学野球春季リーグ戦 対駒大3回戦

2023年5月30日 UDトラックス上尾スタジアム
チーム 123 456 789  =RHE中 大 000 011 300  =581駒 大 010 200 000  =371

[駒]松村、高井、仲井、東田ー岩本[中]西舘ー綱川[本]<駒>岩本(2回ソロ、4回2点)<中>安田(5回ソロ)

◆スタメン◆1[三]伊藤 櫂人(文1=大阪桐蔭)
2[一]中前 祐也(法4=浦和学院)
3[二]繁永  晟(商2=大阪桐蔭)
4[右]髙橋 隆慶(文4=明秀日立)
5[左]櫻井 亨佑(商3=習志野)
6[指]野呂田 漸(文2=秋田中央)
7[捕]綱川真之佑(経2=健大高崎)
8[遊]石井  巧(文4=作新学院)
9[中]安田 淳平(商1=聖光学院)
P   西舘 勇陽(法4=花巻東)

最下位回避まであと1勝のところから連敗を喫し、勝ち点1で春季リーグ最終戦を迎えた中大。約1ヶ月ぶりの再戦となった駒大を相手に勝てば1部残留、負ければ入れ替え戦という大一番に臨んだ。 ▲9回を投げきった先発の西舘

中大は初回、2番中前が相手先発の松村(駒大)を捉え、打球は右中間深くへ。追いついたかに思われたがこれを右翼手が落球し、1死三塁のチャンスを作る。何としても先制点が欲しい場面だったが、この日3番に座った繁永が二直、4番高橋が二ゴロに倒れ得点を奪えない。試合が動いたのは2回。初回を無失点で切り抜けた先発の西舘が5番岩本(駒大)に高めに浮いた変化球を振り抜かれ、打球は右翼席へ。先月行った2回戦でも本塁打を浴びた相手にまたしても手痛い一発を浴び、先制点を許した。

早い段階で振り出しに戻したい中大は4回、先頭の繁永がヒットで出塁すると続く高橋の飛球を右翼手が見失い、走者がそれぞれ塁を進める。さらに中継が乱れた間に繁永が一気に本塁突入を図るも、ここはタッチアウト。1死二塁からの再開も後続が倒れて得点には結び付かず、攻撃の焦りが目立ったシーンとなってしまった。

これ以上の失点は避けたい中大だったが、試合の流れは駒大に傾いていく。1死から神宮(駒大)に左翼線に落ちる二塁打を許すと、5番岩本(駒大)に2打席連発となる2ランを浴び、3点差を追いかける厳しい展開で中盤戦に突入する。

この重苦しい雰囲気を振り払ったのは1年生のバットだった。5回、リーグ戦終盤からスタメン出場が続いていた安田が好投の松村(駒大)の速球を捉えると打球はそのままフェンスを越え、反撃の一発に。これが大学初ヒットとなった安田は「とにかく思い切り行こうと思って、振り切って入って、ベンチのみんなもすごい喜んでくれてたので本当に良かった」とまさにチームを勇気づける一打となった。 ▲本塁打を放ち雄たけびを上げる安田

1年生の一発に今度は上級生が応える。裏の攻撃を西舘が3人で封じると、6回1死から高橋が二塁打を放つと続く櫻井、野呂田が四球を選び満塁に。綱川が三振に倒れるも副将の8番石井が左前に適時打を放ち、1点差に迫った。二塁走者は惜しくも刺されたが、松村(駒大)を徐々に攻め立てていった。 ▲6回に適時打を放った石井

駒大が継投に入った7回、ついに中大が流れをつかむ。1死から伊藤櫂が四球を選び、続く中前が犠打、さらに繁永が粘り勝ち四球をもぎ取ると打席にはこの日2安打を放っている4番の高橋。逆転への期待がベンチ、スタンド共に高まる中、イニング途中から登板の仲井(駒大)の2球目をすくい上げると打球は左中間を破り、逆転の適時三塁打に。値千金の一打を放った高橋は三塁ベース上で応援席に向けて何度もガッツポーズを見せ、喜びをあらわにした。高橋は「これまでの試合で自分が4番に座ることが多かったんですけど、大事なところでの1本がずっと出せていなかったのでやっと応援してくれる人たちに恩返しじゃないですけど役割を果たせたのでガッツポーズしました」と時折声を詰まらせながら語った。続く5番の櫻井も適時打を放ち、リードを2点に広げて逃げ切りを図る展開となった。 ▲7回に逆転となる適時三塁打を放った高橋

1部残留まで残り3イニング。6回終了時点で既に100球近くを投じていた西舘だったが「チームが逆転してくれたことで吹っ切れて打者1人1人と対戦していけた。『あとは俺に任せろ』という気持ちで頑張りました」と疲れを感じさせない力強い投球を続ける。8回の上位打線を3人で切り抜け、9回、1回戦で勝ち越しの適時打を浴びた代打の薩美(駒大)を左飛に仕留め、ゲームセット。昨春はプレーオフで敗れ、最下位が決定した上尾の地で今年はリベンジを果たした。歓喜に沸く選手たちのなかで136球を投げきった西舘やチームを引っ張った4年生は安堵の涙を流した。西舘は「ここまで自分のせいで負けてきて、また自分のせいで負けるんじゃないかという怖さがあったんですけど、最後ここを勝ち切れたっていうのが本当に不安だったものが一気に無くなったというか、とりあえず春が終わったなという思い」と語った。清水監督は「高橋は去年の3、4番が抜けて比べられたりしてプレッシャーもあったと思うがここにきてしっかり仕事をしてくれました。西舘は本当に立派だったと思います。よく投げてくれました」と投打の柱の2人を称えた。この試合に向けて「自分たちが中心となってやっていこう」と4年生全員で話し合ったという中大ナイン。清水監督もその姿勢を感じ、信じていたといい、負けられない大一番で苦しい思いを抱えてきた最上級生が力を発揮した。

 ▲試合後、喜びをかみしめるキャプテン中前

今日で全日程が終了し、春季リーグは5位に終わった中大。厳しい戦いが続いたが皆川がベストナインを初受賞し、ルーキーの伊藤櫂、安田が早くも強烈なインパクトを残すなど下級生の台頭も目立った。清水監督は「彼らにはすごく力がありますからもう一度今日の試合のような気持ちで全員が戦える状況を作って秋は日本一を目指して、それができる子たちだと思うので僕も一緒になって頑張ってやっていきたい」と話し、中前主将は「春は簡単な戦いは無かったので秋ももちろん簡単では無いと思う。一戦一戦勝つことだけを目指してこれから頑張っていきたい」と次を見据えた。秋季リーグの反撃に向け、中大野球部の戦いは続く。

◆試合結果◆
○中大 5-3 駒大●

◆お知らせ◆
春季リーグは全日程が終了いたしました。

(記事:志水恒太 写真:高梨晃世、小野祐司)

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