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中大勢4人が全日本で躍動 大舞台でも「楽しむ」ことを忘れないー第60回全日本女子剣道選手権大会

2021年9月19日 ジェイテクトアリーナ奈良

まさに大舞台だ。全国から名だたる剣豪が集まる全日本女子剣道選手権大会が奈良で開催された。前回大会、諸岡温子(経3)が中大剣道部では史上初、他大学や高校生を含む女子学生としての優勝も第41回大会以来の優勝を果たし、俄然中大の注目度も上がっていた。今大会は、小川燦(経4)、佐竹蘭(商3)、徳田侑紗(経1)、小川真英(経1)の4名が出場し佐竹、徳田、小川真がそれぞれ2回戦、小川燦が3回戦まで駒を進めるも惜しくも敗退した。


▲コテを決め見事1回戦突破した徳田

緊張の1回戦。徳田は「この大会に出れたことがすごい事で楽しんで自分の剣道をやろうと思っていました」と積極的に攻めて岩本(長崎県)にコテで快勝。今年初めての試合で一つ勝つことが目標だったという佐竹も、北条(埼玉県)にメンで勝利するなど中大勢の滑りだしは順調。注目の上段の使い手、小川燦の相手は強豪の大西(福井県)。「相手はすごい強い方でチャレンジャーの気持ちで思い切って楽しむ気持ちで試合をした」と話すよう相手の厳しい攻めにも落ち着いて対処し勝負に徹した。178㌢の高身長から叩きつけられる面がこの日も炸裂。見事、大西を破り2回戦へ駒を進めた。3選手が無事に1回戦を突破する中、まさに死闘とも呼べる長い闘いを繰り広げていたのは小川真だ。1年生ながら全日本に出場した期待の若手剣士の相手は、前回大会決勝で諸岡と戦った山崎(宮崎県)。「1回戦の相手は強い相手と知っていたので自分らしく思い切ってやることを意識した」とあくまで自分の剣道を貫く。足を使って攻め込んでいって手数で勝負するのが強みと話すように、相手の強い間合いには入らせず、また後ろに下がることなく自ら仕掛けていく。

しかし、相手は前回大会準優勝の山崎だ。一筋縄ではいかない。一進一退の攻防が続き、試合時間は30分を超えた。それでも「試合をしてる最中はあまり思いませんでしたが試合が終わったら疲労がどっと来ました。試合の最中、休憩のときでもあまり疲れた思わなかったです」(小川真)と集中力を研ぎ澄ませこの長丁場を耐え抜いた。高い集中力を維持した小川真は相手の手元が上がった一瞬の隙を見逃さない。決まり手はコテ。長い間上がることのなかった審判の手が遂に動き、見事死闘を制した。▲小川真は30分以上もの死闘を制す

続く2回戦。徳田は八木(長崎県)にメンを取られてしまい惜しくも敗北。試合後、この大会に出れた事を収穫としつつ自らの課題も語り、また同じく全日本に出場していた姉に対しては「ライバルでありながら支え合える存在」と姉への思いも口にしてくれた。佐竹も大津(福岡)に敗れ3回戦進出ならず。「最後は決まったところに打たれてしまったが、次に繋がる試合ができたかなと思います。大きな舞台で試合ができたことは良かったですが、打たれた時は悔しかったです」(佐竹)と悔しさを口にしつつ、次への期待に胸を膨らませる事ができる見応えのある試合を展開した。また、小川真も藤本(京都府)にメンを2本取られ3回戦進出を逃す。小川燦は、2回戦にメンで勝利し入賞まであと一歩に迫ったものの3回戦、東野(和歌山)にコテで敗れた。「中途半端な近間、相手が届く距離で自分の足が止まってしまい隙を与えてしまったと思うので、中途半端な間合いで足を止めることをなくすことがこれから必要」と相手との間合いの重要性と今後の課題を分析。悔しい思いを持ちつつも実りのある大会となった。

▲3回戦まで駒を進めた小川燦

惜しくも2回戦、3回戦で敗れてしまった、中大勢。しかし「高校まで剣道をすごい一生懸命やってたんですけど大学からは一生懸命やるだけでなく、楽しむことも学ぶことができました」(小川燦)と選手達はこの大舞台を存分に楽しんだ。

チームの雰囲気は良好、「チームの雰囲気はどこの大学よりも一番いい。環境も一番いいと思う」(佐竹)と自信を持つ。良い環境に、良い人材が集まるのは当然。1年生の小川真は「部の雰囲気がよくてみんなで頑張っていこう、支え合っていこうと言う大学で、そういうところに魅了されました」と話すように“部としての強さ”だけではない、“雰囲気の良さ”が中大の新たなストロングポイントになりつつある。

▲鋭い太刀筋を見せる佐竹

次は関東女子学生剣道優勝大会。団体戦で全日本出場者からは徳田、小川燦、小川真の3名がメンバー入り。佐竹は惜しくもメンバーから漏れてしまったが、これが中大の選手層の厚さ。「一昨年は全日本学生に出場することができなかったのでまず、今年は全日本学生の出場権を獲得してそこから上に進んで関東優勝できたらいいなと思います」(小川燦)と気合いは十分。大舞台での経験で得た糧は、必ず次の団体戦で生かされるはずだ。来たる関東大会そしてその先へ、彼女達が見据えるのは”優勝“の2文字に他ならない。

◆試合結果◆

3回戦
●小川燦×コ 東野(和歌山県)○

2回戦
●徳田 × メ 八木(長崎県)○
●佐竹 × メ 大津(福岡県)○
○小川燦メ× 古川(佐賀県)●
●小川真× メメ藤本(京都府)○

1回戦
○徳田コ× 岩本(長崎県)●
○佐竹メ× 北条(埼玉県)●
○小川燦メ× 大西(福井県)●
○小川真コ× 山崎(宮崎県)●

記事:竹内賢心 写真:竹内賢心、尾又賢司