• Twitter
  • facebook
  • instagram

9回2死からまさか・・・痛恨の逆転負けで優勝争いに黄信号―東都大学野球秋季リーグ戦 対国学大2回戦

  1. 2024年10月10日 明治神宮球場

チーム 123456789=RHE

国学大 000000002=242
中 大 001000000=1102

[国]新名、榊原、飯田、坂口-神里、立花

[中]今村、岩城、子安-綱川

[本]なし

◆スタメン◆

1[遊]佐藤 壱聖(経2=東日本国際大昌平)

2[指]佐々木 琉生 (商2=健大高崎)

3[左]櫻井 亨佑(商4=習志野)

4[二]繁永  晟(商3=大阪桐蔭)

5[右]皆川 岳飛(経3=前橋育英)

6[三]伊藤 櫂人(文2=大阪桐蔭)

7[一]松嶋 晃希(経3=浦和学院)

8[捕]綱川 真之佑(経3=健大高崎)

9[中]橋本 航河(経1=仙台育英)

P   今村 拓哉(文4=関東第一)

 

前日の1回戦は完封リレーで先勝した中大。この日の第1試合で東農大が敗れた事により今季の入替戦回避が決定し、続く試合で単独首位を走る青学大も敗戦。3連勝中と勢いに乗るチーム状態に加え、春と同様に優勝だけを目指して戦える環境を整えて国学大との2回戦を迎えた。試合は3回に敵失の間に1点を先制。守備でも盤石の継投で8回まで得点を許さない展開で2日連続の完封劇は目前と思われた。ところが9回、2死走者無しから国学大の粘りを食い止められず、まさかの逆転負け。優勝争いに黄信号が灯る、痛恨の1敗を喫した。

 

中大の先発は2戦目の先発に定着し、今秋ここまで2勝を挙げる今村。最上級生としてチームを支える左腕はこの日も快調。140㌔前後の真っ直ぐとスライダー、落ち球もさえ渡り、3回までに5奪三振。国学大打線を寄せ付けず、攻撃にリズムを生み出していった。
▲先発で試合を作った今村

今村の好投に報いたい打線は3回、2死から櫻井がこの日2本目の左安打を放つと、すかさず盗塁に成功。このチャンスで4番繁永の打球はショートの横へ。伊東(国学大)が捌くも1塁への送球が逸れ、この間に櫻井が生還。期せずして中大が先制に成功する。初回から相手先発の新名(国学大)から安打を重ねて攻め立てていただけに、ここで大きな1点が生まれた。


▲先制のホームを踏んだ櫻井とハイタッチする綱川(手前)

援護を受けた今村はその後も変わらぬ好投を続ける。4回には先頭の土山(国学大)に内野安打を許すも、今季正捕手に返り咲いた綱川が好送球で盗塁を阻止。バックも今村を盛り立て6回まで得点を許さない。一方の打線は毎回走者を出すも、追加点が遠い展開が続く。6回には2死から皆川が死球、伊藤櫂が三遊間をしぶとく破る安打を放ち、この日既に2安打の7番松嶋が打席に。しかしこの回から登板の榊原(国学大)の低めの変化球にバットが空を切り、ここも得点には結びつかない。

こう着状態のまま迎えた7回表、好投を続ける今村が1死から安打を浴びると、「あそこで少し足がつってしまったので思い切って」(清水監督)とここで満を持して岩城颯空(経3=富山商業)が登板。今季の必勝パターンとも言える継投で逃げ切り体制に入った。岩城はこの日も最速148㌔の力強い直球を軸に強気の投球を披露。2死二塁のピンチも空振り三振に仕留め、同点を許さない。岩城は8回も国学大打線を三者凡退に抑え、連投の疲れを見せない気迫のピッチングを続ける。
▲7回途中からマウンドに上がった岩城

両チーム無得点で試合はついに9回へ。マウンドにはそのまま岩城が上がった。先頭の土山を直球で空三振、続く赤堀を二飛に仕留め、勝ち点獲得まであとアウト1つ。土俵際まで国学大を追い詰める。しかし、ここから相手打線も意地を見せる。4番仲村(国学大)に追い込みながらも高めに浮いた直球を中前に運ばれると、続く打者の緩いショートゴロを佐藤壱がエラー。一転して一打同点・逆転の局面が訪れる。清水監督とバッテリーはすぐにマウンドに集まり状況を整理。あと1人抑えれば勝利という展開は変わらず、内野陣にも焦りの様子は見られなかった。打席には途中出場の宮坂(国学大)。1ボールからの2球目、真ん中高めの146㌔直球を捉えた打球は無情にも右中間を破り、走者2人が生還。三塁手の伊藤櫂が大きく天を仰ぐ様子がこの一打の衝撃を物語っていた。ほぼ手中に収まっていた白星はスルリと抜け落ち、一瞬にして追いかける展開に変わった。
▲最終回に逆転を許し降板する岩城

再逆転をかけて迎えた9回裏。中大打線も粘りを発揮する。1死から橋本が快足でショートへの内野安打をもぎ取ると、続く佐藤壱も詰まりながらも三塁手の頭上を越える内野安打で繋ぐ。佐藤豪(経3=藤代)は左飛に倒れるも、2死一、二塁の好機で打席には主将櫻井。勝敗が懸かったこの場面で、前日ケガからの復帰登板を果たした国学大のエース坂口翔颯とのドラフト候補対決が実現した。両コーナーの直球で押す坂口に必死にファールで食らいつくも、最後は低めのチェンジアップにバットが回り空振り三振。執念の追い上げも実らず、まさに痛恨の逆転負けとなった。
▲整列の際に岩城(右)に寄り添う今村

試合後、清水監督は「分からないですね、野球っていうのは。ヒットも10本打ってるけど、最後もう1点がってところが最後に響きましたね」と言葉を絞り出した。繁永、櫻井、松嶋、橋本の4選手がマルチ安打。投手陣も含めてそれぞれが持ち味を発揮した中でもわずかにあと一歩、あと一球のところで勝利には届かなかった。中大にとっては野球の怖さを痛感した1試合。敵将の鳥山監督(国学大)が「9回2死ランナー無しからの逆転。こういう野球がやりたくてチームを作っているので、僕自身も感動しています」と言葉を紡ぐ様子が戦国東都の壮絶さを象徴していた。
▲この日2安打の繁永

リーグ戦も佳境を迎える中での痛い1敗。優勝を目指す中で、結果としてはひとつ足踏みする形となったが、この試合を契機にもう一度チームの改善を図れるか。明日の試合で青学大が勝利し、中大が敗れるとリーグ優勝の可能性は消滅する。目の前で胴上げを許した春の悔しさを晴らすために、ここからは1つも負けられない。

◆試合結果◆

〇国学大2-1中大●

◆お知らせ◆

次戦は10月11日(金曜日)に明治神宮球場で行われる対国学大3回戦です。

 

(記事:志水恒太 写真:髙梨晃世、橋本唯花)

 

公式X(@chudaisports)

Instagram(@chuspo_report)