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【独占取材】中村憲剛氏に聞く「大学サッカーとサッカー選手の在り方」

12月14日、多摩キャンパスにてアスリートによる次世代応援企画「HEROsLAB」のイベントが開催され、中大サッカー部OBの中村憲剛氏が参加した。

中村氏は中大サッカー部所属時代の3年生から10番を背負い、最終学年の4年生ではキャプテンに就任。当時2部に位置していたチームをけん引し、見事に1年で1部復帰をかなえた。

2022シーズンからは、中大サッカー部のテクニカルアドバイザーに就任することが決定している。▲現役部員に向けて講演を行う中村氏

大学を経由する良さとは

「社会性だったり協調性であったりというのは、やっぱりいろんな枠組みがある高校生までと大学生は違うんだよね。例えばそれは、この部活もそうだし、バイトとか、そこでいろんな人とつながりができて、そこで影響を受けるものが高校生とは比べ物にならない。そうやって4年間を過ごすと、すごくいろいろ備わるというか、社会で活躍できる準備が4年でできる。

それもやればできるし、やるかやらないか自分たちで選べる年齢でもあるから。自分がどうしたいのかでいくらでも道が作れる場所だと思いますよ、大学は。自分の胸に聞いてほしいね、どっちにするかっていうのを。今の過ごし方、明日とかも、半年後の過ごし方で、またその時にどれくらい積み上げてきたかで選択肢が変わってくるから。」

▲競技指導の様子

ケガ、監督交代を経験してもフロンターレ一筋で活躍できた理由は

「まず組織にとって、中村憲剛という人間が有益だったかどうかというのは、ずっと問うってきたわけでプロとして。だって価値がなかったらいらないんですよ。価値があるからお金を払ってもらって給料ももらって自分がプレーできるから。じゃあそのために何ができるかっていうのは、ずっと考えてやってきました。

ピッチ外のことだけやってればいいわけじゃないし、アスリートの大前提はピッチの上でいかに出続けるかだから。レギュラーでずっと居続けなきゃいけない。

それを40歳まで俺は捨てなかったし、試合に出なくてもいいやって思ったら引退しなきゃいけない。チームから終わりって言われることもあれば、自分で選べる人もいるし。そのために24時間をどうやってコントロール、作り上げる、いかにこのチームにとって有益な存在であり続けるかということは考えてきました。」

これからどんな選手が必要とされてくるのか

「人の話を聞く力と自分の思っていることを主張する力というのは、これからの社会ではより必要になると思う。もともと必要なんですけど、人口も減ってきてるわけで、いかに有益であるかを考えたときに言われたことをただやるのは誰だってできるわけだから。

もちろん言われたことをできない人もいますから、だけどその時に自分どっちがいいのって話ですよ。どっちがいいのって常に胸に問ってほしい。そしたら、いろんなことができる人材になっていくから。周りも本当に全力で頑張ってたら周りも求めるし助けてくれるし、けど頑張らないやつもいると思うけど、別に何とも思わない、手助けしようと思わないでしょ?

だけど頑張ってたら、なんかしてあげたいって、そう思わせる。そのためには、ちゃんと人の話を聞いて自分の意見をちゃんと言う、流されない、その強さが大事。」

記念撮影

大学入学後に出場機会に悩んでる選手のモチベーションの保ち方

「僕はそういう考え方をしたことがなくて、だってサッカー好きじゃないですか、僕好きなんですよ。だから、好きなサッカーを自分で裏切りたくないからモチベーションを保つ必要はなくて湧いてくるから。練習でそこにパスつけらるかどうか楽しいし、ミスったらまた次やらなきゃ、それがモチベーション。結局そういう気持ちがなくなったりとか、自分で自分の可能性を削る、ベンチになってダメだな俺、そしたらもうダメだよ、だって自分だもん。誰も助けてくれないから自分で頑張るしかないじゃん。そのために頑張ってる人を手助けする、そうじゃない人は手助けできないだってもう自分が塞いじゃってるから。

で、意外とエリートの方がそういう挫折は大きい。だって知らないだもん、それはその時に進化が問われる。ここではい上がれるか上がれないか、その人次第。そこまで救済する必要はないと思ってる、だけどチームだからみんながやる、それでなんとか戻って、自分で気づいて自分が走ればいい。それで変わってくる。もともと能力あるんだからユースで有名なやつらとか。それをちゃんとチーム全体でマネジメントできるかが問われる。そういう集団であってほしいなと。

別に仲良しこよしじゃない半分プロみたいなもの。プロ行くやつもいるし、就職する子もいるし、そういうところが入り乱れるから面白いしいろんな経験、いろんな考え方ができる。プロはそういう考え方じゃないからみんな一色淡、一緒だからどうやって結果を残すかというやつらしかいないから。いろんな方向に進む場所じゃないから大学と違って。

だから、大学はいろんなことが学べると思った。プロは、とんでもない場所だった、だって足の引っ張り合い。だけど仲間を受け入れて、リスペクトしたうえでやると、それが凄い力になるというのは大学にないところだと思う。だけど大学は、みんなで助け合うから出るパワーはプロには出せない。」

(取材、写真:奥村杏)