• Twitter
  • facebook
  • instagram

剣道部史上初の快挙! 諸岡が驚異の快進撃で優勝を果たすー第59回全日本女子剣道選手権大会

2021年3月14日 長野・ホワイトリング

東京都代表として今大会に出場した諸岡温子(経2)が強敵を次々と打ち破り、見事に優勝を果たした。中大剣道部では史上初、他大学や高校生を含む女子学生としての優勝も第41回大会以来の快挙となった。諸岡は優勝直後は「まだ実感がわかない」とコメントするなど現実感がない様子を見せるも、閉会式後には優勝杯を手に笑顔を見せる場面もあり、喜びの表情も見せた。また、神奈川県代表の杉本咲妃(経1)も1年生ながら予選を勝ち抜いて全日本の舞台に立ったが、惜しくも1回戦負けを喫した。

▲太刀筋を見切られた杉本

先に登場したのは杉本。先輩の諸岡に送り出されるようにして1回戦に臨んだ。自身が魅力を感じていた中大の「攻めの剣道」を自分のものとすべく、杉本はじわじわと相手に詰め寄り、引くことなく果敢に攻めていった。しかし、試合時間5分の間に決めきることができず延長戦に突入すると、粘りを見せるも社会人である中原(大阪府・Panasonic)にメンを決められ、日本最高峰の舞台に立つも悔しい1回戦負けとなった。杉本は「全日本選手権に出られたことは次につながる。実力のなさや課題がはっきりと見えたので、悔しさを忘れずにこれからやっていきたい」と語り、先の試合へと照準を合わせた。

▲敗戦後悔しがる杉本(手前)と声をかける諸岡

一方、杉本の敗戦を近くで見ていた諸岡は、その背中を後輩に見せるようにして初戦から「攻めの剣道」を展開し、相手に流れを渡さなかった。試合開始直後から勝ち気で攻めていく姿勢を貫き、試合を進めると、2回戦では先にメンを取っても決して緩めず、立て続けにメンを決め5分のブザーを待たずに勝負を決める。その後も勢いが止まらず、3回戦の村田(鹿児島県・鹿屋体大)と4回戦の小川(新潟県・日体大)との学生との連戦も、自粛期間に鍛えたという体力を見せつけ、怯まずに年上学生を相手に勝利を重ねていった。

▲きれいにメンを取る諸岡(2回戦)。この日の決まり手はいずれもメン

少し時間が空いて始まった準決勝も諸岡は序盤から攻めていった。しかし諸岡がコテを狙いに行った隙を見逃さなかった竹中(栃木県・栃木県スポーツ専門員)にメンを決められ、今大会初めて相手に主導権を渡してしまう。それでも今大会の諸岡を突き動かした「チャレンジャーの気持ち」で恐れずに相手に立ち向かい、すぐさまメンを取り返して試合を振り出しに戻した。次の一本で勝負が決まる場面でお互いに相手の出方を伺いながら、二人は慎重に試合を進め延長へ。延長も探り合いながら試合が進み、数十秒が立ったころ、ほぼ同時に繰り出されたメン打ちが交差するようにしてお互いのメンをめがけて振り下ろされると、諸岡の剣が竹中の面に届き、審判の旗は諸岡の方に上がった。一度は崖っぷちに立たされるも、逆転勝ちで決勝へと駒を進めた。

▲「攻めの剣道」を貫いた諸岡

決勝の相手は中村学園高校時代に1学年上の先輩として諸岡に影響を与えた山崎(宮崎県・明大)であった。二人は一昨年の新人戦の団体戦、準々決勝の大将戦でも対戦しており、そのときは諸岡がドウを決めて勝利を収めている。それでも、今回も諸岡は「チャレンジャー」として先輩に挑む気持ちを持って日本一の座をかけた決戦に臨んだ。試合開始直後の山崎の気迫のこもった声に負けじと諸岡も声を張り、立ち上がりから素早い剣のやり取りが展開された。わずかな隙も見せようものなら一瞬で勝負が決まりそうな雰囲気が漂う中でも諸岡は臆することなく仕掛けていった。しかし5分が経過しても試合は動かず、両者一歩も譲らぬ戦いは延長戦までもつれ込んだ。体力的にも厳しい状況の中だったが、延長戦が始まって1分が立つ頃にその瞬間は訪れた。「(優勝の瞬間は)なんとなく覚えている。体が反応した」と言葉通り、諸岡は山崎が自身の懐へ潜り込む瞬間に反応し、山崎のメンを打って勝負を決めた。予選から負けなし、文句なしの優勝だった。

今大会は例年であれば、9月ごろに行われる大会。新型コロナウイルスの影響によって延期をされたものの大会開催までこぎつけることができた。大学生のみが出場する大会は行われていないため、予選も含めると、この大会が今年度の唯一の大会であった。また、警察の選手は今大会は不参加となっており、学生にとってはチャンスともいえる大会でもあった。その大会で諸岡はチャンスを生かし、見事に優勝杯をかっさらっていった。

▲優勝杯を手にし笑顔を見せる諸岡

◆試合結果◆

決勝
○諸岡メ-山崎●

準決勝
○諸岡メメ-メ 竹中●

4回戦
○諸岡メ- 小川●

3回戦
○諸岡メ- 村田●

2回戦
○諸岡メメ- 乗田(三重県・教員)●

1回戦
○諸岡メ- 飯島(長野県・教員)●
●杉本- メ中原〇

 

記事・写真:「中大スポーツ」新聞部