2024年12月29日 テクノルアイスパーク八戸
8年ぶりの決勝進出を果たした中大の相手は、3年連続決勝進出をしている明大。種市悠人主将(総4)が不在の中でも、関大戦に引き続き、流れを引き寄せる堤虎太朗(総4)の先制点で試合が動き始めた。試合時間残り5秒、会場内で響き渡るカウントダウンとともに、9年ぶり4度目の優勝を決めた。
〈第1ピリオド〉
パックの奪い合いが激化し、攻守の入れ替わりが頻繁に行われた第1ピリオド。開始から10分、先に中大がペナルティを取られてキルプレーに。攻め込んでくる明大に川合温大(文3)が落ち着いたセーブを見せた。直後のフェイスオフを堤が取るとゴール手前に位置していた角丸陸斗(国経3)にパスが通るも阻まれる。さらに明大のリバウンドを奪うと、堤がスピードに乗ってゴールまで切り込み、ゴーリーと1対1になるも、惜しくもセーブされる。キルプレーにも関わらず、人数的不利など関係ないと言わんばかりの攻撃的なプレーを展開する。
▲セーブをする川合
幾度となくシュートを放つも、得点が動かないまま残り1分30秒。中大のパワープレーとなり、ゴール前でパックを回す中、木村祐翔(商3)がシュートを放つも阻まれた。しかし、すかさず堤がリバウンドをとってゴールにたたき込む。前日に行われた関大戦に続き、今試合も堤が先制点をあげた。「絶対に負けられない、みんなで優勝したい」(堤)という強い気持ちがこもった1点でチーム、そして会場を盛り上げた。両者のゴールキーパーが好セーブをする中、パワープレーを制した中大の1点リードで第1ピリオドを終えた。
▲先制点をあげた堤
〈第2ピリオド〉
中大は第2ピリオド開始直後から小岩獅竜(商 1)、小野田蓮(経3)がゴールに迫り、明大にプレッシャーをかけていく。試合を動かしたのは角丸。夏野、高崎泰成(総2)のアシストを受け、キーパーの裏をつくようにしてシュートを決めた。続く得点は、普段はディフェンスの要としてチームに貢献する大野将輝(商4)。ミドルシュートをゴールに突き刺し、中大に流れを引き寄せる。
▲攻守ともに活躍を見せた大野
第2ピリオドも好調を維持する川合と、強化してきたディフェンスよってゴールを守る中大だったが、一瞬の隙をつかれて一対一に持ち込まれ、得点を許してしまう。その約1分後、明大はこぼれ球を決め、まさに押せ押せムード。これを断ち切ったのは夏野晃輔(商4)。堤からパスを受けた夏野はキーパーの正面から得点を奪った。中大は、ゴール前が混戦し、油断ならない場面でも、川合のナイスセーブで得点をしのいでいく。第2ピリオド終盤、夏野がディフェンスをかわして角丸にパスを渡し、角丸もフェイントを入れてシュートを放ち得点。中大は3点にリードを広げて流れを引き戻し、第2ピリオドを終えた。
<第3ピリオド>
5-2と3点中大がリードしている状況で第3ピリオドが始まった。開始早々に夏野と角丸の息のあったコンビネーションが炸裂。小岩も1年生とは思えないほど堂々とプレーをし、シュートを打っていく。中大の攻撃が緩むことは一切なかった。しかし、開始3分にデイフェンスをすり抜けられ得点を許してしまう。明大もまだ諦めていなく、虎視眈々と勝機を狙っている。試合は一進一退の攻防戦を繰り返し、息つく暇もないくらい緊迫していた。第3ピリオドも折り返しに差しかかる頃、辻崇太郎(経2)、小岩が得点。さらに点差を広げていく。まさに「攻撃は最大の防御なり」を体現した試合。相手も鋭いシュートを放つもGKの川合が完璧に封じ込めた。残り2分、豪快な棚橋映斗(経1)がシュートを放つ。弾かれてしまうも、さらに藤間航哉(経3)が押し込み得点。
▲存在感を見せた角丸
点差が大きく開いても最後まで気を抜かずにプレーをする中大。試合時間残り5秒、観客席からはカウントダウンが始まり、そして試合終了のブザーが鳴った。9年ぶりインカレ優勝。選手たちは涙を流しながら喜びをあらわにし、自分たちの防具を宙に放り投げお互いに駆け寄る。勝利の雄叫びが会場に響いた。
▲喜ぶ選手たち
9年ぶりに悲願のインカレ優勝を果たした中大。また、個人賞では大野、堤、夏野、角丸、川合の5人が受賞。さらに最優秀選手賞に種市が選ばれた。今シーズンでは多くの好成績を残してくれた中大スケート部。来シーズンではどんなプレーを見せてくれるのか、目が離せない。
▲表彰式後の選手たち
◆試合結果◆
〇中大8(1-0、4-2、3-1)3明大●
◆コメント◆
角丸選手
―今の率直な感想
本当に嬉しいしか出てこないです。
―個人賞を取った今の気持ちは
本当にラインメイト、(夏野)晃輔さんや(堤)こたさんのおかげが結構大きいので、本当に2人には感謝しかないし、2人と一緒にホッケーできて嬉しかったです。
―4年生との思い出
こんな感じ(堤選手がカメラを向けている状況)でふざける人なので、いつもこんな感じで困らされています。それが一番の思い出です。
―来年の意気込み
またこの舞台でこの景色をみんなで見たいので、また1から頑張っていきたいと思います。
斉藤愁馬選手(経3)
―今の率直な感想
やっぱり優勝できてとても嬉しいです。
―4年生との思い出
部屋の先輩たちとよく部屋飯に行ったり、他の先輩たちともいろいろなところに連れて行ってくださって遊んだり、一番思い出に残っています。
川合選手
―今の率直な感想
めちゃくちゃ嬉しいです。
―インカレ全体を振り返って
思う部分はいろいろあるんですけど、優勝できたので100点満点かなって思います。
―どんなところが?
1ピリ0(点)で終わって、その後の2失点っていうのはちょっと悔しいというか、あそこで0でいけたらもっともっと勢いに乗れていたのかなって思うので、そこは課題として来年に持って行ってしっかり改善していきたいなと思います。
―インカレを振り返って点数を付けるとしたら
150点ですね!
―1ピリの明治戦、自分の守りについて
想定していた通りの他のチームには無い激しい攻めを我々が守っていく感じで、気持ち的にもチームとしてひとつになって頑張って行こうという感じで、自分自身が持っている力っていうのを1ピリでしっかり発揮できたのかなって思います。
―試合終了の瞬間、どんな気持ちだったか
準々決勝の東洋大戦からすごいプレッシャーっていうのを感じてて、いろんな人からエールをもらうとそれがプレッシャーに感じて、それが一気に解放されたっていう感じです。嬉しさ、喜びが一気にガーって気持ちが爆発したって感じですね。
―どの辺の時間から勝利を確信したか
残り2分くらいですかね。明治も何やってくるかわからないので。さすがに8点入ったときは気持ちも楽になりました。
―今日の調子は
身体としてはめちゃくちゃよくて、後は緊張せずに自分がどれだけできるかなって感じだったので、よかったなって思います。
―来シーズンに向けて
今年の4年生は本当に尊敬できる部分がいろいろあって、来年はやっぱり守り中心のチームになっていくと思うので、しっかりそこはチームでもっともっと知識として堅めて、インカレ2連覇に向けて前進していきたいなと思います。
八戸監督
―勝利した今の率直な感想
8大会ぶり、9年ぶりですかね。コロナで中断した時期もあったので、しばらく空いちゃったんですけど、本当に久しぶりの優勝で嬉しいです。
―今日の勝因
第1セット、第1ラインの、相手をぶち切るような、要所要所での得点、それが大きかったんじゃないですかね。
―ディフェンス面の強化について
学生にしてみると、割とシンプルに単調な練習が多かったので、「またかよ」って思っていたのかもしれないんですけど、やっぱりこういう大一番になると、いかに基本に立ち戻れるかっていうところがポイントだったと思うので、そこの部分が強化できたのは大きかったんじゃないかなという風に思います。
―昨年課題にあげていたフィジカル面について
フィジカル面の課題は今も残っていて、ただ今の大会のフォーマットとスケジュールの関係で、どの期間に強化しようかなと年間マスタースケジュールを組んだときに、なかなか時間をかけてそれを取り組むことができないかなって思っていて、そこで春にトレーナー・コーチともいろいろ相談して、どちらかというとフィジカルにアプローチするのは当然なんですけど、そっちに比重を置くというよりかは、とにかく走るっていうことにフォーカスして、スピード、運動量、そこでとにかく自分たちのホッケーを確立させてっていうことをチームにも共有して、それを浸透させたつもりではいます。
―昨年に比べて押し負けている印象は少なかったが
重い物を持たせたりっていうのが、チームの練習の中ではあまりやってはいなかったので、それよりも去年とか一昨年の方がやっていたかなというのはあるんですけど、結果としてフェンス際負けたりするようなケースもあまり無いし、守り方はちょっと上手になってきたかなっていう風に思います。
―来年のキャプテンは
角丸。
―どのような経緯で
我々から見ると今の3年生って、強力なリーダーシップがある子っていないかなという風に見ていて、ただ自分の中でもなんかこいつが中心になっていくのかなっていう子は2、3人いたけれども、良い意味でも悪い意味でも決定打に欠けていたので、この間、3年生を集めて個別に話を聞いたんですね。自薦、他薦含めて、こういう形でやりたいっていう話があったので、意見を集約して、スタッフの意見も加味して、この形でやるのが一番いいだろうっていうところで決まったのがこの案でした。
―種市選手はどのような主将だったか
言葉数は少ないし、コミュニケーション下手というか、そういうところもあって誤解される点も多々あったので、彼は彼なりに苦しんでいたとは思うんですけど、彼は背中で引っ張っていけるようなタイプなので。練習量はチーム1やっているのは誰が見ても間違いない話ではあったので、そういったところでなかなか辛い思いも抱えながら、苦悩しながら頑張った1年だったかなという風に思います。
―(主将が角丸さんになって)また違ったタイプの主将になると思うが
楽しみですね、またどういう1年になるか。
◆お知らせ◆
4年生へのインタビュー記事は下のリンクから見られますので、ぜひ合わせてご覧ください。
(記事、写真:水﨑菜花、福田菜緒、塚越香都)
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