新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、主要大会が次々と中止となった2020年。先月開催されたインカレは選手たちにとって約半年ぶりの大会となった。感染拡大予防を徹底した上で開催に至った今大会は様々な面で規制があったという。そのような異例な大会に臨んだ選手たちは何を感じ、何を考えたのか。今回はインカレ男子400㍍自由形で準優勝の遠藤光(法2)と4位入賞の井本一輝(法1)に話しを伺った。
※この取材は10月中旬に電話にて行われたものです
▲男子400㍍自由形で準優勝を果たした遠藤(左)
〈遠藤選手・インタビュー〉
――今回は普段と違う大会になったと思いますが、それをどのような時に実感しましたか
遠藤「中央大学はインカレ上位8校のシード校になっていて、いつものインカレだとプールサイド側に応援席がシード校だけ設けられるのですが今回はなかったです。中央大学は『総合優勝』という大きい目標を掲げてやってるチームなので、応援もすごい力入れてやっていました。ですが今回は無観客試合ということで応援もできず、中大らしさっていうのがすごい出しにくい大会でした」
――応援がなかったことでレースに影響はありましたか
「昨年は一年目ということですごい緊張していました。今年は応援の無いことやハイタッチができないことを逆にメリットっていう風に捉えて、緊張しないように自分のレースがうまく組み立てやすいような環境になってるのかなって思っています。気楽にできて、すごいいい結果が出てました」
――気楽に伸び伸びとできる環境の方が結果は出しやすいのですか
「そうですね。『チームのため』って去年すごい思っちゃってて、いつの間にか自分を見失っちゃってるときがありました。あとは今回2回目ということもあり、自分らしさが出せたのかなと思います」
――大会前はどのようなことを考えていましたか
「こんな状況の中、大会1日目は川根さんが優勝してくれて。やっぱり波を自分で作らないとチームの雰囲気も上がらないのかなと思ってまずは自分のために、400自由形泳ごうと思いました。予選で気楽に泳いだ結果、ベストが出ました。決勝は体もキツかったんですけどメダルもとれる圏内にいたんで頑張ったって形ですね」
――同じレースに後輩の井本選手もいましたが何か話はされましたか
「後輩なんで負けられないってのもあったんですけどやっぱり一人で決勝に残っているわけじゃないので。一年生は初めてのインカレってで僕も去年インカレですごく緊張したので『気楽に一年生は頑張るだけでいいから』って伝えてレースをしました」
――改めてコロナの影響ということで何か考えることはありますか
「練習の再開もギリギリまでしなくて、各自練習って形をとっていたり他大と比べて一番最後に練習が始まったって言っても過言では無かったです。400や8Kの結果ってのは自信につながっているので、総じていい大会だったのかなと思います」
〈井本選手・インタビュー〉
▲男子4×200㍍フリーリレーに出場した井本(右から2人目)
――初めてのインカレでしたが大会の雰囲気はどのようなものでしたか
井本「今回はコロナウィルスの影響で観客がいない中、応援が拍手で、声も出せず、なので、あまり大きな大会っていう感じはしませんでした」
――新型コロナウイルスの影響でなかなか思うように練習ができなかったと思うのですがどうでしたか
「僕は逆に休めて、気持ちが入りました。リフレッシュできたっていうのと、休みがいい方向に行ったという感じです」
――どのようにリフレッシュを行っていたのですか
「水泳から離れて、水泳をしたいと思うようになりました」
――4位に入賞した男子400㍍自由形のレースを振り返っていかがですか
「3位まであと少しだったので、メダルは最低取りたかったんので、そこは少し悔しかったです」
――インカレ全体を振り返っていかがですか
「無観客とか緊張しなくて逆によかったなと思っています。来年からは優勝をしていってチームを引っ張っていけたらいいなと思います」
感染拡大予防のためさまざまな面で新たな形をとった今大会。そんな多くの変化があった中、遠藤は男子400㍍自由形では自己ベストを更新、井本は初出場ながら男子4×200㍍フリーリレーで表彰台にのぼった。取材を通し、変化に適応しようとしている選手の姿が見えた。
写真:日本水泳連盟・水泳部提供 記事:「中大スポーツ」新聞部