パリオリンピックが26日に開幕し、中大水泳部から出場する池本凪沙(法4)のレース本番が直前に迫っている。先月、池本は中大スポーツのロングインタビューに応じ、代表内定時とパリ出場への気持ち、5月から先月にかけて出場した欧州GPや改めて東京五輪の振り返りのほか、これまでの競技人生などについて語った。(聞き手・構成:桑沢拓徒)
▲東京に続きフリーリレーで五輪に出場する池本
「また頑張ってくれ」神様が連れていってくれた
―五輪も近づいてきましたが、今の気持ちや調子はいかがですか。
まだオリンピックに出る実感というか、緊張感というのはないんですけど、やっぱり4年に1回の特別な大会で、しっかりとその場で自己ベストに近いタイムをリレーで出したいという思いは強くあるので、一回一回の練習をしっかりと今までやってきたことよりかは「プラスでこれもできるんじゃないかな」という感じでプラスアルファを見つけて(練習を)大切にしています。
―現在のスケジュールを教えてください。
7月10日からフランスのアミアンに直前合宿の方に行くので、それまではこっちで、練習メインでウエートも兼ねて、週2なんですけど、それをやって調整っていう感じです。
―リレーでの代表内定は可能性として選考会で何度か言及していましたが、それが確定したタイミングはどちらにいらっしゃいましたか。
(選考会の)次の次の日ぐらいに、1週間オフをもらっていたので、地元に帰る新幹線ぐらいで、コーチから連絡が来て「決まったよ」みたいなことを言われて「あ、良かった」という感じで思っていました。
―その時の気持ちは安どが大きかった。
周りの方からは「行けると思うよ」みたいな感じで、6割ぐらいで行けるみたいなことを言われていたんですけど「でも確定じゃないしな」みたいなことを思ってたし、どういうふうに選考されるかもまだ分かっていなかったので、けっこうハラハラはしていたんですけど、本当に決まったって言われてとりあえず入れて良かったという安心でした。
―選考会後から確定するまでは不安もありましたか。
そうですね、確定するのとしないのとでは5月からの練習などが変わってくるので、本当に入っててくれという思いで過ごしてました。
―代表選考会を改めて振り返って、結果としてリレーの代表内定がありますが、それ以外の成果や課題はどのように考えていますか。
自分自身の目標としては、個人での(五輪)出場を目標としていたので、それがかなわずギリ4番手で行けたところなんですけど、そこは本当に「また頑張ってくれ」っていうような感じで、神様が連れていってくれたんじゃないかなというふうに思いますし、選考会が終わって初めての大会がヨーロッパグランプリだったんですね。なので、そこでとりあえず良いタイムでしっかりと一戦一戦を自分の納得のいくタイムで泳げたらなと思っていたので、モナコで良いタイムで泳げてまずまずなんじゃないかなというふうに思いますけど、一戦一戦気合を入れて、油断せずに行かないといけないというふうに思いました。
―選考会ではメンタル面の課題を挙げていました。
練習でできてることが本番では発揮しづらいっていうのはあって、選考会も本当に気持ちであそこまで持っていけたっていう感じだったので、選考会の2フリ(200㍍自由形)の準決でちょっとミスってしまってから気持ちが落ちてしまって、立て直すのが難しかったんですけど、選考会で4番で58秒5っていうところまで上げられたので、そこは本当に自信になりました。
ヨーロッパグランプリでも「予選から行く」っていうのがジャパンチームの方針としてあったんですけど、初めて9時半から58秒台で日本でもできないことを初めて海外の試合でできたので、選考会の気持ちの持ちようっていうか、決勝あれだけのタイムで泳げたことは良い経験になっていると思いますし、メンタル的にも強くなったというか一歩成長したかなと自分では思っています。
リレーメンバーは〝これまでにないぐらい〟仲良し
―現在の練習やトレーニングメニューでの重点を教えてください。
今はスプリントというよりかは200㍍でもつ練習を心がけていて、選考会から少し泳ぎを変えたんですね。海外の選手特有の前に重心を置いて、腕を前に置くというのを意識して泳いでいて、スプリント50㍍をけっこうやるよりかは200㍍を何本かやって、楽に200㍍ハードを泳げるような練習を今はしています。体力面って感じです。
―練習で手応えを得ている部分、課題だと感じている部分は何でしょうか。
練習で手応えを感じている部分は日によっては全然違いますし、課題だなって思うこともその日の調子によって全然違うんですけど、同じ練習メニューでこの前のタイムより今回上げられたなというふうに思うと、やっぱり強くなってるんだなっていうふうに思いますし、それで気持ちが上がったりします。課題としては、調子によってキックとかが入らないなっていう日もあるので、なんでだろうと思うことはあるので、調子によって変わる感じです。
―5月の代表合宿はいかがでしたか。
しっかりとジャパンチームで行動するというのは本当に大切だと思いますし、チームの中の良さもあったと思います。普段練習しない人と練習するので、良い刺激をもらえたなというふうに思いました。
―代表合宿で初めて会った人はいましたか。
ほとんど顔見知りでしたね。男子選手の何名かはあんまりしゃべったことないかなって感じだったんですけど、女子は全員友達です。
―高校生の選手とも面識があるのですね。
(平井)瑞希はもともと中学生の時の所属クラブが一緒だったので小さい頃から仲良くしてて、(成田)実生も世界水泳とかでいろいろ一緒になっているので、本当にかわいい後輩って感じです。
―リレー対決やレクリエーションもされていました。
練習だけのキツキツした感じではなくて、レクリエーションとかも含めて楽しんだ感じで2次合宿、1次合宿はやっていたので、そういうのも必要というか、そういうので仲もさらに深まっていくと思うので大切だなって思いますし、そういうのがある方が練習頑張れるかなというふうに思いました。
―ほかの3人のリレーメンバーの人柄を教えてください。
(白井)璃緒さんは私が初めて世界水泳に行った頃からお世話になって、本当に尊敬する先輩ですし、いざとなったら頼りになる本当に親方っぽい感じです。(牧野)紘子さんは去年のアジア大会で同部屋で本当に優しくて、裏表がない感じの本当にフレンドリーな方で、(小堀)倭加さんはあまりしゃべったことがなかったんですけど、今回のヨーロッパグランプリで同じ部屋になって、けっこう気を使ってくださるし、先輩にも関わらず本当に優しい方で一緒にいて居心地良かったです。
―全員仲が良さそうで、レースでも一丸となれそうですね。
これまでにないぐらい仲良いんじゃないかなと思います(笑い)。
―個人種目との違いや、引き継ぎなどリレーならではの難しさはありますか。
8継は本当に難しくて、4継は本当に前半から言っても後半何とかもつ距離なんですけど、8継は前半行き過ぎると後半身体が動かなくなってタイムが落ちる傾向にあって、個人のレースと違うところは引き継いで入るので、200㍍の泳速だと100㍍の泳速出ちゃうぐらいの飛び込みの勢いがあるので、そこでどれだけ落ち着いて入れるかっていうのがとても重要で、それが私もハマったなって思うまでに(時間がかかって)去年の世界水泳ぐらいでやっと感じたぐらいなので、本当に難しい種目ではあるんですけど、でもやっぱりハマると本当にタイムは出ますし、一致団結して決勝に残れたら本当に達成感はあるんじゃないかなと思います。
―8継メンバーで現時点でのレースプランや作戦はどのように考えていますか。
2次合宿の時に泳順っていうのをどうするかっていうのを決めようってなったんですけど、1泳は璃緒さんで、私は絶対1泳は嫌なんですけど、本当に頼もしくて1泳が良いって言ってくださって。今のところ私は2泳なんですけど、3と4はまだ調子次第で変わる感じです。
8継は先行逃げ切りパターンが一番ジャパンとしては良いかなっていうふうに言われていて、4継と違ってタイム差が世界だとあって、最後のアンカーに一番速い璃緒さんを持ってきたとしても、5秒ぐらい差がついてたりするんですよね。だからどれだけ前半ついて行って後半粘り切れるかっていうのがジャパンとしては戦略を練っているので、やっぱりベストが速い者順で行くっていうのが今のジャパンの方針というか、4人で話し合っている感じです。
―自身が泳ぐ際の200㍍でのペース配分については。
飛び込んだ瞬間に、いつもより個人で「Take your marks」で出る時よりかは泳速はついているので、前半の入った50㍍は本当に心を落ち着かせて泳ぐ感じを意識していて、その後の150㍍をディセンドというか段々上げていく、ラストの50㍍になるにつれてキックを入れていく感覚で泳いでいます。
―今回のリレーで警戒している国はありますか。
ブラジルとか東京オリンピックや去年の世界水泳に比べて、本当に速くなってきているんですよね。ブラジルが私たちとトントンぐらいで、私たちの選考会のタイムでいくと今の予想ランキングで言ったら8番ぐらい。なのでブラジルとジャパンとっていうので接戦になると思います。やっぱり中国、アメリカとかオーストラリアはずば抜けて速くて、そこから下がトントンになるので気を抜けない状況で、予選からしっかりと58秒台は出していかないと決勝っていうのは難しいと思うので、だからヨーロッパグランプリでも予選からっていうので、レース展開を決めてやっていました。
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