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中大から五輪へ―世界水泳日本代表・大本里佳(法4)卒業生取材

昨年4月に開催された日本選手権200m個人メドレーで派遣標準記録を突破し、世界選手権では5位に入賞した大本里佳(法4)。世界を股にかけ戦ってきた彼女が中大の4年間で得たものとは。日本の競泳界をけん引する彼女にインタビューをしました。

*この取材は3月17日に行われたものです。

▲大学4年間を五輪仕様公認競技用プール、アキットで練習を積んだ大本

 

――なぜ中大に入学を決めましたか

中大を選んだ理由は3つ年上の兄が中大にいたのもありますし、ここ(アキット)で練習することも決まっていたので一番身体に負担がかからないからです。あとは監督からのお話をいただけたのが一番大きな理由です。

 

――2年次ではユニバーシアードのリレーで銀メダルを獲りましたが振り返っていかがですか

ユニバーシアードは専門種目ではない自由形のリレーの代表になんとかぎりぎり連れて行ってもらえて、メダルを取らせてもらいました。リレーだけで来ている選手は他にはいなかったので悔しさもありました。個人で戦っていけるようにしないとな、とすごく思いました。

 

――ユニバーシアードでの経験は刺激が大きかったですか

ユニバーシアードにぎりぎり入るくらいの実力しかなかったので、もっともっと上を目指していかないといけないなと思いました。個人メドレーで目指しているのに全然狙っている記録が出なかったので結構苦しかった部分もあります。

 

――そんな苦しい時期はどのように気持ちを保っていたのですか

最終的な目標は東京五輪って言い聞かせてやってきたので、そこで落ち込んだところで何も前には進まないですし、いつかタイムは絶対出ると思って練習していました。

 

――そんな時期に大切にしていた言葉はありますか

私の先生が練習で、「レースは一回しかないから1本目から全力でいけるようにしなさい」っていうのを大学1年生のときからずっと言っていてその言葉をずっと信じて練習していました。

▲練習の合間に取材に答えてくれた大本。1日に4000m以上泳ぐと言う

 

――最終学年に出場した日本選手権、世界選手権をそれぞれ振り返っていかがですか

200mの個人メドレーで代表を狙っていたので、ようやくスタート地点に立てたなという感じはありましたし、代表にならないとそもそも世界大会には出られないので世界で戦える最初の準備が整ったかなと思いました。世界水泳は日本国内の大会とは違い、予選からほぼ全力で泳がなくてはいけないので、そういった部分では体力面のなさに自分の日ごろの甘さが出てくるんだなという風に思いました。

 

――世界水泳がはじまる前に急にタイムが伸びてきて周りからも「メダル候補」という期待があった中、結果は5位でしたが

メダル候補と言われていましたし、自分でもメダルを取りたいと思ってトレーニングをしていました。実際タイム的には自己ベストと同等くらいだったら銅メダルだったので、あの舞台で100%の力を出し切れなったっていうのは悔しい部分ではあるんですけど、それでも初めての世界水泳だったんで前半から積極的に周りを恐れることなく泳げたことは次につながるレースができたかなと思っています。

 

――大学の4年間で一番心に残っている大会は何ですか

やっぱりインカレはすごく楽しかったです。あまりタイムを気にせずに泳げて楽しい大会ではありますし、やっぱり大学生があんなに集まって、みんな日本一を目指して戦っているのは見ていても面白いですし、毎年、毎年すごく楽しかったです。

▲4年次のインカレでの大本。50m自由形で優勝し応援席の仲間に笑顔で答える

 

――中大の4年間で得たものは何かありますか

中大の体育会だったら皆、競技で成績を持っていて、なので普段の生活の過ごし方から意識が違うというか。それぞれがそれぞれの目標に向かって頑張っていることがすごく伝わりましたし、他の部活の友達もできて楽しかったです。いい刺激になって、お互い種目が違っても語学の授業などで一緒なので切磋琢磨し合える仲間に出会えたのは本当に中大にいてよかったなと思っています。

 

――東京五輪への意気込みをお願いします

東京五輪はずっと目標にしてきた舞台なので、出るだけではなくて200mの個人メドレーではメダルを獲りたいと思っています。メドレーリレーも含めてたくさん種目がある中で、今飛び抜けている選手がいないので、日本のチームのレベルが上がっていることを証明したいと思っています。自由形の方はいつでも53秒台出せるように頑張っていきたいなと思ってます。

▲卒業後の目標を書く大本。「東京オリンピックでメダル」と力強く書いた

 

インタビューから約10日後、新型コロナウイルスの影響で来月に控えていた水泳の日本選手権の中止、そして今年開催予定だった東京五輪の来年夏への延期が決まった。しかし、どんな状況でも彼女の目は東京五輪にしか向いていないはずだ。中大から五輪へ。羽ばたく準備はできている。

 

記事・写真:「中大スポーツ」新聞部