2024年5月29日 明治神宮球場
チーム 123456789=RHE
青学大 000300000=350
中 大 010000000=151
[中]山口、今村、岩城-野呂田、新妻
[青]中西-渡部
[本]〈中〉伊藤櫂(2回ソロ)、〈青〉佐々木(4回3ラン)
◆スタメン◆
1[右]皆川 岳飛(経3=前橋育英)
2[遊]佐藤 壱聖(経2=東日本国際大昌平)
3[三]繁永 晟(商3=大阪桐蔭)
4[左]櫻井 亨佑(商4=習志野)
5[一]松嶋 晃希(経3=浦和学院)
6[指]伊藤 櫂人(文2=大阪桐蔭)
7[中]橋本 航河(文1=仙台育英)
8[捕]野呂田 漸(文3=秋田中央)
9[二]山本 聖(文4=鹿屋中央)
P 山口 謙作(商3=上田西)
昨年の秋季リーグ戦を5位で終えた中大。昨年、西舘勇陽(現読売ジャイアンツ)など中大野球部を支えてきた選手が多く抜け、苦戦が強いられると予想された今季だったが、ここまではロースコアゲームをものにする粘りの野球で勝ち点4と怒涛(どとう)の勝ち上がりを見せてきた。天候不良のため順延された後に快晴に見舞われた今日、待ちに待った王者青学大との事実上の優勝決定戦が行われた。試合は2回裏に伊藤櫂人のホームランで1点を先制したが、4回表に青学大の主将・佐々木のスリーランホームランで逆転を許す。そのまま相手先発中西を打ち崩すことができずに、優勝を逃した。
多くの中大関係者が優勝の瞬間を見届けようと試合に駆けつけ、神宮球場はかつてないほどの緊張感に包まれた。そんな大一番の先発を託されたのは今季3勝と安定感のある山口。初回から低めに制球し、一球一球丁寧に投げていく。初回、1死からストレートが浮いて四球を許すも、続く小田に持ち味の打たせて取るピッチングでつまらせ、山口が冷静にダブルプレーにさばいてピンチを切り抜ける。
▲大一番で先発を託された山口
対する青学大の先発は中西。球威のあるストレート中心の配球で球を低めに集められ、中大打線はバットに当てることで精一杯でなかなか出塁することができない。このまま息の詰まる投手戦が続くかと思われた矢先、2回裏に試合が動き出す。1死から伊藤櫂人に打順がまわり、ノーボール2ストライクと追い込まれたところから中西の今日唯一の浮いた球を見逃さずにフルスイング。打球はそのままレフトスタンドへと吸い込まれ、今季第1号となるホームランで先制に成功する。
▲今季第一号のホームランを打ち、ガッツポーズをする伊藤櫂
しかし、相手は3季連続優勝の王者青学大。そう簡単には試合は終わらない。ボール先行で苦しいピッチングながらもここまで無失点に抑えてきた山口だったが、4回表、先頭の藤原(青学大)に四球を与え、盗塁と外野フライの間の抜かりのない走塁で2死三塁と一打同点のピンチを背負う。ここでバッターボックスには侍ジャパンにも選出された西川。球場全員が息を呑んで見守る中、さすがの選球眼で低めの球を見送られ四球を選ばれる。続くバッターは青学大のキャプテン佐々木。1ボールノーストライクから山口の内に甘く入ったスライダーを見逃さずに上手くすくい、レフトへのスリーランホームランで逆転される。清水監督は試合後に「山口は苦しいながらも抑えてくれてたんですけど、ホームランが予想外だったのでそこが僕の力不足かな」と振り返る。その後、松本(青学大)にライトへの二塁打を打たれ、中大側に漂う嫌な雰囲気を断ち切るため山口から6試合連続無失点中の今村(拓哉=文4・関東第一)にスイッチ。たった1球で打ち取り、味方の反撃を待つ。
なんとか追いつきたい中大は5回、6回、7回とランナーを出すも、中西の球威のあるストレートと決め球として繰り出されるスライダーにつまらされてあと1本が出ず、得点を奪うことができない。これ以上点を与えられない中大は投げては今村がコースをつく丁寧なピッチングでテンポよく打ち取っていく。5回には佐藤壱のファインプレーも飛び出し、野手も今村を盛り立てる。
8回から今季、数々の中大のピンチを救ってきた岩城(颯空=経3・富山商業)がマウンドに上がる。ランナーを出しながらもコースをつく伸びのあるストレートで2イニングを無失点に抑え、9回裏の味方の攻撃に望みを繋ぐ。
ここまで接戦をものにし、勝利を掴んできた中大。一塁側スタンドの声援が一層大きくなる中、9回裏の攻撃前にベンチで中大ナインが集まり優勝に向け士気を高める。1アウトで今までチームを引っ張ってきた主将櫻井に打席がまわる。この日一番の声援と注目の中、詰まりながらも執念でレフト前に運んで出塁する。その後ツーアウトとされながらも、1発出れば同点という場面でバッターボックスには今日ホームランの伊藤櫂。両大学のベンチが身を乗り出して見守る中、力の無い打球はショート方向へ飛んで送球がファーストミットにきっちりと収まり試合終了。最後まで中西を打ち崩すことができず、5安打に終わった。
▲9回裏、ヒットで出塁した櫻井
両大学ともホームランで得点を奪取した今試合。一球に泣き、一球に歓喜した。春では45年ぶりの優勝が期待されたが、あと一歩届かず幻となった。清水監督は春を振り返って「一勝の差を感じた。こういった形で春みんな戦って力がついたというのは自分たちでも感じたと思うのでそこを自信にしてほしい」と悔しさを滲ませながらも前を向いた。今季スローガンの「結勝」の戦いを体現し、全員野球で準優勝をつかんだ中大野球部を讃えたい。秋こそ今春の屈辱を胸にリベンジに燃える。
◆試合結果◆
○青学大3-1中大●
(記事:高橋美帆、写真:髙梨晃世、中島遥、齊藤さくら)
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