2025年11月9日 東京都・駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場~二子玉川駅~砧浄水場ほか
今年で20回目の節目を迎えた世田谷246ハーフマラソン。この大会は例年箱根駅伝の学内選考で指標の1つとされている。今年は鈴木耕太郎(法3)の単独出場となったが、孤軍奮闘して総合8位、また自己ベストも30秒近く更新する好走を見せた。メンバー選考のスタートを盛り上げるレースで、まずは鈴木が有力候補に名乗りを挙げた。
輝かしい成績を残した全日本駅伝から1週間。箱根駅伝に向けてチームエントリー16人の選考が始まった。世田谷ハーフには11人がエントリーしていたが、多くが全日本を出走したこともあり10人が欠場、鈴木が唯一の中大勢として出走した。
本人も「(雨の中で走った記憶が)今出てこないくらい」と語るほど久しぶりの降雨の中でのレースとなったが、スタートから前方に位置しその後は先頭集団でレースを進めた。「最近自分のレースができてないのが1番の課題だったので、最初5キロぐらいまで結構引いて自分のリズム作れた」と好感触の入りとなった。

▲スタート直後先頭を狙う鈴木
レースは後半へ突入。「きついってなってからズルズル行く傾向がある」と語る鈴木だが、ここで強力な助け舟を得る。中大の先輩で数ヵ月間練習を共にしていた堀尾謙介氏(平31卒=現M&Aベストパートナーズ)が鈴木に伴走、「ここ離れたらほんとに何もないなっていうのがあって、堀尾さんだけにはもう死ぬ気で付こう」と先輩の背中を追うように上位を維持した。

▲堀尾氏(右)にピタリと付いて走る鈴木
その後公園内に戻り、ラストスパートへ。終盤のコースは箱根の山区間をほうふつとさせる、アップダウンの激しいコース設定となっている。堀尾氏と伴走を続けていた鈴木はラストで失速し離れてしまうも、粘りを見せて大きく順位を落とすことなく総合8位でゴール。タイムも62分台をマークして、同大会で中大勢がマークした最高記録を塗り替えた。

▲ゴール後、堀尾氏と抱き合う鈴木
「いつもよりちょっと粘れたから及第点かな」と振り返った鈴木。一方で30秒近くベストを更新しても「順位が順位だから、満足っていうか、あんまりうれしくないベストみたいな感じ」とおごらない。目標はあくまでも箱根。「まだまだ行けるラインではないけど、本当に最後のチャンスだから。
諦めることだけはしたくない。自分のできることは精一杯やりたい」と闘志を燃やす。
レースに駆けつけた花田俊輔コーチは鈴木のレース内容を「80点」と高評価を付けたが、「後半の方がラップが結構落ちてるんで、そこをもうひと押ししてほしかった」とさらなる向上を期した。
世田谷ハーフに限らず、これから箱根選考に関わるレースが徐々に始まっていく。「(大会の)結果が想定よりも悪いと、それだけでも箱根の結果に関わってくるんですよね、チーム全体の雰囲気っていう意味で。やはりそれぞれの大会でそれぞれが結果出すってことがめちゃくちゃ大事」と花田コーチは選手に向けて、好成績を残しながら箱根までチームの勢いを切らさないことを求める。
全日本が終わり、最初に迎えた大会。鈴木が「8位入賞&自己ベスト更新」という好記録を残したことは、チームに勢いをもたらすような口火を切るレースだった。彼の好走が優勝という最高の景色への序章となるか、勢いの火は灯ったばかりだ。
◆大会結果◆
⑧鈴木耕太郎(法3) 1時間2分28秒 PB
◆世田谷246ハーフマラソン 中大アラカルト◆
・直近の第10回(2015)~第19回(2024)の10年間で、中大勢の最も速いタイムは第18回(2023)に溜池一太(文4)が記録した1時間4分7秒。今大会で中大勢の最速記録は1分39秒も大幅更新された。
・上記10年間のうち、「世田谷ハーフを走り、翌年の箱根駅伝のメンバー16人にエントリーした選手」は22人おり、そのうち13人が区間出走も果たしている。代表的な選手では96回大会で1区に出走した千守倫央氏(令5卒=現大塚製薬)と同じく6区に出走した若林陽大氏(令5卒=現花王)、99回大会で4区に出走した吉居駿恭(法4)などがいる。鈴木も後に続けるか、注目だ。
・今回鈴木と共に出走した堀尾氏だが、現役時に同大会の出走は無かった。ゲストランナーとして実に6年越しの「初出走」だった。
(記事:大日方惠和、写真:大日方惠和・要明里沙)
公式X(@chudaisports)
Instagram(@chuspo_report)



