• Twitter
  • facebook
  • instagram

リーグ戦全日程が終了 課題は攻撃?守備?それとも、、、ー関東大学サッカーリーグ戦1部

 

12月19日に行われた22節の順大戦を持って2020シーズンが終了。今季は勝点9、2勝3分17敗で最下位(12位)、22試合でわずか2勝と不本意な結果に終わった。※下位2校が自動降格

開幕戦は専大に4失点を喫して黒星スタート。2節の駒大戦ですぐに初勝利を挙げるも、その後は1勝もできないまま前期を終える。後期も思うように勝点を伸ばせずにいると、12月6日に行われた法大との試合に破れ、3年ぶりとなる2部リーグ降格が決定した。昨季のインカレ3位という好成績から一転し、インカレ出場はおろか降格の憂き目に遭う苦しいシーズンとなってしまった。

試合前円陣を組む中大イレブン

大久保のケガ離脱

絶対的エースである大久保智明(経4)がケガによって万全の状態でプレーできなかったことはチームにとってあまりにも痛すぎた。

大久保は昨年リーグ戦20試合に出場して9得点8アシストを記録。フィニッシュの精度はもちろん、持ち味のドリブルや正確なパスからのチャンスメイクもできるレフティーだ。

大久保自身「12得点12アシスト」を目標に臨んだシーズンだったが、骨挫傷の怪我に悩まされて十分な出場時間を確保できず。今季は12試合に出場、うちスタメン出場は8試合に留まり、復帰と離脱を繰り返した。出場した試合では存在感を発揮するが、彼が持つ本来の力は影を潜め、結果でチームをけん引するエースの姿からはかけ離れたものであった。

 

主力の相次ぐ離脱

「大久保、高窪、荒木、今掛、松本も使えない状況の中でどう戦うかだった」(佐藤監督)。今季選手起用において監督の頭を悩ませたのは大久保だけではない。DFの要である松本大輔(経4)、前線でタメを作れる高窪健人(文4)に加え、両サイドバックの今掛航貴(経4)、荒木遼太(経2)ら主力もケガで離脱。厳しいチーム事情から1、2年生の積極起用に舵を切ることとなった。

ドリブルで仕掛ける大久保

輝きを放った高岸

今季チーム内トップの成績を収めたのは高岸憲伸(文3)。右足から放たれる正確無比なシュートとパスで6得点3アシストをマークした。主力不在の中、攻守において貢献してチームを支え、得点した試合でも「前に関わるチャンスを増やして、DFのカバーリングなどもっと一人でできるようにならなきゃいけない」とより質の高いプレーへのこだわりを見せた。

シュートを放つ高岸

「11月15日」明暗を分けた伝統の中筑戦

シーズンを通して勝点を伸ばせずに下位に沈んでいたが、明暗を分けたのは終了まで6試合を残して迎えた17節の筑波大戦。

その始まりは昭和34年からとされている伝統のカードだ。両チームは6年前の「11月15日」に残留を懸けて対戦しており、その時は中大がアディショナルタイムに劇的弾を挙げて勝利。1部残留を決め、筑波大をリーグ参入69年目にして初めての2部降格へ誘った。

今季も名門チーム同士の一戦は「11月15日」。1部残留を懸けた大一番となった。試合開始前時点で12位・中大と10位・筑波大との勝点差は「5」。勝てば降格圏外との差が「2」に縮まり、負ければ最大「8」へと広がるまさに生き残りを懸けた90分間だ。

有観客で行われた試合は、序盤から両者一歩も譲らぬ一進一退の展開となる。終盤、中大は決定機を迎えるが、これを決め切れず。アディショナルタイムに決勝弾を浴び、あえなく敗北を喫した。最終的に筑波大が10位で1部残留を決めているという意味でも6年前の借りを返される形となった。

この試合以降シーズン終了まで1勝もできずに7連敗。白熱の一戦には勝点3以上の価値があったのかもしれない。

アディショナルタイムに失点する中大

課題は攻撃?守備?それとも、、、

前半戦は攻撃面で大苦戦。前線の選手を入れ替えるも、中大らしいアグレッシブルな攻撃を体現できず。得点を奪えないもどかしい日々が続いた。開幕前に十分な調整を行えなかったこともあってか、選手間で攻撃イメージの共有が不足。16節の専大戦で9得点の快勝があったものの、全体的な物足りなさは否めなかった。

加えて気になるのは失点の多さだ。総失点「54」は同じく降格となった専大に次いでのワースト2位。残留を決めた下位、中位のチームと約15点から20点ほど差が開いている。1年生である牛澤健(経1)のスタメン抜擢や、本職がセンターバックである深澤大輝(経4)のサイドバック起用などで打開を試みるが、年間を通して最終ラインが安定せず。連携ミスから簡単に裏を取られて失点を重ねてしまった試合も少なくはない。

来季は佐藤監督が「不安定な面もあるが、個々の強さは十分」と太鼓判を押す1、2年生の成長に期待がかかる。

さらに、今季は逆転負けが6試合、80分以降に失点を喫したのは14試合と終盤に決定的な得点を許し、勝負強さを欠いた。今季限りでチームを去る大久保は「気持ちの面であったり、根性というか、そういうものを持っている奴が生き残っていくと思う」と後輩に泥臭く、貪欲に戦う姿勢を求める。技術面だけではなく、「精神的な力」も1年間戦う上で重要となってくるのかもしれない。

 

1年生の台頭

ポジティブな材料といえばやはり新戦力の1年生だろう。真っ先に名前が上がるのは山崎希一(経1)。興国仕込みのアジリティの高さでDFを翻弄した。どんな相手に物怖じせずにドリブルで仕掛けて相手の脅威になり続け、今季は1年生ながらリーグ戦全試合に出場して3得点1アシストを記録。来季以降中大の新たな「矛」として活躍が期待される。

彼以外にも同じく全試合に出場した田邊光平(法1)、ハットトリック達成の栗山且椰(商1)やセンターバックの一角を担った牛澤、的確なシュートストップが持ち味の猪越優惟(商1)などが控えている。

16節の専大戦でハットトリックを達成した栗山

1年での1部復帰へ

直近での中大の2部降格は2015年。2018年に2部で優勝して2019年に1部復帰を果たすまでに3年を要している。さらに、2018年当時は大橋祐紀(現・湘南)が21点を記録して得点王に輝くという圧倒的な個の力が存在していた。

また、今年行われたアミノカップ(1部、2部混合)は1位から5位のうち、優勝した流経大を含む4校が2部所属と、改めて2部のレベルの高さを示している。

現時点で来季の昇降格条件は未定だが、昇格には確実に勝点を積み上げて上位に位置することが必須。卒業する4年生の穴を埋める1、2年生の台頭は不可欠だ。

1年で戦力を底上げして1部昇格を実現するのは決して簡単な道のりではない。だが、私たちは待ち望んでいる。シーズンを終え、歓喜の中カップを高々と掲げる彼らの姿を。

 

記事・写真:「中大スポーツ」新聞部