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「来年、再来年は今年の結果で悔しいと思うチームになっていると思います」(監督・選手・主務・マネージャーコメント)─第98回箱根駅伝

2022年1月2日、3日 大手町~芦ノ湖~大手町

総合6位で10年ぶりのシード権を獲得した中大。今回は箱根駅伝直後の監督、出場選手、主務、マネージャーの声をお届けします。(構成:若林拓実、杉浦瑛俊)

結果記事
古豪復活 総合6位で10年ぶりのシード権獲得─第98回東箱根間往復大学駅伝競走

選手・裏方に100点 「次は頂点を」

藤原正和駅伝監督

──10年ぶりシード権獲得おめでとうございます。大会を振り返ってのご感想を

まずはシード権を獲得でき、ほっとしています。3位も見えていましたが、1年間5位を目指してきたチームなので、表彰台への執念はまだこのチームには無いと思いますし、一つ一つ階段を上がれればと思うので、今回は選手と裏方全員100点だったと思います。

──監督に就任されて6年目で、箱根駅伝のシードを取りました。一つここを目標にチーム作りをされてこられたと思います。改めて就任6年目、大学としては10年ぶりの快挙についてどのように感じておられますか

6年目でようやく一つチームとしてハードルを超えられた、という点では嬉しく思います。しかし、またこれはスタートでもあり、次は頂点を目指していかねばですので今はまた次の1年どう強化していくか、にフォーカスしています。

──10名の選手それぞれに期待した役割と実際の活躍はどうでしたか

10人全員個々人に与えられた仕事をきちんとやり遂げました。7区の居田に関しては16kmから痙攣(けいれん)もありブレーキになりましたが、よく繋いでくれたと思います。

──チーム全体の調子がよく、最後まで選手選考に迷われたと思います。最後に決め手となった部分どこになりますか

倉田(健太・商4)・助川(拓海・経3)・東海林(宏一・経1)の3名がかなりよく、本当に使ってあげたかったです。区間適正や当日の展開を何度もシュミレーションし、最終的にはその区間で与えられた仕事をやりきれるか、年間通してどれくらい練習をやれたか、メンタル面で戦える準備が出来ているか、過緊張になっていないか等様々な点を考慮しました。ですので、これという一つの決め手ではないですね。

──来年度はどのような目標を掲げていきたいと思っていますか。また、さらに上を目指していくにあたり、必要なことは何だと考えていますか

やはり優勝を狙っていかなければ表彰台もないと思いますし、100回大会で勝つならもう今から勝ちに行かねば到底届きません。具体的な数字はこれから選手達とつめていきたいですが、勝つことにこだわっていきたいと考えています。
また新チームになりますので、最上級生の3年生たちのカラーに合わせてレベルアップさせていく予定です。

区間新・吉居 「5000mで」世界目指す

1区 吉居大和(法2)

©関東学連/月刊陸上競技

──区間新記録・区間賞おめでとうございます。レースを振り返っていかがですか

目標だった区間賞を取ることができたのでとても嬉しいです。

──集団を引っ張り、その後抜け出しました。けん制することを懸念して前に出た形ですか。また、10キロを27分台で通過しましたが、余裕はありましたか

出来るだけスローペースにはしたくなかったので前に出ました。10kmまでは余裕がありました。

──佐藤悠基さんの区間記録を15年ぶりに更新しました。そこついてはどのように感じていますか

意識はしていました。前に出た時は厳しいかなとも思いましたがここまできたら挑戦しようという気持ちで走り、更新できて嬉しいです。

──ラストスパートはどのあたりからかけましたか、また納得のいくスパートができましたか

残り3kmからは苦しかったので常に上げていくイメージで走っていました。

──ラストで監督からどのような言葉を受け、どのような力が湧いてきましたか

「4年生のためにも少しでも稼ごう」と言われました。チームのためにという思いで頑張れました。

──オレゴン世界陸上は5000mで狙う予定ですか。また、まずはどの大会に照準を合わせる予定ですか

5000mで考えています。詳しいレースはこれから監督と相談していきます。

シード権獲得に「全部が報われた気持ち」

2区 手島駿(商4)

©関東学連/月刊陸上競技

──レースを振り返っていかがですか。また、ご自身の持ち味である「後半の粘り」を体現する走りになりましたか

自分らしい走りはできたと思います。しかし、最後の上り坂で耐えることができず、集団から少し離れての襷渡しになってしまったことが悔しいです。

──吉居選手が独走、1位で襷を持ってきましたが、どのような気持ちでしたか

吉居はレース前から「2区で余裕が作れるように少しでも後ろを引き離してきます」と言ってくれていました。プレッシャーもありましたが、それよりも吉居の走りを絶対に無駄にしないことだけを考えていました。

──2区への抜てきは、いつから決まっていましたか。また、2区に向けてどのような練習を積んできましたか

全日本大学駅伝での結果を受けてからだったと思います。それからの練習ではアップダウンを意識的に取り入れたことと、強化期での練習の水準を三浦や吉居にできるだけ近づけてメニューを組んでもらっていました。

──4年生として最後の箱根でしたが、4年間陸上に打ち込んだ時間はどのようなものでしたか

苦しいことばかりでしたが4年目に全日本・箱根でシード権を獲得でき、全部が報われた気持ちです。これから社会人になっていっても、この4年間より濃い時間は無いような気さえ思います。

──手島選手が大学選びをする段階では中大は箱根駅伝に出られない状態でした。また、2年次には予選会を10位で通過するなど手島さんの4年間は古豪復活の過程をたどってきたと思います。チームが強くなってきた要因は何だと考えていますか

いつの間にかチームから個人に求められる結果の水準が上がっていたことだと思います。1年目は10000mで30分を切ればメンバー争いに参加できていました。しかし現在では、28分台でなければ出走は厳しいチームになっています。学年の垣根なく、高い水準で競い合ってきた結果だと思いました。

──後輩たちに成し遂げてほしいこと、メッセージをお願いします

三大駅伝の切符も掴んでいて、周りの期待もどんどん上がっていくと思います。そんな中でも何より楽しんで走ってほしいです。応援しています。

後輩たちへ「走りで勢いをつけます」

3区 三浦拓朗(商4)

©関東学連/月刊陸上競技

──順位を4つ上げて、シード圏内にチームを押し上げました。レースを振り返っていかがですか

チーム目標を達成するにあたり、自分の区間の仕事は果たせたと思います。しかし前を見ると、自分より若い人達が走っていたのでもう少し行けたらな。と思いました。

──3区の役割はどのようなものだと考えていましたか。また、それは達成できましたか

今回は流れを変える区間だと認識していました。順位を上げることもできたので達成できたと思います。

──2年次のリベンジを誓って挑んだ2度目の3区でしたが、リベンジを果たす走りになりましたか

1,2区が良い位置で襷を持ってきてくれたこともあり、良いペースで走ることができました。

──卒業後は実業団で競技を続けます。中大での学びをどのように社会人として生かしていきたいですか

今回の箱根駅伝がある前に、ニューイヤー駅伝で先輩方が勢いをつけてくださいました。自分も走りで後輩達に勢いをつけます。

──三浦選手の代で新たな歴史を刻みました。後輩たちに成し遂げてほしいこと、メッセージをお願いします

来年からは三大駅伝全てに出場することになり大変になるとは思いますが、一つ一つ確実に走ってほしいです。あと、箱根駅伝で自分達が成し遂げられなかった、3位入賞、優勝を達成して欲しいです。

創価大・嶋津 目印に「とてもありがたかった」

4区 中野翔太(法2)

©関東学連/月刊陸上競技

──初めての箱根駅伝で区間5位でした。レースを振り返っていかがですか

4区は後半の上りでどれだけ絞れるかでゴールタイムが変わってくるということだったので、前半余裕を持って入ってラストしっかり絞れたので良かったです

──4区の役割をどのようなものだと考えていましたか。また、それは達成できましたか

手島さんが粘ったところから、3区以降でどれだけジャンプアップできるかというところでした。第四中継所での順位は襷をもらった時よりもひとつ落ちてしまいましたが、前が見える位置で阿部に渡せたのは良かったです。役割は最低限果たせたと思います。

──創価大の嶋津選手が後ろから追い上げてきましたが、それについていこうという考えでしたか

後ろからくることはわかっていたので、前半ゆっくり入って追いつかれてからついて行こうと思っていました。とてもいいペースでリズムを掴めました。個人的にはとてもありがたかったです。

──今シーズンは怪我も癒え、二つの駅伝に出場しました。今季活躍できた要因と、来シーズンの目標をお願いします

1年生の故障の期間でトレーニングができたのがよかったと思います。来シーズンはもっとトラックで結果を出したいと思います。もちろん駅伝も区間賞を取れるように頑張っていきます。

焦りなし 「山は自分の走りをするだけ」

5区 阿部陽樹(文1)

©関東学連/月刊陸上競技

──6位で往路のゴールテープを切りました。レースを振り返っていかがですか

しっかりと順位を上げてシード権圏外のチームと差をつけるのが役目だと思っていたので役目を果たすことができて良かったです。

──初めての箱根で区間6位でした。山上りに得意意識はありましたか

タイムトライアルなどで良いタイムで走れていたので少し自信がありました。

──5区への出走はいつ決まりましたか。また、5区に向けてどのような練習を積んできましたか

夏の合宿を終えて挑戦できるのではないかと思えるようになり、特別な山の練習などは行わず地力をつけて、自信をつけていくことを優先して走っていました。

──14キロ地点で順大の四釜選手にかわされましたが、その時の体の状態や心理的な部分はいかがでしたか

足が止まってしまっていたので、とても苦しい走りとなりましたが山は自分の走りをするだけなので焦りなどはありませんでした。

──今シーズンは主要大会に多く出場し、結果を残しました。今季活躍できた要因と、来シーズンの目標をお願いします

今シーズンは大学1年目ということで練習の量と質ともに増えていき成長していく事ができました。来年はトラック、ロード共に強い選手を目指して努力していきたいと思います。

思うようなペースで走れず「悔しい」

6区 若林陽大(法3)

©関東学連/月刊陸上競技

──3度目の山下りとなりました。レースを振り返っていかがですか

思ったようなペースで走れなかったので悔しい気持ちの方があります。

──目標としていたタイムや順位の達成はできましたか

達成できていません。

──今季は5000m、10000mで自己ベストを出しました。トラックでのタイムが山下りで生きた部分はありますか

トラックでの走力を上げることが山下りでのタイムアップに繋がると考えていました。

──来シーズンは4年生としてチームをけん引する立場となります。最終学年として成し遂げたいこと、どのようにチームを引っ張っていきたいですか

チームとして、箱根駅伝3位以内を目指していきたいと思っています。また、4年生として井上さんたちが作ってきたチームを超え、周りからいいチームになったと呼ばれるようにやっていきたいと思います。

箱根駅伝出走は「陸上人生においてプラス」

7区 居田優太(経2)

©関東学連/月刊陸上競技

──初めての箱根駅伝となりました。レースを振り返っていかがですか

独特な緊張感があり、今までの試合とは違った雰囲気を感じました。その中で走れたことはこれからの陸上人生においてプラスになることですし、大事な1区間を走らせてもらったことにとても感謝しています。

──終盤で創価大、東京国際大にかわされました。その時の心境はどうでしたか。

その時は襷を無事に中継所に運ぶことに精一杯で抜かれたことに気が付きませんでした。少し経ってから前に人がいることに気がつき、「抜かれたんだ」と感じました。

──走り終わったあとに足を痛めているように見えました。体の状態に異変はあったのですか

15キロ過ぎの給水をもらった後、両足の太腿をつってしまいました。そこからは足の感覚がなくなってしまい、襷を渡し終わった後、転んでしまうような形になってしまいました。

──今季はトラックでも自己ベストを出しました。来シーズンはトラック、駅伝それぞれどういった目標で臨んでいきたいですか

来シーズンではトラックで大きな大会に出たいと思っています。出場することで経験を積むと同時にタイムも狙っていき4年生では結果を出すことを目標に臨んでいきたいです。
駅伝では、今年は出雲駅伝、全日本駅伝に出場することができるので狙っていきたいです。

想定通りの勝負「遊行寺の坂を越えてから」

8区 中澤雄大(経3)

©関東学連/月刊陸上競技

──4人抜きでチーム順位を3位に押し上げました。レースを振り返っていかがですか

往路の選手がいい流れで持ってきてくれたので、復路の要として8区に配置していただいた役割をしっかりと果たすことができたと思います。

──序盤は抑えて、10キロ以降ペースアップしていきました。どのようなレースプランでしたか。また、それは達成できましたか

遊行寺の坂を越えてからが勝負所だと考えていたのでラストの3キロ厳しい走りになりましたが、概ねプラン通りにレース運びができたと思います。

──これまで駅伝で確実に結果を出し続けています。冠大会で外さないためには何が大切だと思いますか。また、堅実に走るために心がけていることはありますか

冠大会では自分の力を出し切ることを大切にしています。そのために周りの状況に左右されないために、事前にレースプランをしっかりと練ることを心がけています。

──来シーズンは4年生としてチームをけん引する立場となります。最終学年として成し遂げたいこと、どのようにチームを引っ張っていきたいですか

来年は強い新入生も入学するので、下級生が伸び伸びと活躍できる土台を作り、総合3位を目標にチーム作りをしていきたいと思います。

区間3位知らされ 「もう一段ギアを」

9区 湯浅仁(経2)

©関東学連/月刊陸上競技

──初めての箱根駅伝で区間3位でした。レースを振り返っていかがですか

とにかく楽しく走ろうと思っていました。10kmまでは楽しく走れましたが、いいペースで来ていることが分かったので勝負しようと思いました。

──14キロ過ぎに仕掛けて勝負にでました。その時はどのような体の状態、心境でしたか

後ろから駒澤大学が近づいて来ていることが分かり、並走していた東京国際大学の選手がきつそうだったので、ペースを上げました。その時は体も心も余裕がありました。

──後ろから追い上げてきた駒大は意識しましたか

意識はしましたが自分よりも強い選手だと分かっていたので、追いつかれても冷静に対応しようと思っていました。

──レース中、監督からどのような言葉をかけられましたか。またその声を受けてどのような力が湧いてきましたか

区間順位を知らされていなかったので、20km地点で区間3番と言われた時はもう一段ギアを上げられました。

──今季はトラックでもロードでも結果を残しました。来シーズンはトラック、駅伝でそれぞれどういった目標で臨んでいきたいですか

もっとスピードをつけないと駅伝で区間賞とれないので、トラックでベストを更新し、三大駅伝のどこかで区間賞をとりたいです。

途中棄権だけは… 「とにかく襷をゴールに」

10区 井上大輝 主将(法4)

©関東学連/月刊陸上競技

──初めての箱根駅伝で悲願のゴールテープを切りました。率直なお気持ちをお願いします

嬉しい気持ちとここまで来るにあたってサポートしていただいた方々またチームメイトたちに感謝しています。感無量です。

──最後、数校に抜かれてしまいましたが、その時の体の状態、心境はいかがでしたか

駒澤に抜かれてもう一度抜かれた際に、足がつってしまい、途中棄権にならないようとにかく襷をゴールに運ぶことに切り替えました。その分区間順位とタイムが落ちてしまったので素直に悔しいです。

──主将からみて、今年のチームはどのようなチームでしたか

本当に一つの結果にどんな立場からでも努力できる。良いチームだったと思います。最初の質問にもありますが感謝の気持ちでいっぱいです。

──井上選手が大学選びをする段階では中大は箱根駅伝に出られない状態でした。また、2年次には予選会を10位で通過するなど井上さんの4年間は古豪復活の過程をたどってきたと思います。チームが強くなってきた要因は何だと考えていますか

シンプルに競技に打ち込むことが出来る選手が増えたこと。練習の量と質が上がったことだと思います。

──井上選手の代で新たな歴史を刻みました。後輩たちに成し遂げてほしいこと、メッセージをお願いします

こうして新たな一歩を踏めた年に4年生、そして主将として前に立たせていただいたことをとても嬉しく思っています。来年、再来年は今年の結果で悔しいと思うチームになっていると思いますが、辛いこともたくさんあると思います。

「たった4年間の大学陸上、楽しんで、めいいっぱいやってね!1年間ありがとう!」

主務ができたことは 「一生の宝物」

南後海里 主務(経4)

4年間本当に色々なことがあり、平らな道ではありませんでしたが、多くの方に支えられ、最後まで主務としての責務を全うすることができました。4年間の集大成である箱根駅伝では全員駅伝でシード権を獲得することができ、本当に嬉しく思います。このチームで主務ができたことは自分にとって一生の宝物です。本当にありがとうございました。

諦めずにやれたのは「仲間のおかげです」

萩野結月 マネージャー(商4)

古豪復活の時計を動かせたことは素直に嬉しく、良いチームを作った同期を誇りに思います。辛いことがあっても諦めずにやれたのは仲間のおかげです。マネージャーでしたが、みんなにたくさん助けられました。この4年間は一生忘れません。今回3位という順位が見えたので、次こそ現実にしてほしいと思います。これからも応援しています。

なお、コメントは文面取材で行いました。回答文をそのまま掲載しております。

予告
1月中旬に1月号を発行いたします。箱根駅伝の結果は2,3面の二連版でお伝えする予定です。
総合結果や区間新の吉居大和(法2)。OBコメント。連載「箱根への道」では森凪也(経4)選手の声をお届けします。