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『俺たちの箱根駅伝』著者・池井戸潤氏を交えた取材会に参加させていただきました!

──「作家×企業・経営についての知識」その2つのことを極めること、なかなか他の人にできることじゃないなと思っていますがその秘訣はありますか?

池井戸氏)「情報をアップデートする」のがやはり重要なんじゃないかな。僕が銀行勤めをしていたのはもう二十年以上前の話なんだけど、いまだに「銀行にいたから書けるんでしょ」と言われることがある。でも、銀行出身の人はたくさんいても、作家になった人はほとんどいませんよね。銀行のシステムはどんどん変化しているので、僕が銀行にいた当時の知識は通用しない。それではなぜいま銀行の話が書けるのかというと、中小企業やM&Aの会社の社外取締役を務めた経験があるからです。そういったところで情報が陳腐化しないようにしています。

 

──今アップデートしていきたい知識はありますか?

池井戸氏)今気になっているのはサイバーセキュリティかな。JAXAがサイバー攻撃を受けたのに、大騒ぎになっていない印象があって。サイバーセキュリティを扱った記事はクリップするようにしています。アメリカの大統領選にも注目していたけど、ちょっと残念な結果でした。バイデン政権の政策が評価されていなかったんだろうな。
サイバーセキュリティの話は、『半沢直樹』や『下町ロケット』といった小説で取り上げられると思うし、大統領選の話は、『民王』で扱ってもいいかなと思っています。

 

──情報のインプットはどのように行っていますか?

池井戸氏)インプットは主に新聞からですね。紙とネットの両方を購読しているけれど、興味を持った記事はクリップして保存しています。本は、読めていないものがどんどん積み上がっている(笑)。このあいだ買った新書も、もう2週間デスクに置いたままです。
ドラマや映画は、観ると構成が気になってしかたなくなってしまう。「これはいい構成だな」「もっとこうすればよかったのに」などと思ってしまって、純粋にストーリーを楽しめない。職業病かな(笑)。

      

──箱根駅伝は実際のイベントであるため、「事実は小説より奇なり」という言葉が使われることがあります。この言葉をどのように捉えていますか?

池井戸氏)その通りですね。『俺たちの箱根駅伝』は、本当は書いてはいけない小説なんです(笑)。スポーツを小説で書くのは、禁じ手のひとつ。なぜかというと、選手たちが真剣に戦っているレースの緊張感や感動に、小説は勝てないから。小説は想像で創り上げた世界なので、実際のレースの迫力にはかなわない。

それでも、この本を読んで、皆さんに箱根駅伝を楽しんでいただけたらと思っています。

 

他にもさまざまなご回答をいただきました。改めてあらゆる質問を快く受けてくださり、感謝申し上げます。そしてぜひみなさまにも『俺たちの箱根駅伝』を手に取っていただき、箱根本選に向けて楽しみを膨らませていただきたいと願うばかりです。

▲参加者の持参した小説にサインする池井戸氏

 

(記事:大日方惠和、写真:大畠栞里、大日方惠和、土屋日向)

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