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天下分け目の戦いで4継&マイル準優勝─第109回日本陸上競技選手権大会・リレー競技

2025年7月14日 岐阜・岐阜メモリアルセンター長良川競技場

リレー日本一を決める戦いが天下分け目の地・岐阜で行われ、中大からは4×100mリレーと4×400mリレーへ出場。両種目2位という好成績で今季の集大成を締め括った。


関東インカレ、日本インカレを制し、今大会も優勝候補の筆頭として期待がかかった男子4×100mリレー。予選では組1着、全体では3番目のタイムで危なげなく決勝進出を果たす。

迎えた大会2日目の決勝。オーダーは1走から、小室北久斗(法1)、黒木海翔(法2)、エケジュニア瑠音(法3)、三井一輝(法4)と予選から走順が変更になった。

7月上旬の日本選手権100m予選で自己ベストの10秒31をマークするなど、順調に進化を続ける小室は決勝ではスターターを務めた。「流れを作らなければいけないっていう点で、アップの時から倒れそうなくらい緊張していた」と心情を吐露したが、反応の良いスタートと抜群のコーナーワークで役割を全うした。

関東インカレ、日本インカレと大黒柱としての貢献を見せてきた2走・黒木は小室からの受け継いだ勢いのままに、一歩抜け出る快走を見せる。

▲黒木㊧からエケ㊨へのバトンパス

関東インカレ200m準決勝で故障し、日本選手権から復帰を果たした3走・エケは「体の状態自体、本当に仕上げられていなかった」という厳しい状況下での出場となったが、上位を守り抜いてバトンはアンカー・三井へ。

▲上位を死守し三井㊧へとバトンを渡す

関東インカレ、日本インカレに次いで「三冠を達成して強い中大の始まりになれれば」と意気込んで臨んだ三井は首位をひた走る筑波大に懸命に迫る。しかし、あと一歩及ばず。38秒89の2位でリレー三冠は来年度へ持ち越しとなった。

▲懸命に前を追った三井

レースを終えて、ルーキーながら大抜擢された小室は「高校時代から憧れた先輩方ばかりなので、中大リレーの一員として3位以内入賞できたことは大きな経験になると思う」と率直な心境を口にし、「この経験があって来年は金を獲りに行きたいと思うことができたので良かった」と決意を口にした。

▲笑顔を見せる4継メンバー

今大会の最後を飾ったのは男子マイルリレー。決勝は6月に行われた全日本インカレと同様のメンバーで臨んだ。

スターターは庄籠大翔(法2)。「流れをつくる」という役割を背負い、スタートラインに立った。勢いよくスタートを切ったかのように思ったが「役目を果たせなかった」と悔しさをにじませたように一歩遅れてのバトンパスとなった。2走を務めたのは今大会が最終レースとなった西山雄志(法4)。西山は序盤から力強い走りでぐんぐんと加速し、オープンレーンに入る前に3位まで順位を押し上げた。その後もさらに加速を続け、2位に浮上。最後は追いつかれたものの懸命な走りでバトンをつないだ。

▲庄籠から西山へのバトンパス

そして3走・酒井大和(法3)。「前について行って最後出す」というプラン通り安定感のある走りで前との差をじわじわと詰める。予選では思うような走りができなかったと語る酒井だったがこのレースでは個人のラップタイムのベストを見事更新。「最善の走りができた」と笑顔で語った。先頭の早大が大きくリードし、2位以下は大混戦の展開でレースは最終局面へ。アンカーを務めたのは全日本インカレ二連覇を遂げた田邉奨(商2)。ここから田邉の猛追が始まる。田邉がバトンを受け取った時、中大は4位。先頭の早大ともやや差が開いていたが100㍍を通過するころには2位に浮上。王者の猛追は止まることなく、どんどん差を詰め、最後の直線にさしかかる頃には先頭に。悲願の優勝が見えた瞬間であった。しかしここで後ろの関西学大が中大の前に出る。最後の力を振り絞るも2着でフィニッシュ。レース後は何度も「悔しい」と自身の思いを口にした。

▲猛追する田邉

また、西山はラストレースを振り返って「すごく悔しくはあるが後輩みんな頑張ってくれたので、いい思い出で終われたのではないかと思う」と後輩たちへの労いの言葉を語った。またこの先の後輩たちに向けて「強い後輩たちが揃っているのでとにかくいつも通りしっかりと頑張れば自ずと結果はついてくる」と熱いエールを贈った。

▲表彰式後のマイルメンバーの様子

かつてのお家芸が再び輝きを放った今シーズン。「強い中大を取り戻す」という矜持を胸に戦ってきた最上級生から後輩へとバトンが受け継がれた。来年度はどのような景色を見せてくれるのか、青写真を描かずにはいられない。

 

◆大会結果◆

男子4×100mリレー決勝

②中大 38秒89

1走 小室歩久斗(法1)

2走 黒木海翔(法2)

3走 エケジュニア瑠音(法3)

4走 三井一輝(法4)

男子4×400mリレー決勝

②中大 3分5秒45

1走 庄籠大翔(法2)

2走 西山雄志(法4)

3走 酒井大和(法3)

4走 田邉奨(商2)

 

◆コメント◆

男子4×100mリレー

小室歩久斗(法1)

―リレーは大学入って初めてだったが、緊張したのか

そうですね、予選は4走って形で123が先輩だったので、安心して4走で待っていられたっていうのがあって、そこまで緊張はしなかったんですけど、決勝っていう舞台で1になって流れを作らなければいけないっていうところから、すごいアップの時から緊張がすごくて本当にスタートラインに立っている時とか本当に倒れそうなくらい緊張していて、こんな緊張するんだってくらいでした

―その上でこの大きな舞台、大学生になって初めて経験されて率直な感想は

そうですね、すごい高校時代から憧れた先輩方ばかりで中大のリレーの一員として3位以内入賞できたことはすごい大きな経験になると思いますし、率直に今回は悔しいという気持ちの方が大きいんですけど、この経験があって来年とかはしっかりと金を取りに行きたいとこの大会を通して思うことができたので良かったです

―春先あまり足の調子が良くないと伺っていたが、それに関しても徐々に復帰途上という形なのか

入学前に中大の方でも練習していてその時に肉離れになってしまって、気持ちとかも落ちたりしていたんですけど、やっぱりその中でも関東インカレ全カレで先輩たちが4継優勝したりすごいいい結果を残してくれたおかげでこの背中を追いかけたいと思えたので、徐々に直してすぐに復帰できたのかなと思います

―主要大会が秋以降続いてこないと思うが、具体的な目標はあるのか

そうですね、8月にトワイライトがあって9月にU20、10月に国体というように1カ月単位で大会はあるので、トワイライトは黒木さんとかエケさんとか植松さんは出ないと思うので、そこでしっかり自分の役目というかそういうのを果たせるようにしていきたいのがトワイライトの目標であって、国体では100に選ばれるか分からないんですけど、しっかりと自己ベスト更新っていう上で中大の波に乗れたらという目標は立てています

―具体的に100mでいうと2台なのか

そうですね、やっぱりとりあえず2全般っていうところは絶対に今シーズン中に出して、風条件次第では1台が出ればすごいリレーでもいいと思いますし、個人でも来年に向けていい刺激になるのかなと思います

 

エケジュニア瑠音(法3)

―日本インカレの200mの時に足の調子が良くなさそうだったと思うが、どうだったのか

関東インカレですね。関東インカレの200m準決勝のコーナー明けで左足を肉離れしてしまって途中棄権という形になってしまって、あそこでケガしてしまったので自分は離脱したという形で全カレも出れず、って感じでリハビリと治療を重ねてきて、先週の日本選手権でやっと復帰できたっていう感じです

―今大会はどのように振り返るのか

予選から総括すると自分は元々走る予定ではなかったので、植松が予選前のアップでケガしてしまったってのがあって、急遽僕が入る形になったので、今まで全く合わせたことのないメンバーでバトンを繋ぐことになって、その中としては自分は結構周りのメンバーに助けられたところはあったんですけど、何とか自分の役目は繋ぐことができたので決勝に進出できたのでそこは良かったですね

―今季の今後の目標は

主要大会はほとんどなくなってしまったので、今後の目標としてはグランプリは8月半ばでなくなってしまうのでどっか記録会か何かで記録出すくらいしかやることないんですけど、一応10月ありますけどそこは出られたらそれを頑張りたいなと思いますけど、目標としては200mまだ今シーズンいいタイムで走れていないので、大幅に自己ベスト更新できるようにこの夏練習を積んで、9月あたりに大きくベスト更新できたらと思います

―20秒台半ばくらいか

そうですね、20秒台最低でも5台6台っていうところは今シーズン一応出しておきたいところではありますね

 

男子4×400mリレー決勝

西山雄志(法4)

──今大会は最終レースとなったがその感想

1位を狙える距離感だったので、すごく悔しくはあるんですけど後輩みんな頑張ってくれたので、良い思い出では終れたかなと思います

──日本インカレでは2位。今大会はどのような思いを持って臨まれたか

関東インカレ、全カレと3、2となっていたので、最低限でも1位は獲りたいねって話はしていたんですけど、1位獲る気満々で臨みはしたんですけど、こういった結果なので余計そこの悔しさは出ていますね

──何か後輩たちに来年度以降に向けて掛ける言葉

メンバー的には僕抜けても余裕な代だと思うので、後輩たちなら全カレも関カレも日本選手権も1位を獲れると思うので、今まで通りやってもらえたらと思います

──中大陸上競技部全体に向けて一言

僕たちの代より全然強い後輩が揃っているので、とにかくいつも通りしっかりと頑張れば結果は自ずとついてくると思うので、いつも通り頑張って欲しいと思います

 

田邉奨(商2)

──決勝のレース振り返って

もうマジでもう、皆に申し訳ないっていうのだけです。最後負けちゃったんで。悔しいなっていうのに尽きます。

──序盤からかなり攻めてる印象を受けましたがレースプランなどありましたら

もう勝負しに行くっていうところが強かったんで、いつもよりはかなり攻めた走りはしたと思うんですけど、想定通りというか、覚悟してたんで、前半踏みに行って、ちょっと早稲田抜いて、気が緩んじゃったっていうか、後ろを意識できてなかったっていうか、最後までバラになっちゃったんで、情けないな、弱かったなって感じです。

──日本選手権からスパン短かったと思いますが調整など

そうですね。日本選手リレーあるのはわかってたんで、日本選手権終わってからとりあえず疲労なるべく落として走れる状態にするっていうので、昨日もパスして1本に絞らせてもらったんで、調整はできてたはずなんですけど。力不足です。

──疲労の影響とかは

いや全然。どうだろう。疲労は言い訳にしたくないんで、単純に、日本選手権の調子の良さを維持できなかったのかなっていう感じです。

──日本選手権リレーどのような気持ちで臨まれましたか

2走の西山さんがラストレースの予定だったのですしてでも1位になるんだっていう、自分が最後勝って1位で終わるんだっていう気持ちしかなかったです。

 

(記事・写真:日向野芯、大畠栞里)

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