2021年12月3〜5日 坊ちゃんスタジアム
明治神宮野球大会も終了し、大学野球界全体がオフへと突入しようとしていた頃、全国各地のリーグを代表する選手たちが野球王国・松山に集結。第30回ハーレムベースボールウィーク(2022年7月にオランダで開幕予定)に出場する野球日本代表「侍ジャパン」大学代表候補選手の強化合宿が行われた。この合宿の1番のテーマを「個々のレベルアップや来年に向けてのチーム状態を作る上での選手の見極めとかの第一段階」(大久保監督)として、全3日間でシートノックや紅白戦等のメニューが行われ、中大からは森下翔太(商3・東海大相模)と石田裕太郎(経2・静清)の2人が参加した。
<1日目>
1日目の練習前に投手、野手のリーダーが発表され投手リーダーには福山(駒大)、野手リーダーには下山(慶大)が選ばれた。そして練習が始まると選手たちはアップを行った後、シートノックやフリーバッティング、50㍍走の計測などのメニューをこなした。
フリーバッティングでは森下が広い球場であるにも関わらず柵越えを複数本放ち、自身の持ち味である長打力を見せつけた。また、森下は投打二刀流として注目を浴びる矢澤(日体大)や東京6大学リーグで通算10本塁打を誇る蛭間(早大)と積極的にコミュニケーションを取る場面が見られた。
▲矢澤(日体大)と談笑する森下
石田も今秋の東都リーグ戦で最後の最後まで最優秀防御率のタイトルを争った坂口(国学大)とキャッチボールや談笑をしており、練習後に下山主将が「せっかくの機会。全員でコミュニケーションを取って有意義な時間にしたい」と語っていたが、中大を代表する二人も全国屈指の選手たちとプレーできる貴重な機会を大切にしている様子が見受けられた。
▲東都リーグで最終戦まで最優秀防御率のタイトル争いを演じた坂口と石田
<2日目>
2日目は紅白戦2試合が変則ルール(第2試合は第1試合からの継続打順、投手は2イニングで交代、第1試合以外は6イニング)で行われた。石田は登板の機会がなかったものの、森下は2試合合わせて4打数2安打と1日目に引き続き首脳陣へのアピールを存分に行い、大久保監督のこの日の印象に残った選手として山田(立大)や齋藤(法大)らとともに名前が挙がった。
森下はこの日を振り返って「1打席目、三振に倒れたが、すぐに切り替えられた結果としてヒットが出た」と語っており、2打席目以降も「投手が毎回変わる中でタイミングを常に合わせていく中でうまくおちた」と対応力の高さを見せた。大学日本代表については「(1年次に選出されて)高いレベルでやるには何が必要かが(代表での)経験を経て分かったものが多い。高いレベルでできたら成長できる」と、森下の代表への思いの強さが伺えた。
▲タイムリーを放つ森下
<3日目>
最終日となる3日目には紅白戦1試合が昨日の第2試合からの継続打順で行われた。この日は中大のエース・石田が2番手で登場。1イニング目は先頭の村松(明大)を三振に切って取るが、続く中川(早大)、佐々木(青学大)、奈良間(立正大)の3連打、蛭間にタイムリーを放たれるなどして2失点。それでも奪ったアウトは全て三振であり、大学球界を代表する打者たちにひるまず立ち向かっていった。2イニング目は有馬(近大)に右前安打を許してランナーを背負うものの、石田らしく後続を打ち取って無失点に抑えた。2日間首脳陣へのアピールを続けた森下は、この日2打席2三振と最後のアピールとはいかなかった。
▲大学球界屈指のバッターを相手に立ち向かう石田
この3日間、普段は異なるリーグに所属する選手と共にプレーした二人。中大のリーグ優勝、日本一のためにこの代表合宿で学んだことをチームに還元し、さらなる高みを目指し続けるだろう。
(記事:為谷楓太、写真:小野祐司)