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〜最下位から躍進の秋、この秋をバネに更なる高みを〜17日間連続インタビュー11日目・大栄陽斗選手

春は東洋大相手に入れ替え戦で見事残留し、この秋も長く続いている1部の舞台でプレーした中大野球部。この秋は春の最下位から見事躍進を遂げ、リーグ優勝の夢は叶わなかったものの2位でシーズンを終えた。成長を遂げた秋を終えた監督、選手たちは何を語るのか。17日間に渡り彼らの思いをお届けする。

連続インタビュー11日目は大栄陽斗選手(商3=仙台育英)。故障で苦しんだ期間を乗り越え、秋はストッパーとして力強い投球を披露。厳しい場面も幾度と無く切り抜け、勝利の瞬間のマウンドにはいつも彼の姿があった。自己最速となる152㌔を計測し、完全復活を印象づけた今シーズンを振り返って、大栄は「自分をより見つめ直せる1年だった」と語った。(取材、構成=志水恒太)

——秋季リーグを振り返って
まず復帰して投げられた事は嬉しかったですし、優勝争いまで出来たんですけど、終わってからはより一層優勝したかったなと。そう思うようなシーズンでしたね

——春の故障を乗り越えてのシーズンでしたが、特別な思いはありましたか
まずマウンドに戻れているというのは本当に嬉しい気持ちでしたし、北村(恵吾=商4・近江)さんの代で春は投げなかったので、後ろに北村さんや森下(翔太=商4・東海大相模)さんが守っている事に新鮮な感覚があって、のびのびと投げられたかなと思います

——秋季リーグの登板の中でリハビリの成果は感じましたか
そうですね、ストレートは球速的にも少し伸びたなという感じはしますし、あとはアベレージの球速帯も上がっていたので、あの期間は怪我して辛かったですけど地道にやってきた成果が少しは出たのかなと思います

——福島、ZOZO、神宮など計4球場で試合をしましたが印象的だった球場はありますか
やっぱり神宮ですね。個人的に神宮に戻ってきてから復調した部分もあったので、マウンドも硬くて投げやすかったですね

——リーグ戦終盤にかけて調子が上がった理由として技術的に何か変えた部分などはありましたか
投げ方をちょっと変えたというか、遊び感覚で山本由伸投手のフォームで投げていたんですけど、そしたら少しハマって。元々前傾しやすかったので、(新しいフォームは)背中に刺激が入るような感覚でいい効果になっていたので、今はそれで投げて、結果的にはあの真似が良かったのかなって思います

▲地元福島のマウンドで復帰登板を果たした大栄

——基本的に西舘(勇陽=法3・花巻東)選手のリリーフとしての登板。マウンドに立つ上で意識している事はありましたか
終盤の3回を投げる事も多かったですし、ランナーを背負っての登板もあって点差が拮抗している場面で投げる事は予想していたので、ブルペンから常に緊張感を持ちながら、あとは毎回セットからの練習というのを工夫してやっていました

——タイブレークでの好投もありましたが自分の中でリリーフに向いていると感じますか
そうですね、リリーフの方が向いてるかなというのは多分あると思うんですけど、今回リリーフを一通りやって、西舘もあれだけの結果を残したので自分も先発やってみたいなという思いもあります。ただリリーフ的にも抑えた時の喜びはより感じているので半々な気持ちですね

——試合の最後を締めるという役割についてはいかがですか
ゲームを締めるという意味でも最後自分が抑えたらチームに勝ちがつくというところで、意識し過ぎちゃうと自分は空回りしてしまうので、一人一人丁寧に投げて抑えようとした結果が最後試合が終わっていたという感覚で投げるようにはしていました

 

——神宮で自己最速となる152㌔を計測しましたがそこについてはまだ伸ばせると考えていますか
もう少し伸ばしたいなという欲の方があるんですけど、この冬で色々な所を強化して1㌔でも2㌔でも伸ばしたいなと思います

——リーグ戦で最も手応えを感じた試合を挙げるとしたら
青学大との2回戦ですね。8回から投げてタイブレークもあったんですけど、何か自分の中でも心の余裕を感じたというか。あの時だけは「打たれないだろう」という気持ちで投げられていたので、結構自信を持ってマウンドに上がれて、タイブレークに入っても動じずに出来ましたね。まぁあの試合だけなんですけど(笑い)。変な自信があったんですよね

——それは今までに経験した事のない感覚でしたか
そうですね、今までに無いですね。あまり前半戦調子が良くなくて、神宮での亜大戦で1人だけ投げて球速も150出たので「次もいけるかな」みたいな感じはありました

——対戦して印象に残っている打者、リベンジしたい打者は
投げてて嫌だったのは青学大の山中さんですね。対戦したいのは同級生で日大の小濃なんですけど、日大戦はベンチに入っていなかったですけど試合終わった後に連絡して、「また来年は戦えるように」みたいなやり取りはしたので、一番対戦したいのは小濃ですね

——同学年の西舘選手、石田(裕太郎=経3・静清)選手の投球について、技術的に参考にしている部分はありますか
裕太郎(=石田)とは毎日キャッチボールを一緒にやっているんですけど、球の回転が綺麗で軽く投げているようでも伸びてくるので、力感や投げている姿を自分と比較しながら練習をしています。
西舘は真っ直ぐが速くて自分と同じタイプなんですけど、何であんなにクイックで球速いんですかね…(笑い)。地面からの反発を使って投げていると教えてもらったので、そこは意識したら少し良くなったかなと感じています

▲神宮球場に戻ってから状態が上向いたと語った

——終盤は優勝争いの中での試合が続きましたが、気持ちの変化はありましたか
本当に優勝したかったですし、気付いたら5連勝していたみたいな感じでした。でも振り返るとやっぱり自分が投げた國學院とのタイブレーク、あそこで1勝でもしていれば優勝にもう一歩近付けたのかなと思うので悔いが残っています

——母校の仙台育英高校が秋季東北大会で優勝しました。後輩たちの活躍をどう感じていますか
まずは夏の甲子園で優勝してくれて、東北初優勝が母校という事で本当に嬉しかったですし、決勝の日は練習中だったんですけど毎回毎回速報を確認していて、自分も頑張らないといけないなといつも感じさせてくれます

——惜しくも2位に終わりましたが今年の中大野球部はどんなチームでしたか
北村さん、もりさん(=森下)の背中についていったチームで2人が熱い姿を見せてくれたので、そこが今年のチームの象徴かなと思います。とにかく点を取ったらみんなで喜んだりという部分は来年のチームでも継続していけたらなと思います

——大栄選手自身、2022年はどのようなシーズンでしたか
春季リーグ前の最後の試合で怪我してしまって、春は本当にしんどかったですけど、秋は復帰出来て、最後の方は自分でも納得できる投球が出来たので、来年に向けて怪我をしないというところで自分をより見つめ直せる1年だったんじゃないかなと思います

▲強気の投球でチームのピンチを何度も救った

——秋季リーグを踏まえて来季も継続していきたいと考えている部分はありますか
リーグ戦で神宮に帰ってきたくらいからマウンドでの余裕というか、良い意味で相手を強気に見れるようになってきたのでそういった所は来年も継続していきたいなと感じています

——逆に来季に向けてこの冬取り組む課題はお考えですか
自分はスライダーは得意なんですけどそれ以外の変化球、特にフォークの精度を上げられたらいいなと思っていて、左打者への投球の幅を広げたいなと一番に考えていますね。フォークの落ち幅を広げて「大栄といったらスライダー」というイメージを「フォークもあるんだぞ」という風に変えたいと思っています

——今年のドラフト会議で中大から2選手が指名を受けましたがプロへの憧れは強まりましたか
去年までは先輩方が指名を受けたのを純粋に凄いなと見ていたんですけど、今年は1個上だったので、「来年は自分も行きたいな」という思いがより強くなりましたし、ピッチャー陣は他の3人ともレベルが高いので更に切磋琢磨(せっさたくま)していきたいなと今は感じています

——目標にしているプロ野球選手はいらっしゃいますか
パッと思いついたのは田中将大さんですね。自分は楽天ジュニアだったんですけど、小学校6年生の時に楽天が優勝して東北に勇気を与えてくれたので尊敬する選手ですね

——最後に来季に向けての意気込みをお願いします
まだ自分が在籍している中で優勝していなくて、優勝したいという想いが本当に強いので、個人の成績よりもまずは何よりも優勝したいという所です。個人的な面では来年先発をやるか分からないですけど、「自分が投げていたら大丈夫だ」というくらい周りからの信頼をもっと厚くもらえるように頑張っていきたいと思っています

◇大栄陽斗(おおさかえ・あきと)◇
学部学科:商学部・商業・貿易学科
身長・体重:176㌢・78㌔
出身高校:仙台育英高校