昨年は春季リーグで６位に終わり、入れ替え戦に進みながらも１部残留を決め、秋季リーグでは２位と躍進を果たした中大野球部。中前祐也（法４）主将のもと、「日本一」を目指す中で、春季リーグ戦を控えた選手たちは何を語るのか。
第３回は２年生キャッチャーの綱川真之佑（経２＝健大高崎）選手と野呂田漸（文２＝秋田中央）選手。昨季は１年生ながらリーグ戦出場を果たし、早くもチームに欠かせない存在となっている２人。中大の強力投手陣を束ねる若き司令塔に春季リーグにかける思いを聞いた。
＜綱川真之佑＞（聞き手、構成：小野祐司）
▲昨年正捕手としての地位を確立した綱川
──今の状態、調子は
「普通です」
──監督からも正捕手として使っていくと言われていますか
「自分と野呂田が今のところ中心になっていて、正捕手として出ていく覚悟をしてます」
──投手陣の主力が上級生に多いと思いますが、先輩方の球を受ける時に意識していることはありますか
「先輩なんですけど、西舘（勇陽＝法４・花巻東）さん、大栄（陽斗＝商４・仙台育英）さん、裕太郎（石田＝経４・静清）さん、大地（岩本＝法４・石岡第一）さんみんな優しいので、悪く言うとピッチャーらしくないというか。あのレベルの人たちが２個下に投球のこととか言われたら少し嫌に感じたりすると思うんですけど、それを素直に聞き入れてくださって。受け入れてくれるのでものすごくやりやすいです。自分がミスしても気にすんな、俺が暴投したのが悪いって言ってくれます。特に上だから気使うとかはなくて年下ですけどむしろ引っ張らないといけないって思ってます。」
──主にどういったことを上級生の投手に伝えていますか
「西舘さんの調子のバロメーターが自分的に真っすぐがカットしないことと、カーブが鋭く縦に落ちることだと思っていて。それが冬明けの頃はカーブが斜めに曲がってて、真っすぐもカットしてたので、そのことを伝えたら、『確かに修正する』っておっしゃって、次までに直すわって感じに言ってくれました」
──投手っぽくない性格というのは
「自分が高校までで受けてきた投手にはいない、穏やかな性格だなって思います。高校の時は自分に自信持ってるピッチャーがいて、投げ方のこととかは言わないで欲しいっていうタイプの人もいたので。大学来てからはバッテリーでともに成長していこうみたいな感じでやってるので変わったなと思います」
──キャッチャーとしてはその方が成長できるのではないでしょうか
「そうですね。レベルの高いピッチャーに付いていってるので、成長させてもらってます」
──逆に後輩や同期の球を受ける時には何を意識していますか
「あんまり投げ方とかに関しては言わないんですけど、言うとしたらいい時と比べてスライダーこうだったよとか、上も下も特に関係なく一人のピッチャーとして全員を見れてると思います」
──後輩ができて変わったことがあれば教えてほしいです
今は４年生のピッチャーも４枚もいるので層は厚いですけど、そこが抜けた時に来季リーグ戦が厳しくなると思うので今までピッチャーに育ててもらった分３年になったら自分が逆の立場になるじゃないですけど２年間出さしてもらった分、自分が引っ張る側になると思うのでそうなるための今年の１年間だと思うので、そういう意味でも常に監督から自覚持てって言われてます」
──打撃でも今年はアピールしたいですか
「去年たまたま少し打てただけなんで、まだまだです。９番なんで甘い球多いので（笑）」
──入れ替え戦では細野投手（東洋大）から長打を打っていますが
「あれも本当にまぐれです。今年も与えられたところでチームのためのバッティングをしたいです」
──チームの雰囲気はどうですか
「４年生が下級生がやりやすいように環境作ってくれてるのでやりやすいです」
──捕手というポジション的に球場が変わるのはどうですか
「個人的にはあまり好きじゃないです。球場によってはピッチャーの球と電光掲示板がかぶったりもするので個人的には神宮がやりやすいですね。ナゴヤ球場は初めてなので、少し大変そうだなと思います」
──健大高崎高がセンバツに出場しますが、後輩へのメッセージと甲子園での思いでを教えてください
「甲子園は小さい頃からの夢だと思うので、そういう場所で緊張とかもあると思うがせっかく出れてるので楽しんでプレーしてほしいです。
自分の思い出は、ドラフト１位指名された達（北海道日本ハムファイターズ）と対戦して完封されたので、そういうレベルの高い投手と対戦できたのが思い出です」
──自分のアピールポイント、リーグ戦で見てほしいところを教えて下さい
「１年目は必死にピッチャーに食らいついてたって感じなんですけど、２年目は自分がキャッチャーとしてピッチャーをどれだけ引っ張っていけるかで優勝とかにつながると思ってるので自分のピッチャーに対する声掛けとか引っ張っていく姿勢を見てほしいです」
◇綱川真之佑（つなかわ・しんのすけ）◇
学部学科：経済部・経済学科
身長・体重：180㌢・79㌔
出身高校：健大高崎高校
＜野呂田漸＞（聞き手、構成：志水恒太）
▲おいどんカップ対TOYOTAで打席に立つ野呂田
──昨季を振り返って
「リーグ戦はほとんどの試合ベンチ入りさせていただいて、試合に出る機会はあまりなかったんですけど１年生の最初の時期からリーグ戦の雰囲気というか、高校野球とは全く違った雰囲気なのでそれを経験できたことは今年につながる良いシーズンだったかなと思います」
──高校野球と大学野球で一番違いを感じた部分は
「高校野球はトーナメントで負けたら終わりが基本なんですけど、大学野球はトータルでどれだけ勝てるかとか、１戦目落としても２.３戦目取れば勝ち点は貰えますし、そこの気持ちの切り替えはパッとしなければいけないので難しいところではあるかなと感じました」
──同級生で同じポジションの綱川選手はどのような存在ですか
「いやー、綱川は良いライバルって言ったらそうなんですけど自分より断然綱川の方が上だと自分は思っているので良いお手本でもあって、一緒に練習する時もありますし先輩の山田（将義=経３・二松学舎大附）さんや小林（大也=経３・郡山）さんもそうですけど本当に上手な方ばかりなので、いつも何か吸収できることは無いかなと考えて練習するようにしています」
──後輩が入学してきて心境の変化はありましたか
「ピッチャーが特にそうなんですけど、今までは自分より先輩のピッチャーがほとんどで自分が引っ張っていくよりも引っ張ってもらってた部分もあるんですけど、今年１年生のピッチャーもオープン戦では結構投げていて自分が後輩に引っ張ってもらうわけにはいかないので、キャッチャーとしての自覚は去年以上に芽生えていますね」
──期待している１年生は
「キャッチャーになるんですけど鈴木（謙介=文１・都立昭和）ですかね。指定校で入ってきた子なんですけど元気もありますし、特にブルペンでの声出しはすごい自分の参考になることもたくさんあって、コミュニケーションとかの部分では他のキャッチャーと比べても上手な方だと思っているので、ブルペンで隣で受けている時は『どういう声掛けしているのかな』と結構気にしながらやってますね」
──おいどんカップやここまでの実戦で印象的だった対戦相手は
「ここっていうのは無いんですけど社会人のチームは大学生と違って振りも強いですし、攻撃には驚いた部分もありましたね」
──法大戦では適時打もありましたが打撃に関してはいかがですか
「そうですね、監督からは『おなかの下の方に力を入れて内からバットを出して打て』と言われているんですけど、自分は外からバットが出てしまう癖があって、それを補うためでは無いですけどバットを短く持って、少し軽くなるのでどこの球にも対応できるようにしていて、練習からそこは自信を持って試合には臨むようにしています」
──選手として一番自信を持っているポイントは
「それはスローイングですね。去年は肘とか肩を壊したりして全然安定しなかったんですけど、トレーナーの方や高校時代のトレーナーの方にも相談して結構投げ方について考える良い期間になって、その結果年明けから復帰して、今年は安定したスローイングが去年よりはできているのでこのままもうちょっと伸ばしていければなと思っています」
──今の状態について
「自分はバッティングというよりは守備だと思っているので、後半の守備固めとかで出ることが多いと思うので、まずは打撃は置いておいて守備をメインでやっているんですけど、パスボールとかもあってまだまだリーグ戦で戦える状態では無いというか、足りない部分もあると思うので残りの期間でしっかり詰めていければいいなと思っています」
──キャッチャーとして今年の中大投手陣をどのように考えていますか
「そうですね、大体失点っていうのは計算できると思っているので、普通にやっていたら１点２点で抑えられるのが今年の投手陣だと思うのでそこはしっかりコミュニケーションを取ることで、サインミスとかが無いように。優しい方も多いのでリズムが悪くならないように普通のことを普通にやっていければ良いかなと思います」
──キャッチャーとして一番大切にしているポイントは
「『どんな時も冷静であること』を自分は意識してて、やっぱり緊張はしてしまうと思うんですけど人間って想定外のことに弱いので、試合前にあらゆることを想定していることで全部想定内にしておくというか。そうしておくことでどんなイレギュラーがあっても対応できると思うので常に冷静にというところを意識してプレーするようにしています」
──警戒している大学、選手は
「やっぱり初戦の亜大になるんですけど、去年は西舘（勇陽=法４・花巻東）さんがZOZOで天井選手にホームラン打たれたりしているので、（亜大の）野球部のインスタとか見てても『今日のホームラン打った選手』とか上がってて天井選手とかも結構打っていてそこは一つポイントになるのかなと思うので、まずは初戦取れるように。それでキーとなる選手が何人かいるのでその前になるべくランナー出さないことは意識して戦っていけたらなと思います」
──リーグ戦で注目してほしいポイント
「スローイングとかもそうですけど、冷静に投手をリードすることですかね。ピッチャーってランナー出たり味方がエラーすると熱くなっちゃったり、繊細な人も多いと思うのでそこは自分がタイムをかけたり周りをみてプレーするところは見てほしいですね」
──春季リーグの意気込みと目標をお願いします
「去年の秋は２位で終わって今年は『反撃』っていうスローガンのもと全員で取り組んでいるんですけど、ここまでは去年と比べて負けないチームだなっていうのは思いますし、中前さんを中心にまとまりがあると思うので日本一を目指して、その中でも一戦必勝を目指してやっていけたらなと思います。個人の目標として、打撃はそんなに打席に立つことは自分は無いと思うので、どんな形でも良いので出塁できたらなって思うのと、守備ではパスボールと後逸を０っていうことと、試合の後半に出ると考えたら盗塁は１回、あっても２回くらいだと思うので全部刺したいなって思います」
◇野呂田漸（のろた・ぜん）◇
学部学科：文学部・人文社会学科
身長・体重：171㌢・77㌔
出身高校：秋田中央高校
