春季リーグで中大硬式野球部は負け越し、4位に終わった。巻き返しを図る、東都大学野球1部秋季リーグ戦は9月16日に開幕する。ジャイアンツタウンスタジアムで迎える初戦の相手は亜細亜大学。春に躍進を遂げた相手とどのような勝負になるのか。肝心の初戦を前に選手17名に取材を行った。今季にかける選手たちの思いをお伝えする。(取材は2025年9月6日、13日に行いました)
第5回は三奈木亜星(商4=浦和学院)選手、山口謙作(商4=上田西)選手です。
<三奈木亜星>(聞き手、構成:松岡明希)
▲プロに向けてのラストシーズンに期待のかかる三奈木
──今季は長いイニングを投げる機会が多かったですね
「練習試合からその練習はやっていたので。そんなに苦になることはありませんでした」
──まっさらな神宮のマウンドに立つというのは特別な心境になるものなのですか
「やっぱり抑えをずっとやっていたのとは少し違って。プレッシャーの乗っかり方が違いますね、前日からプレッシャーがかかるという面では。でも先発をしたいという思いはずっとあったので。楽しみながら、プレッシャーも抱えながらの半分半分ですね」
──先発前日はやはり緊張しますか
「緊張をしないと言ったら嘘になるんですけど。相手を抑えるイメージを結構やっているんで。前日は何も考えないようにしようと思っても、どうしても頭の中には野球のことが出てくるという感じですね」
──先発登板翌日の疲労感は
「体は結構疲れてるんすけど。投げた日ってアドレナリンが出てるのか、あまり寝れなくて。眠くなったりはしないんですけど、体は疲れますね」
──スタミナの強化はされたのですか
「スタミナの強化というよりは体を強くするということをやって。それが結果的に長いイニングを投げる体力づくりにつながったのかなと思います。投げることで体力がつくというのは多いと思うんで。冬も、今年の秋のリーグ戦に向けて夏も投げてきましたし。投げ込みなど、普段のキャッチボールなどから強く投げることで体力はつきました」
──普段ゲームをよくされるんですよね
「パワプロとか格闘技のゲームとか」
──今季振り返ってご自身のスタミナをパワプロ評価で言うと
「普通くらいなんでスタミナCくらいですかね(笑い)」
──ちなみにコントロールは
「えー難しいっすね(笑い)四球が別に多いわけじゃないんでCっすかね」
──大学野球で長いイニングを投げ続けるための秘訣というのは
「自分は長くイニングを投げようと思ってマウンドに上がっているわけではないので。一人一人、1球1球集中していった結果が気づいたら7、8、9回まで来ていたという感覚があって。あと一つ言うなら、あんまり慎重になりすぎずに自分の持ってるボール信じてどんどんストライクゾーンに投げ込むと必然的に球数は少なくなるんで。その結果長いイニングを投げられるのにはつながるかなと思います」
──手ごたえを感じたシーズンだったのではないでしょうか
「そうですね、今までの大学生活で1番イニング投げて。それなりに。納得する結果かと言ったら完全に納得する結果ではないんですけれども、やってきたことを少しは出せたかなという思いもあって。三振が結構多く取れたりとか。四死球とはそんなに多くなかったので。勝負できるというのを自分で感じました」
──完全に納得する結果ではないという部分は
「やっぱり優勝できていないという部分があって。東都の自分たちの同級生だったら青学だったら中西、亜細亜だったら齊藤とか山城と戦った時には、負けが付いてしまったんで。この秋はそのリベンジで、チャレンジャーとして絶対勝つと思っているんで。春はまだ自分が納得したとは言い切れないです。火曜日から開幕しますけど、亜細亜に投げ勝って、次青学に投げ勝つって思ってるんで」
──今季のハイライトとなった試合は
「国学の試合で1安打完投できたというのは、チームもそのカードをとれば入替戦もなくなるという試合で。絶対に落とせない試合でこのピッチングができたのは春の試合で一番よかったです」
──完投は志願ですか
「状態がよくて。球数も少なくいけていたので。監督も最後まで行こうという感じだったと思います」
──ご家族がジャイアンツタウンスタジアムに来られていました。三奈木選手が呼ばれたんですか
「いや(笑い)。呼んだわけじゃないですけど、4年であとちょっとなので来てくれたんだと思います。ナイスピッチと言ってもらいました」
──今の調子は
「今は春のリーグ戦終わってから、9月の開幕に向けて、体力的、精神的、技術的にも全部伸ばすという思いでやってきて。夏休みも最初は実戦慣れしてなくて1、2試合苦戦していたところもあるんですけど、しっかり修正してここまではいい状態で来れていると思います」
──前回、完璧を求めすぎないとおっしゃっていた。今回もそのような考え方か
「完璧を求めすぎないというのは今もあって。最近は毎回ずっとノートをとってるんですけど。その日起きたこととか、思ったことをノートに書いて。夜に1日を振り返る時間を作って。今は負けたくないという思いが練習の時とかはあるんですけど。本番なるとその思いがプレッシャーになることも多いので。そういう意味では完璧求めすぎずの心理状態でマウンドにあがったりとか。あとはイメージトレーニングを大事にしています」
──ノートは1日どのくらい書くのか
「書く量はそんなに多くないんですけど。もともと少しネガティブな部分があるので。野球に対してのネガティブな要素が出てきたら、どういったらよくなるとかをノートに書くので」
──いつから始められたのですか
「3年の秋のリーグ戦が終わった後からです。1,2年で西舘(勇陽=令6卒・現読売ジャイアンツ)さんや石田(裕太郎=令6卒・現横浜DeNAベイスターズ)さんがいた中でうまくいって。あまり考えることなく自由な感じに投げて抑えられていたのが、自分が3年生になってチームの軸になるんだという思いが出てきたときに、プレッシャーになって。3年秋というのはあまり結果が残せなくて。自分の何かを変えないとこのまま終わっちゃうなと思ってやり始めました。ノートは今2冊目ですね。頭を整理して、いい状態で、いいイメージをして次の日を迎えたりとか。イメージがすごく大事だと思って。いいイメージを持つためにノート書いて整理して。毎日リセットをして、いいこと、悪いことを分けているという感じです」
──書くことは大事なんですね
「そこから4年で先発で投げてとなっているので。やってよかったなと思っています」
──三奈木選手が考えるチームの中心選手とはどのような選手ですか
「ピッチャーだったら、この人が投げたら大丈夫だろうと思ってもらえるとか。バッターだったらチャンスでこの人に回れば大丈夫と思わせてくれる。例えば繁永(晟=商4・大阪桐蔭)と皆川(岳飛=経4・前橋育英)に回したら何とかしてくれると思わせてくれるような選手がやっぱりチームの中心選手かなと」
──では、三奈木選手が今追い求めている理想の姿はどのようなものになりますか
「チームメイトから信頼されていて、自分が抑えて、チームを乗せられるような。自分の投球でチームに火をつけられるような姿が見ている人もかっこいいと思ってくれると思うので。チームもいい雰囲気で戦えると思うのでそういう姿です」
──繁永世代はどのような世代でしたか
「みんな結構個性豊かな人が多くて。性格もばらばらというか。まとまりがあるかと言われたら、そんなにある方ではないと思うんですけど。みんな野球に本気で、勝ちたいという思いは一緒なんで。そういった部分でみんなでつながって、優勝目指してやっていけて。すごく明るい世代かなと思います」
──ラストシーズンの意気込みを
「春は4位。チームとしては優勝という目標がずっとある中で、負けてしまって。最後優勝して終わりたいというのと。個人としては春負けた相手に絶対勝って。個人タイトルとかはそういうのはあまり意識せずに。自分が投げて抑えればそういうのも付いてくると思うので。最後自分が投げて勝って優勝して。自分の夢であるプロ野球の世界に入るというのがこのラストシーズンの意気込みです」
◇三奈木亜星(みなぎ・あせい)◇
学部学科:商学部・国際マーケティング学科
身長体重:178.3㌢・80.1㌔
出身高校:浦和学院高校
<山口謙作>(聞き手、構成:寒田理菜)
▲春季リーグの開幕戦で登板した山口
──春リーグの感想を教えてください
「開幕戦で初回で降板してしまったんですけど。チームとしては優勝できなかったですけど、(1部に)残留できて良かったので、秋は優勝できるよう頑張ります」
──春リーグを通して見つけた課題はありますか
「春はコントロールがあまり良くなかったです。3年の時は、コントロール良かったので。そういうコントロールミスが少し多かったので、そこが課題かなと思います」
──8月のオープン戦では、日本代表に選ばれている秋山俊選手をはじめとする中京大相手に好投なさっていたと思うのですが、春リーグが終わってからの調整はどんなことをしていますか
「左バッターの被打率、ヒットが春は多かったので、外だけでは抑えられないということが春見つかりました。秋までに、夏休みで、左バッターへの内側っていうのは練習していたので。その成果が、プロになるような選手を抑えられるような要因なのかなと思います」
──夏のオープン戦で印象に残っている対戦相手はありますか
「明治大学。あまり一人というのは無いんですけど、大学を通して。全員に長打を打たれたので、すごくいいバッターが並んでいるなと思いました」
──オープン戦を通して、何か課題は見つかりましたか
「今日(9/6)もそうだったんですけど。前回の明治の時はランナーが出た時に、しっかり0で抑えられなかったので。今日みたいに、ランナーが出ても、0で抑えることができれば、ピッチャーとしてはいいのかなと思うので」
──秋リーグからの意気込みをお願いします
「ラストなので、精一杯頑張ります!」
──秋リーグでここを見てほしいという箇所はありますか
「いや〜ないっすね(笑い)どこかな、どこだろう。ここを見てほしい…球速で!(笑い)」
──今のチームの雰囲気はいかがですか
「おもろい。まあおもろいというか、いい関係というか。1年生もたくさん試合出ているので。すごくやりやすい環境になっているのかなと思います」
◇山口謙作(やまぐち・けんさく)◇
学部学科:商学部・国際マーケティング学科
身長体重:176㌢・77.9㌔
出身高校:上田西高校
公式X(@chudaisports)
Instagram(@chuspo_report)