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大混戦の末黒星を喫し、秋リーグを準優勝で終えるー関東大学アイスホッケーリーグ戦 決勝リーグ 対東洋大

11月24日 ダイドードリンコアイスアリーナ

 

いよいよ迎えた決勝リーグ最終戦。「向こう(東洋大)も必死で来ると思うので、こっちはもっと必死に戦って目の前にある優勝を全力で取りに行きたい」(阿部翼主将・法4)。前日の明大戦後、今試合に懸ける思いを語った阿部主将。今季決勝リーグは激戦となり、中大は一つでも負けると自力優勝を逃してしまう状況に。早大、明大に快勝した勢いそのまま、最終試合も勝って優勝を掴みたかった。しかし60分では決着がつかず、PSSにまでもつれ込む大混戦に。リーグ1巡目の東洋大戦を思い出させるような展開となったが、「優勝するには甘かった」(阿部主将)。結果東洋大のPSS勝ちとなり、中大の自力優勝への道は閉ざされてしまった。

 

〈第1ピリオド〉

「なにがなんでも勝とう」(齊藤大知・法4)と臨んだ今試合。「メンタル面では今までで一番良かった入りだった」(阿部主将)というように、序盤から気持ちの入ったプレーを繰り広げた。相手に攻め込まれる場面も見られたが、ディフェンス陣の冷静な判断によりピンチからは脱却した。しばらくディフェンスゾーンでのプレーが続くも、10分には矢島翔吾(総2)がシュートを放つなどチャンスも見せる。これは惜しくも相手キーパーに阻まれたが、流れを少し引き寄せた。その1分後には宮本明朗(総3)が相手選手を次々とかわし、ゴール前までパックを運ぶ好プレーを見せて会場を盛り上げた。しかし13分、中大ペナルティによりキルプレーを強いられると、じわじわと攻め込む東洋大に苦戦。ひやひやする展開となったが、中大の守護神、合田聖(経4)の好セーブが光り、失点を免れた。これまで何度も課題として挙げられてきた立ち上がりの悪さ。今試合の第1ピリオドもシュート数で相手を下回ったものの、気持ちの入り方はどの試合にも匹敵するものがあった。第1ピリオドは0-0と両チームともゴールを割れず、第2ピリオドへつなげた。

長岡の得点に喜ぶ選手たち

 

〈第2ピリオド〉

第2ピリオドは第1ピリオドと打って変わり、激しい攻防戦が繰り広げられた。序盤からめまぐるしく攻守が交替し、チャンスとピンチを繰り返す。そんな中、均衡を破ったのは中大だった。24分、荒木翔伍(法1)からつながれたパックをDFでありながらリーグ2得点を挙げている長岡翼(経2)が押し込み、先制点を決める。待望の得点に選手たちは声を上げ、中大応援席もより一層の盛り上がりを見せた。「0-0で均衡してたので、絶対に決めようと」(長岡)思っていたという。その後は相手のペナルティで6人攻撃を仕掛けるなど積極的に追加点を狙っていくが、ディフェンスの壁を崩せない。さらに中大のミスや隙を突かれる形で相手に攻め込まれ、何度も失点の危機に追い込まれる。しかし、ここでゴールを守り切ったのはやはり合田だった。本人は「キーパーなので、守るのが仕事。チームを助けてなんぼ」(合田)と謙遜するも、「かなり決定的なピンチも防いでいた。リーグ戦を通して、功労者であることは間違いない」(八戸監督)と周りからも高く評価されている。この好プレーによりオフェンス陣にも火が付き始めたが、第2ピリオドでは追加点を挙げれず第3ピリオドへと持ち越した。

リーグ戦を通して好セーブを連発した合田

 

〈第3ピリオド〉

勝負の最終ピリオド。このまま守り切れば優勝が確定するという緊張感の中、中大は落ち着いたプレーを見せた。しかし相手の反撃にあい、守る場面が多く見られるようになった。必死にゴールを守る中で追加点も挙げたいところだったが、なかなか好機をものにできない。前回4点を挙げたエースの齊藤にも厳しいマークが付き、思うようにシュートを打たせてもらえない。「マークされるのは分かっていた。振るのをどうにかできればよかった」(齊藤)。しかし、失点を0に抑えれば勝利は決まる。今か今かと試合終了の合図を待ちわびるが、なんと試合時間残り2分半、まさかの東洋大の鮮やかなシュートが中大のゴールネットを揺らす。あと1点決めて逃げ切りたいが、時間がない。残り40秒でタイムアウトを取り切り替えるも、追加点を奪うことができず60分勝ちとはならなかった。勝敗は延長戦へと持ち越される。

パックを運ぶ齊藤

 

〈延長戦〉

3対3のサドンデスマッチ。5分間の中で先に得点を挙げたチームの勝利となるが、両チームとも得点を挙げることなく、PSSへと持ち込まれた。中大から選ばれたのは矢島、荒木、宮本の3名。先攻の中大は矢島、宮本の2名がショットを成功させるも、東洋大も2名がショットに成功。ここでも決着はつかず、サドンデスで先に決めた方に軍配が上がることとなった。なんとしてでも勝ちたいところだったが、東洋大がショットに成功する中中大は不成功。大接戦を制したのは東洋大だった。これにより中大は悲願の自力優勝を達成することが叶わなくなり、チームには重い空気が流れた。

試合後、肩を落とす選手たち

 

「悔しい」。試合後、どの選手の口からも発せられたのはこの一言だった。アシスタントキャプテンを務める齊藤は、今試合を「チームの状態も良く、プレーも何も悪くなかった」と振り返る。リーグ戦は勝ち点差により順位が決まるため、1戦1戦の勝利を重ねていかなければならない。「17試合やったその勝ち点の積み重ねなので、その前段階でもっとできることがあったはず。今日のゲームだけ(のせい)ではない」(八戸監督)。リーグを通しての課題は残るが、収穫となった点も多い。今季リーグは例年に比べて下級生の活躍が光っていた。小原匠麿(総2)や荒木、権平など攻撃力のある選手に加え、ディフェンス陣でも今試合含めて3得点を挙げた長岡、さらに米山幸希(法1)はベストDFとしての個人賞も獲得している。米山は同じセットで戦う齊藤の「クリエイティブな発想の攻撃ができるようなつなぎのパスが自分の役目」だと話し、「中大のディフェンスとして試合に出る以上、1年生でもチームを引っ張っていかないとなと思っていた」と責任感の強さも感じさせた。阿部主将は下級生に対し、「インカレの決勝の舞台に立たせて、最後は優勝を味わわせてあげたい」と自身の最上級生としての思いを語った。来月末に開催されるインカレで、真の大学日本一が決まる。リーグ戦全体をとおして、足りなかったものを今後どう補っていくのか。「正真正銘の自力で最後優勝して終わりたい」(合田)。「インカレは負けたら終わり。気持ちはみんな一つだと思うので、油断せず挑んで優勝したい」(齊藤)。目指すは優勝のみ。『強い中大』の復活はもうすぐそこに迫っている。

 

▼試合結果

●中大1(0-0,1-0,0-1,0-0,0-1)2東洋大○

▼中大の得点

24:29 G長岡 A荒木、小原匠

 

◆リーグ戦結果◆

①明大❷中大③早大

◆個人賞◆

ベストFW=齊藤

ベストDF=米山

▲ベスト6に選ばれた選手たち。齊藤=中央上、米山=中央下

 

記事・写真:「中大スポーツ」新聞部