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「記者が捉えたベストゲーム」第1回 記事・塩ノ谷太樹

2年生記者8人が昨年度取材した試合の中でNo.1の試合を1人1試合ずつピックアップし、その試合を記者目線で振り返っていくこの企画。第1回はラクロス部が2年ぶりにファイナル4(準決勝)進出を決めた試合です。
※以下学部学年役職などは昨年度の表記に準じています。

2019年9月16日 ラクロス部
第32回関東学生ラクロスリーグ戦 対立大 第5戦
立教大学新座キャンパス 多目的グラウンド

人生で初めてのラクロス取材は衝撃的な試合だった。

1部リーグ最終戦。中大は勝てば首位でファイナル4に進出という大事な試合をアウェイで迎えた。相手の立大はホームゲームということもあり、多くの観客がスティックバルーンを用いて応援する。対する中大も必死に声を出して選手にエールを送る。両チーム負けられない試合を迎えるにあたってフィールドの中だけではなく、周りもチームの一員として戦っていた。ラクロスの試合を初めて観た私にはこの光景が強く印象に残った。

先取点を得ることで流れを掴みたかった中大だったが、激しい攻防の末に立大に奪われてしまう。このまま相手ペースのまま第1クォーター(Q)を終えるかと思われたものの、その後積極的に攻撃を仕掛けると、副将の松木悠(商3)と攻撃の要である小松勇斗(商3)の連続ショットで逆転に成功した。このまま逃げきりたい中大であったが、第1Qも終盤を迎えるところで立大に同点のショットを決められ、試合は振り出しに戻り第1Qは終わる。▲気迫の猛攻で同点ショットを決めた松木

続く第2Qでは改めて流れをつかみとろうと両チームの選手たちは必死にコート内全体で駆け回り、ボールも両陣営を右に左に飛び交った。中大のショットも7本と積極的に攻撃を仕掛ける一方で、相手のショット7本も守りきるなど絶対的な堅守も魅せた。攻守で流れを手にしたかった中大であったが、立大の守りを打ち崩せずに第2Qは終了。このころには初めての試合であった私も迫力あるラクロスと言う競技そのものに見入っていた。こうして同点のまま試合は折り返して後半戦へ。

ハーフタイムを挟み第3Qが始まる。しかし両チーム共に相手サイドに上手く入り込めなかった。試合が動いたのは終盤残り2分、立大の猛攻に遭うも24番穴森が見事なゴーリーセーブに成功。結局両チームの均衡は崩されることはなく、スピード感ある試合展開で勝負の行方は最終の第4Qまで持ち越された。

ファイナル4への進出条件は中大が引き分け以上と立大に対して有利な立場にあったが、勝ちを求める姿勢を崩す選手は誰もいなかった。その背景には試合前にキャプテンである佐々木淳(経4)が「どっちが勝ちたいという気持ちが強いかで勝敗がつく」とチームメイトを鼓舞していたことにあった。

こうして迎えた運命の第4Q、先に試合の均衡を破ったのはここでも立大だった。引き分けでも敗退と後が無い立大は、後半9分で中大サイドに切り込みショットを決める。これにより中大は残り5分というタイミングでビハインドに陥いる。「ゲームプランを細かいところまで練ったことで、後半も焦らずに、諦めずに試合ができた」と、諸星コーチが試合後語ったように、中大選手は誰一人焦ることなく反撃を挑んだ。そして後半13分に第1Qでも得点した小松が同点のショットに成功。残り2分で遂に中大ペースに持ち込み、この1点に満足することなく更に攻撃を仕掛ける。

試合終了まで残り10秒という場面で再びショット。「無我夢中だったが、ゴールが見えたので思い切り振った」(小松)と振り返ったショットは立大側ゴールを揺らしていた。まさにとどめの一撃で再び逆転に成功し、その直後に試合は終了。劇的な逆転勝利で中大は2年ぶりにファイナル4進出を決めた。▲3ショットと大活躍の小松

こうして初めてのラクロス部取材で訪れていた私はラクロスそのものに魅了されてしまったのだ。『地上最速の格闘球技』と呼ばれるラクロスは、その名の通りスピード感ある競技だったと実感するのにふさわしい素晴らしい試合。時間がたった今でも鳥肌がわく程の衝撃だった。

今年度新型コロナウイルス肺炎が流行していることで、大会の延期などが起きている。団体競技であるラクロスも練習などで大きな弊害があるだろう。しかし、そんな困難を乗り越えて、さらなる力をつけてくれると私は信じている。

日本一という目標に向けひたむきに突き進む中大ラクロス部、そんな彼らから2020年シーズンも目が離せない。

▲劇的な逆転勝利に沸く選手たち

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

記事:塩ノ谷太樹(経2) 写真:中大スポーツ新聞部