2021年8月22日 群馬サイクルスポーツセンター
「トラックの頑張ってくれたメンバーに申し訳ない」
レース後岩田聖矢(法1)は重い口を必死に開き言葉を絞り出した。
9種目中7種目で優勝と圧巻の走りでトラック大会を制した後行われたロード大会。1週間前の輝かしい笑顔はそこにはなかった。
▲レース後本紙の撮影に応じる選手たち
主力の山本哲央(経4)、馬越裕之(法3)を中心に少数ながら精鋭揃いの中大。ロードでは毎年日大が力強い走りを見せるものの、上位入賞は戦力的に見ても固かった。しかしロードは事前の戦力では決して測れない。天候や機材トラブルなどに左右されることが多く、今回はその象徴とも言えるレースとなった。
レース開始早々、前を走る選手との接触が引き起こした機材トラブルによって、山本がまさかの離脱。学生レース特有のトラブルに見舞われた山本は「練習量が足りなかった」とレースを淡々と振り返るがその心境は計り知れない。エースの集大成としてのぞんだインカレロード大会の舞台は受け入れ難い敗北で終えることになった。
仲間が離脱していく中で最も光を見せたのは1年の岩田。主力が抜けた後はチームメイトに指示を出しながら最後の1人になっても果敢に漕ぎ続けた。しかし数で勝る日大の複数人によるアタックに1人で対応するのは厳しかった。
▲懸命にペダルを漕ぐ岩田
孤軍奮闘し続ける岩田の姿を見て中村龍吉(経3)は先輩と後輩の関係について考えることがあった。
「1年ながら中大で1番戦力になったことはこれからの中大を見る中でいいことだけど、やっぱり後輩に引っ張られるのは先輩としてどうなのかなって。僕ら上の代が強くならないといけない」
▲集団の先頭にたつ中村
中村は取材する度「先輩として」という言葉をよく口にする。普段はムードメーカーとして場を盛り上げ、本紙の取材にも笑顔で対応してくれる中村だが、先輩としてどうあるべきか。先輩としてどうチームを変えていくかを常に考えている。
「先輩と後輩との年の差で物を言わないっていうのは中大のいい所なんですけど、力の差っていうのは先輩が見せていかないといけない。来年は先輩が引っ張れるようなチームを作っていきたい」
▲レース中悔しさが込上げる中村
上級生を軸としたチームづくりへー。来シーズンに向けて、この課題はロード班最大のテーマになりそうだ。
ロード大会にてまさかの完全敗北を喫した中大。日大とのロードの差を大きく痛感するレースとなった。今は錯綜する心を抱えるしかない。ただ失意の言葉の渦に決して目標が飲まれることはなかった。
「来年はしっかりこの借りを返したい」(岩田)
もう絶対にトラックの中大とは呼ばせない。
◆試合結果◆
総合
②中大
記事・写真:「中大スポーツ」新聞部