5月3日 日大八幡山総合体育館アリーナ
「会心のゲームだったね」(実方監督)。試合を終えた指揮官はそう言って破顔した。チーム全員がそれぞれのポジションで存分に力を発揮し、令和初勝利を飾った中大。30-23の快勝で新時代のスタートを切った。
▲攻守で活躍を見せた久保寺。試合後のパフォーマンスでチームを盛り上げる
前半開始直後、両チームともになかなかシュートが決まらず、試合はこう着状態に陥る。そんな中、均衡を破ったのはこの日攻守にわたり大活躍を見せた保利憲之朗(経4)だった。その後、保利が奪った先制点の流れに乗りたい中大だが、細かい連携ミスが続き試合の主導権を握れない。そんな状況を打破したのは今季これまで以上に選手たちが意識している「守備力」だった。保利と久保寺歩夢(文1)を中心とした積極的なディフェンスでボールを奪った中大は次々に速攻を決め、リードを広げる。前半終了間際には保利がブロックしたボールを岩﨑滉大(文3)が速攻でゴールを揺らすなど、まさに「守って速攻」のゲーム展開となった。実方監督が「100点の内容」と振り返る前半は16-10の6点リードで折り返した。
▲速攻での活躍の光る岩﨑。春リーグを通して着実に実力をつけている
後半の出だしは相手から果敢にゴールを破られるも、前半と変わらぬ攻撃力で中大も得点を重ねていく。12分頃には前回の日大戦で躍動した中村仁宣(文2)が応援席からの大歓声を受けてコートに立った。しかし、中村がすぐさま得点を奪うも途中で山川慎太郎主将(経4)が負傷でベンチへと戻ってしまう。その後、口内を負傷した山川主将は大事をとってベンチから見守ることに。後半中盤から主将不在となったが、副将の臼田翔馬(法4)や司令塔の安永翔(法3)がチームをけん引し、後半も優位に試合を進めた。また、試合終了前にはルーキー古屋律(総1)が7㍍スローでシュートを決めるなど、チームの盛り上がりは最高潮に達した中大。後半も個々が着実に役割を果たし、30-23で連勝を飾った。
▲積極的なゲームメイクで実方監督からの期待も高まる安永
「守って速攻」。理想とする中大のハンドボールが東海大戦に続き体現することができた。「勝つ」ために何度もミーティングで攻撃の仕方を確認してきた中大。1年生ながら実方監督の想像を超える活躍を見せている久保寺は「ミーティングで話し合ったことがよくできた」と話し合いの重要性を説く。「次戦の法大は攻撃力が高いのでまたミーティングして、ディフェンスが崩れないようにしたい」(山川主将)。そんなミーティングを大切にする姿勢が新生ハンド部の強さにつながっている。新時代の幕開けを勝利で彩った中大。新たな時代の到来とともに、これからの中大も進化を続ける。
◆試合結果◆
〇中大30(16-10、14-13)23明大●
◆コメント◆
実方監督
「保利と久保寺が本当にディフェンスでよく頑張った。とにかく守って速攻ができたので、やりたいゲームができたね。安永もよくゲームメイクしてくれた。今日はそれぞれが自分の仕事をしっかり果たしてくれたと思う。次戦も今回と同じような展開にしていきたい」
山川主将
「ディフェンスがとにかく良かった。チームの持ち味が出せたと思うし、相手の特徴をよく理解してプレーできた試合になった」
久保寺
「(保利と)連携が取れるようになってうまく守備ができていると思う。割と最初からのびのびとプレーできたが、今は上級生とコミュニケーションが取れて気を使わずプレーできるようになった。次戦の法大は攻撃力あるので話し合ったことをプレーで出せるようにしたい」
保利
「序盤パスミスが多かったのでディフェンスから流れを作ろうと思っていた。リーグ戦はどこかで落ちる場面が来る。そういうこけそうになった場面でどれだけ立ち直っていけるかが今後大事になってくると思う」
◆今年もやります!~4年生特集~◆
昨年に引き続き、チームを支える4年生を紹介するこの企画。記念すべき今年度&令和最初は、昨年度からも活躍を見せる中大のディフェンスの要、保利憲之朗選手(経4)です!
▲この日攻守にわたり大活躍を見せた保利
――ハンドボールを始めたきっかけを教えてください
保利「始めたのは中学校からです。最初は水泳部に入りたいと思っていたんですけど、ガチでやる部活じゃなくて。何かガチでやる部活やりたいと思ったときにハンドボールがあって、体験してみたら先輩よりも球が速くて(笑い)。そこでできるんじゃないかなと感じて始めました」
――中大を選んだ理由は何ですか
「自分元々理系だったんです。数学は得意だけど化学・生物が苦手で、そのことをお父さんに相談したら経済学部を薦めてもらって。やってみたら興味を持ったので、経済をしっかり学べる大学を考えて、そこで中央大学を選びました。先輩がハンドボール部にいたので、入学してからはハンドボール部に入ろうと思っていました」
――ディフェンスの醍醐味・普段大切にしていることはありますか
「『連携』ですかね。みんな気持ちが一緒にならないとしっかりディフェンスできないので。大事にしているのは、相手が次にどうしてくるか考えて先を読むことです」
――保利選手にとってハンドボールとは
「『先生』ですかね。人間関係だったり、どうやったら物事を上手く運べるかだったり、勉強以外で学べることがたくさんあるので」
▲好きな言葉は『精進』。「今の自分が過去の自分に負けないように」という意味がこめられている
また、今回は連休中で応援に駆けつけていた父・博之さんと母・さゆりさんにも特別にお話を聞くことができました!
――今回の保利選手の活躍はどのように映りましたか
博之さん「ディフェンスよく頑張ってたよね。意外と点も決めたし、ええとこ見せようと思っていたんじゃないかな。昨日から勝ちたいって言ってたからね」
さゆりさん「朝から課題を書いた練習ノート見て復習していました。勝ちたいってずっと言ってたので勝てて良かったです」
――保利選手にかけたい言葉はありますか
博之さん「中1からやってきたハンドボールも今年で10年目で、集大成を迎えます。インカレが今から楽しみです。この調子で残り3試合頑張ってほしいね」
さゆりさん「応援しかできなかったけど、自分も試合に出ているような感覚で今まで過ごしてきました。今のチームはいつも直接見ているわけではないですけど、とてもいい雰囲気だと思います。最後まで頑張ってもらいたいです」
ご両親からのエールを受けて、最後に保利選手から両親へメッセージを伝えてくれました。
保利「今日はいいところ見せたいと思ってたので、活躍できて良かったです。いつも支えてくれて感謝しています。両親のおかげでここまでこれたので『ありがとう』しかありません」
優しい笑顔が印象的な保利選手とご両親。家族の絆を胸に歩むラストシーズンに期待がかかります!
記事・写真:「中大スポーツ」新聞部