春は東洋大相手に入れ替え戦で見事残留し、この秋も長く続いている1部の舞台でプレーした中大野球部。この秋は春の最下位から見事躍進を遂げ、リーグ優勝の夢は叶わなかったものの2位でシーズンを終えた。成長を遂げた秋を終えた監督、選手たちは何を語るのか。17日間に渡り彼らの思いをお届けする。
連続インタビュー最終日は北村恵吾選手(商4=近江)。東京ヤクルトスワローズからドラフト5位指名を受け、憧れのプロ入りを決めた北村。キャプテンとして中大野球部を率い、春の入れ替え戦、秋での自身の打撃不振など一年で多くの試練を乗り越えた。秋季リーグ最終戦後、清水監督は「今年一番成長したのはこの子(北村)。下級生が『北村さんは弱さを見せて僕たちを引っ張ってくれてる、だからついていく』と言っていた。苦しい中でもかっこつけずに正直にチームを引っ張っていた」と話し、監督の言葉に涙する彼の姿があった。プロでも大学時代と同じく神宮の地での活躍を誓う。(取材、構成=髙梨晃世)
——秋季リーグを振り返って
チーム的には優勝はできなかったですけど、最後は優勝争いにまで行ったのでいいシーズンを送れたんじゃないかなと思います
▲キャプテンとしてチームを叱咤激励し、まとめ上げた北村
——2位という順位について
春あれだけつらい思いをした中で、優勝はできなかったですけどいいところまで行ったんじゃないかなと思っていて。でも上も下も紙一重だなっていうことを後輩たちも分かったと思うので来年頑張ってもらいたいなっていう気持ちです
——ドラフト前のシーズンということで今までとの違いはあったか
それは特になかったですね
——福島での地方開催について
正直慣れている神宮がやりやすいなっていうのがあるんですけどあの場で開催することによって福島の県民の方々がたくさん足を運んでくださって、少しでも盛り上がったのならそれはよかったのかなと思います
——2季連続でベストナインを授賞したことについて
ベストナインを目標に掲げてやってきたのでそれはよかったですけど、春は自分の思うよな結果が出せたなかで授賞できたので良かったなとは思うんですけど、秋は打てなかった中で選ばれたっていうことなので。でも素直に良かったなって思いが一番強いです
▲春季、秋季と連続でベストナインを授賞した
——印象に残った相手ピッチャー
一番すごいなって思ったのは青学大の常廣選手ですね。でも一番楽しかったなって思うのは日大の杉本選手との対戦ですね。高校のときから自分が近江で杉本が大垣日大で昔から友達っていうのがあって、向こうも試合前とかに会ったりしたら、いろいろ話しかけてきてくれたので対戦を楽しんでできたかなと思います
——対亜大戦1回戦でのホームランについて
あの時は完全に変化球を完全に待っていて、練習から青山選手の変化球だけを打つってことだけを考えてやっていたのでそれが実を結んだかなと思います
▲対亜大1回戦でホームランを放ちハイタッチをする北村
——その後のタイブレークで二死満塁での打席で何を考えていたか
自分で決めるっていうのだけを考えて打席に入りました
——結果押し出しデッドボールでしたが気持ちは
最高でした(笑い)
——デッドボールへの怖さは
怖さっていうのはないですね、大丈夫です
▲サヨナラ勝ちを納め笑顔を見せる北村
——この秋見つかった課題
自分が打てなかったときの原因をいち早く見つけることが出来なくて、悪くなった原因とかどこがダメで打ててないのかっていうのを早期に見つけてすぐ治せるようにならないと、プロの世界でも1シーズン長いので、好不調の波を少なくするためにも大事なことだと思うので、そこが一番の課題かなと思ってます
——青学戦、日大戦に挑む際、優勝を目指す上でキャプテンとしてチームに伝えたこと
もう連勝するしかなかったので、まず目の前の一戦を全力で勝ち切ろうっていうことだけは伝えてずっと練習してきました
——接戦をものにできた理由は
春は入れ替え戦まで行って緊張感のあることを経験できたので、練習からキャプテンとしてみんなに厳しい言葉をかけたこともありましたし、一人一人がリーグ戦の緊張した場面を想定した中で練習してきたことが、一点差の緊迫する中でも自分たちの力を発揮できたので勝ち切ることができたと思います
——終盤にかけて優勝争いの中でのチームの雰囲気は
一人一人優勝するっていうことだけを考えてやってきたので、練習からいい雰囲気でできてたかなと思います
——最終戦後に監督の言葉に涙したわけは
秋としては自分としてはふがいない結果で終わってしまったので本当につらかったシーズンだったんですけど、監督が最後にああいった言葉をかけてくれて、一年間頑張ってきてよかったなと思えたので良かったなと思えました
▲秋では苦しみながらもキャプテンとしてチームを支えた
——北村選手から見てチームが6位から2位に上昇した理由
さっきも言ったように練習から自分たちが厳しい環境でやってきたことで実際の試合の場面で、当たり前のプレーが当たり前にできるようになったことが大きいかなと思います
——今年の中大野球部はどのようなチームだったか?
やるときはやるチームではありましたし、いざという場面で勝負強い、頼りになるチームメイトが多くて本当に良いチームだったなと思います
▲春の入れ替え戦では気合を入れ自ら五厘刈りにし、試合後チームメイトの石田(裕太郎=経3・静清)(右)と喜びを分かち合う北村
——大学4年間を振り返ってみて
良い四年間だったなと思いますし、最後キャプテンまでやらせてもらって、いろんないい経験ができたので本当に中大に来てよかったなと思っています
——キャプテンとしての一年間を振り返って
はじめは結構しんどかったですけど一年間振り返ってみるとやってよかったなと思いますし、ついてきてくれたチームメイトには本当に感謝の気持ちでいっぱいです
——中央大学での4年間で1番成長した部分は
人間性が一番成長できたかなと思っていて、精神的にも本当に強くなりましたし、いろんな練習一つ一つに対する考え方であったりとか、なぜこのメニューをやるのかっていうのを、目的意識を持ってできるようになったのでそういった部分が成長したかなと思います
——ヤクルトからドラフト指名を受けた瞬間の率直な気持ちは?
良かったなっていうだけですね。うれしかったっていうのもあるんですけど一番は「あぁ良かった」って思いました
▲ドラフト指名後、阪神から1位指名を受けた森下(翔太=商4・東海大相模)(右)と安堵の表情を見せた
——指名された瞬間の動画で歓喜の中、北村選手のスマホが床に落ちてましたけど大丈夫でしたか
全然大丈夫でした(笑い)
▲中大の仲間たちとデスターシャポーズ
——プロで活躍する先輩の横浜の牧秀悟選手(令3年卒)、古賀悠斗選手(令4年卒)とは連絡を取ったか
しましたね。「おめでとう」っていう言葉をもらって、牧さんにはずっと良くしてもらっていたので電話ももらって「プロにってもお互いに頑張っていこう」っていう話をしました
——中日の根尾昂選手と連絡は(※北村選手と根尾選手は中学生時代共に岐阜県選抜に選ばれている)
「おめでとう」っていう連絡は来ましたね
——慣れ親しんだ神宮でまたプレーすることについて
やりやすいと思いますし、やっぱりずっとやってきたグラウンドなので相性の良さっていうのもあるのでまたプレーできるということでうれしいなと思います
——指名挨拶でOBの小川淳司GMからの印象に残ってる言葉は
「怪我をしないようにやってくれ」って言われたのと「自分らしさを出して欲しい」といわれたのでそこは意識してガッツのあるハツラツとしたプレーがはじめから出していけたらなと思います
▲指名挨拶でOBの小川淳司GMが訪れ、握手を交わす
——プロ野球選手になる実感は沸いているか
徐々に沸いてきてるっていう感じですね。まだユニフォームに袖を通していないので新入団会見で初めてユニフォームを着ると思うので楽しみだなっていう感じです
——ヤクルトの来年の燕パワーユニホームについて
(クルーユニホームの)紺の方はかっこいいなと思うんですけど、緑はちょっと全身緑で(笑い)いやでも着てみたいですね
——1月にはキャンプイン、入寮も控えているがどんな心境ですか
やってやるぞって感じです。不安もありますけど楽しみな部分が一番大きいので頑張っていきたいなと思います
——戸田寮はお化けがでると話題ですが
そうなんですね(笑い)。全然知らなかったです。でも霊感とかないんで大丈夫だと思います
——以前登場曲はNiziUで行きたいとのことでしたが
そのまま変わらずNiziUで行きたいと思います。全打席NiziUで
——対戦が楽しみな投手はいるか?
やっぱり根尾とやってみたいですね。岐阜で一緒だったので
——ヤクルトの中で会うのが楽しみな選手は
やっぱり一番は村上選手ですね。バッティングのこととか聞いてみたいです
——ファーストだけではなく、ショート以外の内野に挑戦するということだが不安は
不安は全くないですね。やるだけなんで
——ルーキーイヤーの目標について
まずは開幕1軍でたくさん試合にでれるようにすることですね
——将来的にどんな選手になりたいのか
打点王とれるような選手になりたいです
——オフシーズンに楽しみにしていることは?
いや今、教習所行ってるので特にないです(笑い)
——来年以降の中大野球部にエールをお願いします
本当に日本一になれるように優勝目指して頑張ってと伝えたいです
▲神宮でさらなる活躍を誓う
——プロ野球選手としての意気込みをお願いします
少しでもファンの方々に愛されるような、目標とされるような選手になれるようになっていきたいなと思います
◇北村恵吾(きたむら・けいご)◇
学部学科:商学部・商業貿易学科
身長・体重:182㌢・90㌔
出身高校:近江高校