• Twitter
  • facebook
  • instagram

三大駅伝初戦は悔しさ残る7位 藤原監督「駅伝力がまだまだ足りていなかった」─第35回出雲全日本大学選抜駅伝競走

▲ゴールテープを切る湯浅

2023年10月9日 島根・出雲大社~出雲ドーム

「三大駅伝三冠」を今年度のチーム目標に定め挑んだ重要な初戦。序盤から出遅れる苦しい展開となった中大は、5区溜池一太(文2)、アンカー湯浅仁(経4)らが区間上位の走りで巻き返しを狙うも結果は7位。悔しさと課題が残る大会となった。エース吉居大和(法4)の起用なしで挑んだ本戦。藤原監督は「力負け。挽回力や駅伝力がまだまだ足りていなかった」と振り返る。

(記事:山﨑響、片岡芹奈、藤本佳野、琴寄由佳梨、小幡千尋 写真:小幡千尋、牧島駿太、松本あゆみ、二村沙羅、片岡芹奈、井口縁、髙橋若菜、琴寄永里加、遠藤潤、大日方惠和、功刀萌恵、山﨑響、琴寄由佳梨、日向野芯、日原優、藤本佳野、要明里沙)


◆大会結果◆

①駒大  2時間07分51秒
②創価大 2時間09分34秒
③城西大 2時間10分35秒

⑦中大 2時間12分17秒 

1区 8.5km 浦田優斗(経3)24分10秒  区間13位
2区 5.8km 中野翔太(法4)16分39秒  区間6位
3区 8.5km 吉居駿恭(法2)25分43秒  区間11位
4区 6.2km 阿部陽樹(文3)17分54秒  区間5位
5区 6.4km 溜池一太(文2)18分24秒  区間3
6区 10.2km 湯浅仁(経4)29分27秒   区間2位

スターターを務めたのは、三大駅伝初出走の浦田優斗(経3)。春先から好調を示し続け、ついに駅伝デビューを果たした。昨年の吉居大を彷彿とさせる攻めの走りでスタートをした浦田だったが、4㌔すぎから集団に突き離されてしまい13位で襷(たすき)リレー。「自分の区間で勝負が決まった。駅伝で1番やってはいけないことをしてしまった」と悔しさをにじませた。今後に向けては「自分がこんな形になってしまったので、少しでもチームを勢いづけられる様に練習での姿勢でチームの士気を上げられるように尽力したい」と語る。浦田について監督は「優勝を狙うというプレッシャーに負けてしまった部分もある」と言及。浦田にとっては苦い駅伝デビューとなったが、今後の飛躍に期待したい。

▲1区を任された浦田

最短の2区には前日会見で藤原監督がキーマンに挙げたエース中野翔が出場し、順位を1つあげ全体の12位で襷(たすき)を繋いだ。スピードランナーが集まるなか、1区での遅れを取り返す役割だったものの「なかなか前を詰められずに終わってしまった」と悔しさを滲ませた。レースを振り返り「もう少しスタミナの面を練習しなきゃいけない」と課題は明確になった。約1カ月の全日本駅伝、そして箱根駅伝に向けて「悔しい思いを持って練習に取り組んで、いい走りがみんなチーム全体でできたらと思う」と目標を語った。

▲藤原監督がキーマンとしてあげた中野

エース区間の3区には、5000㍍で今季日本人学生トップタイムを出したばかりの吉居駿恭(法2)が出走。12位で襷(たすき)を受けた吉居駿はチームの順位を2つ上げる活躍を見せたものの、区間11位という結果に終わり、「後ろで来たので抑えず前半からいこうと思ったが、全然いけなくて苦しい走りになってしまった」と振り返った。

▲エース区間を担った吉居駿

今大会で2番目に短い区間である4区では阿部陽樹(文3)が区間5位の好走を見せた。藤原監督からも「厳しい中で力を発揮した」と評価を受けたが、吉居駿から10位で受け取った襷(たすき)は「想定よりも後ろの方だった。その中で自分で流れを変えて、順位を押し上げる力がまだ無かった」と悔しさを見せた。一方今後については「区間賞取るくらいの勢いで、チームに勢いをつける走りをしていきたい」と前向きに締めくくった。

▲2年連続の4区を走る阿部

5区は去年に引き続き溜池一太(文2)が苦しいレース展開の中、順位を1つあげる粘りの走りをみせた。「大和さんがいなくても中大は強いというところを見せたかったのですが、自分も希望タイムよりは届かなくて悔しい。厳しい駅伝だったなと思います」と自身の走りを振り返る。区間順位については「駅伝は区間賞じゃないなら同じなので、区間順位は関係ない」と、区間3位ながらも納得はしていない様子だった。

▲区間3位の溜池

アンカーを務めたのはキャプテンの湯浅。「個人としては目標通りだった」と振り返り優勝した駒澤大の鈴木に次ぐ区間2位の走りで、東洋大と順大を抜き7位でフィニッシュ。「なんとか入賞圏内に持っていってキャプテンとしての走りをしようと思って走ったが、チームとして結果が出なかったというところで悔しさの方が強い」と苦しい表情だった。藤原監督は湯浅の走りについて、「本当はもっといい位置で渡してやりたかったので、大変申し訳ないなと言う気持ち」とした上で、「ただやってきていることが間違ってないということは湯浅含め、4・5・6区が出してくれた」と振り返った。

▲東洋大と並走するアンカー湯浅

幾度となく駅伝でチームに貢献している大エース吉居大和の起用がなかったことについて監督は、「出そうと思えば出せたが、8月の終わりにコロナになったりして、ここで2戦無理させるよりは一度しっかりと練習をして、より大事な全日本、箱根でちゃんとやってもらわないとと思い今回は練習を優先させた」と吉居を労っての出走見送りだったことを明かした。そのうえで今日の区間配置については、「浦田で先頭から30秒で来てくれれば、エース核で挽回できて4~6区は自信を持って配置していたので大和抜きでどこまで戦えるか。正直優勝は難しいと思っていたが、厳しかったですね」と話す。

7位という結果について、「やはり優勝狙ってきた中で、そのプレッシャーに1区の浦田あたりは負けてしまった部分もあると思いますし、遅れても2区3区のエースで挽回するというところがあったがそれが全く出来なかったので、もう力負けですね」と悔しながらに口にした。

今年はさらに選手層が厚くなり、三冠への準備が整った状態で迎えた出雲駅伝。「やるべきことはきっちりやれているが、やはり出遅れに対しての挽回力、駅伝力がまだまだ足りてない。あとは今回やはり大和頼みにならないチームとなった時にどれだけ発揮できるかというところだったが、まだまだ下級生に関しては大和頼みだったところがあるのかなというところで、その部分を残りの2ヶ月半ぐらいでなくしていかないとですね。新チームに移行する時に困るのは彼らですから。それをした時に初めて『優勝』が見えてくると思うので、その部分は3年生以下に色々求めながらやっていたい」と、新たな課題が明確になった大会であった。

三大駅伝初戦である出雲駅伝を終え、次なる挑戦、全日本駅伝は28日後に迫る。「これを糧に全日本もう1回優勝を狙ってやっていきたい」と藤原監督は力強く語る。

今年度は主力から中間層まで確実にレベルアップをしており、優勝が狙える位置にいることに間違いはない。この悔しさを糧にチームはさらにパワーアップするだろう。

『全員の駅伝力』が優勝への近道だ。

Twitter(@chudaisports
Instagram(@chuspo_report