学生三大駅伝の2戦目、第55回全日本大学駅伝が2023年11月5日に開催される。愛知県・熱田神宮から三重県・伊勢神宮までの全8区間、総距離106.8kmに及ぶコースに27校が出場。昨年総合7位という結果で苦しみながらも2年連続でシード権を獲得した中大は、先月行われた出雲駅伝での借りを返すべく今大会に挑む。
11月3日に区間エントリーが発表され、中大はチームの中心メンバーである吉居駿恭(法2)、中野翔太(法4)、吉居大和(法4)を前半に固め、キャプテンの湯浅仁(経4)、安定感のある走りが武器の阿部陽樹(文3)を後半の7、8区に配置した。また、出雲駅伝に出走した浦田優斗(経3)、溜池一太(文2)などが補員メンバーに回った。なお、当日変更は3名まで認められている。(記事:琴寄由佳梨)
集大成を迎えた4年生
中大の中核を担う4年生トリオが順当に出走メンバーに登録された。特に注目なのは3区にエントリーされたチームの絶対的エース吉居大。出雲駅伝では出走が見送られたが、10月1日に開催された世界ロードランニング選手権に日本代表として出場しており、その存在感は顕在している。準備期間が長かった分その走りに注目が集まりそうだ。そして、Wエースの一角としてチームを支える中野は2区に配置された。出雲駅伝では区間6位の走りで全体の12位での襷(たすき)渡しとなり「もう少しスタミナの面を練習しなきゃいけない」と悔しい思いを糧に伊勢路での活躍を誓った。そして7区には、出雲駅伝でアンカーとして区間2位と意地の走りを見せた湯浅。チームの順位を2つ上げる見事な走りを見せたキャプテンが当日どのように仕上げてくるか注目だ。
▲出雲駅伝でアンカーを務めた湯浅
出雲での悔しさを糧に
1区を務めるのは吉居駿。9月30日に開催されたグランプリシリーズ新潟大会では5000mで学生歴代10位、今季日本人学生トップ記録である13分22秒01を出し実力をアピールした。出雲路では区間11位という悔しい走りとなった分、伊勢路での実力発揮に期待が高まる。そして8区に配置された阿部は、出雲駅伝では区間5位という安定した走りを見せたが「自分で流れを変えて順位を押し上げる力がなかった」と悔しさをにじませた。全日本では「区間賞とるくらいの勢いで、チームに勢いをつけられるような走りをしたい」と目標を語った阿部が昨年に引き続きアンカーを務める。
▲出雲3区出走の吉居駿
実力ある下級生も揃う
4区にエントリーされた柴田大地(文1)、そして5区にエントリーされた本間颯(経1)は、出雲駅伝のエントリーメンバーに選ばれたものの本番での出走とはならなかった。しかし、直前に行われた中大記録会では10000mでともに28分台を出し新戦力の台頭をアピールしている。伊勢路での出走が叶えば初の大学駅伝となるが、「自分もしっかり走ってチームに貢献したい」(柴田)、「(チームの)目標に貢献できるような走りをしたい」(本間)とそれぞれ活躍を誓った。また、6区には吉中祐太(文2)がエントリーされた。出雲駅伝での出走とはならなかったものの、今季はホクレン・ディスタンスチャレンジやインカレなど、どのレースでも安定感のある走りを見せており、その実力がいかに発揮されるか注目だ。
▲好調を維持している吉中
その他、出雲駅伝に出走済みの浦田、溜池や、大澤健斗(文4)、東海林宏一(経3)、山平怜生(法3)と実力者が補員メンバーに回り、当日変更も注目されるメンバーエントリーとなった。
「三冠」を目標に挑んだ三代駅伝初戦となる出雲駅伝ではエース吉居大を欠き、総合7位という結果に終わった。大会後、全選手が口を揃えて「悔しい」と語ったが、今季125回を目標に掲げたPB更新数はすでに100回を超え、選手たちは確実に力を付けている。また、夏合宿取材時には「今年は距離が長くなればなるほど、距離が伸びる分には戦える」と藤原監督は話す。出雲路後「挽回力」と「駅伝力」を課題として練習してきた約1カ月。経験した悔しい思いと、「今までやってきたことは間違っていない」という確かな自信を襷(たすき)に込め伊勢路を駆け抜ける。