【特集・2024西湖合宿➃】佐野拓実（経４）園木大斗（法４）

第４回は今年度主将を務める佐野拓実（経４）と駅伝初出走を狙う園木大斗（法４）。（取材は９月８日に行いました）

佐野拓実（経４）

「後輩たちが伸び伸びと競技できているというのは非常にいい点かなと思っている」と話すのはキャプテンの佐野拓実（経４）だ。佐野は3月の幹部取材の際に理想のキャプテン像として「チームの和」を大切にしたいと話していた。それから約半年。「チームの和」について聞いてみると、「自分が感じているのと後輩が感じているのとは違うと思うが、言葉通りいい雰囲気というか、チーム一つになって合宿に取り組めている。しんどい場面でも声を掛け合って練習できている」と明るい表情を見せた。

▲3月の学生ハーフマラソンで自己ベストを更新した佐野

佐野は七月末から夏の暑さに苦しめられており、体重も低下してしまった。それでも、トレーナーの力を借りるなどしてなんとか体重も元に戻り、８月の厳しい鍛錬期にはいい形で入ることができた。佐野はこの夏合宿シーズン、「距離の練習を力強く」やっていくことに重点を置いていた。「30キロ走を何度もやって自信がついた。25キロまでは余裕をもっていけたりと成長を感じる部分は多々あり、自信を掴む良いきっかけになった」と自身の成長を口にした。その一方で「最後のきついところを気持ちで引いてしまったり、自分の競技に対する姿勢の甘さがあったりと、内面を見つめなおすことが多かった。克服すべき部分をはっきり抽出できたと思う」と冷静に自身の課題に向き合う。成果と反省点を得られたことは大きな収穫であったと言えるだろう。

この西湖の選抜合宿には多くの1年生が参加しており、このことはチームにとって良い刺激になっている。勢いのある1年生に向けて佐野は「1年生にしか感じられない部分というのはあるのでその感性を大事にしてほしい。それが本当にチームに良い影響を与えているんだということを自覚してほしい」と優しい口調で熱い思いを語った。

昨年は多くのハーフマラソンに出走した佐野。今年のハーフとトラックの両立について尋ねると、「ハーフ、ロードで結果を残すことのほうが最優先」とした。トラックについてはスピードの強化や夏合宿での取り組みの「答え合わせ」としてロードの21キロにつながる走りをしたいと意気込む。また佐野は「前半は余裕をもって後半上げていくのが理想の走り方。そこを強化してきて特にハーフでは10キロからの粘りと最後のペースアップを頑張りたいと思っているので見ていただける方にはそこも見てほしい」と自信の走りのアピールポイントについても口にした。

約１か月後に迫る箱根駅伝予選会。予選会を経験したことがあるのは今の４年生世代で最後だ。「後輩たちにどれだけ現実的に考えてもらうのを僕たち４年生からアプローチしたりとか、本当に厳しい戦いの中で何もミスできないという緊張感のあるレースを全員が練習の段階から想像して走ることが大事になる」と予選会を知る者として、キャプテンとしての覚悟を示した。また個人としては箱根駅伝出走を一番の目標に掲げ、「本戦に持っていくためには予選会で確実に自分の力を発揮する」と強い決意を滲ませるとともに、「いろいろな戦い方があって、作戦とかもあると思うがしっかりレース設定を守って上位に食い込んでいきたい」と冷静に先を見据えた。

そして、最後に箱根駅伝への思いと希望区間を尋ねた。「僕は10区を走りたくて、陸上を始めたきっかけとか、中学、高校とステージが上がるにつれて箱根走りたいなっていう思いはずっとあった。箱根を走りたくて関東に来たので、大学に来た覚悟とか、関東まで送り出してくれた親や指導者の方々への感謝を走りに表して恩返しをしたい」と〝感謝の思い″を心に誓う。

佐野は今年度をもって10年以上にわたる陸上人生に終止符を打つ。駅伝シーズンまでの短さはこの3年間で体感してきた。チームを引っ張る立場となった4年目は一瞬だったという。「ベタな言葉だが1日1日を大切に過ごすことが一番。陸上に対する姿勢もそうだし、今まで僕を育ててくれた陸上の関係者、指導者、仲間に対する恩返しでもあると思うので、そういった部分ではこれまで以上に1日1日を大切に過ごすというか、陸上にすべてをささげるつもりで練習、生活を送りたい」。

佐野は日頃の取材でもチームについて言及することが多く、＂チーム思いのキャプテン＂であり洛南対談の際も持ち前の明るさで場を盛り上げる。残された時間、自身の目標、そしてチームのために駆け抜ける。
佐野主将率いる新紅の復活劇、いざ開幕。

園木大斗（法４）