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日本人トップの堀尾、学生史上初のMGC権獲得!ー東京マラソン2019

3月3日 東京都庁~飯田橋~神田~日本橋~浅草雷門~両国~門前仲町~銀座~高輪~日比谷~東京駅前・行幸通り

堀尾謙介(経4)が快挙を成し遂げた。数多くのエリートランナーが集う東京マラソン。そんな中、堀尾は初マラソンながら日本人トップの2時間10分21秒と学生歴代7位タイの好タイムでフィニッシュした。「自分でも驚いている。長い距離で押していけるという自分の持ち味を発揮できた」と満面の笑みを浮かべた。ガッツポーズで日本人1位でフィニッシュする堀尾 写真提供:アフロスポーツ
ゴール後力を出し尽くし倒れこむ堀尾
初マラソンを走り切り笑みを浮かべる堀尾

レースは序盤からハイペースで進んだ。先頭集団はアフリカ勢や大迫傑(ナイキ・オレゴンプロジェクト)といった世界屈指の有力ランナーを中心として展開。初マラソンの堀尾はしっかりと確実に第2集団の中盤でペースを刻んだ。「今自分は42.195キロをどれだけ走れるのか、そこをしっかりと確認したい」とレース1カ月前、東京マラソンに向けて語っていたが、堀尾は長い距離での適応力を大舞台で見せつけた。

堀尾は第2集団の中心で1キロ3分のペースを25キロまできっちりと刻む。初マラソンの堀尾にとってここからが勝負だった。しかしここで給水を取り損なうというアクシデントに見舞われた。「自分自身、体へのダメージがきつく、喉も乾いていて」とレース中焦りの表情を見せた堀尾。それでも「近くの藤川(中国電力)さんに声をかけたら給水を渡してもらえました。優しい方で良かったです(笑い)」と実業団の大先輩の気遣いのおかげでこのピンチを乗り越えた。

冷たい雨が選手たちの体力を奪う悪条件で有力ランナーが徐々にペースを落とす中、堀尾は自分の持てる力を出し尽くした。27キロ付近では大迫、32キロ付近では中村匠吾(富士通)、さらには36キロ付近で佐藤悠基(日清食品)と日本を代表するランナーを追い抜き遂に日本人トップに躍り出る。「中大での練習では、朝方は氷点下だったり、河川敷での冷たい向かい風のなかでよく練習していたのでそれが今回のレースに生きたのかな」と30キロ以降は長身を生かした大きなストライドで力強い走りを見せ、前を走る外国人ランナーを追った。

初マラソンで体験するレース後半の未知の世界。「最後は足が動かなかった」と40キロ以降後ろのランナーを気にする姿もあった。しかし堀尾にとって今大会が伝統のCのユニフォームを着て走る最後の試合。「高校の時は出されたメニューをして、うまくいっていました。レースとかも高校の先生がすごかったので、だいたいこういうレースになるからこう走った方がいいよってっていうのが、だいたい当たってその通りにしか走ってなくて。でも大学に入って練習にしても一つ一つ、どういう考えでやれとか言われなくて、そこを自分で考えなきゃいけないのが一年目はとても苦労しました。でも藤原さんになってから、ちょっとずつ変わってきて、考える力がつきました。中大での4年間でそこがやっぱり一番成長出来たところかなと思います」と恩師藤原監督の下、中大で培った経験を胸に学生最後の大会で大都会東京の街を日本人トップで駆け抜けた。寒さで一時救護室に運ばれる堀尾

「日本人トップはゴール後に藤原監督から聞いて初めて知った」と一人の学生がたちまち日本中から脚光を浴び、東京オリンピックマラソン日本代表に名乗りを上げた。レース前、自身の目標に掲げた『サブテン』は達成できなかったものの、堀尾自身これ以上のない結果を残した。「とてもうれしいがまだあまり現実味はない。これから実業団で同じトヨタの服部勇馬さんだったり強い大先輩と一緒に練習してMGCに向けて頑張っていければ」と卒業後の堀尾にも期待が高まる。

今大会は堀尾の今後のマラソン競技人生でのスタートラインに過ぎない。中大から世界へ。堀尾の果てしなき挑戦はまだ始まったばかりだ。

◆試合結果◆

5位 堀尾 2時間10分21秒 ★

*★は初マラソン

堀尾フィニッシュ写真:アフロスポーツ
記事・その他写真:「中大スポーツ」新聞部