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悔し涙をうれし涙に変えつかみ取った栄光 中大勢も躍進を遂げるー全日本大学総合卓球選手権大会・個人の部

10月24日~27日 京都・島津アリーナ

4日間にかけて行われた全日学個人の部。7月に行われた団体では悔しい思いをした選手たちだったが、個人では森田彩音主将(法4)が優勝、山本笙子(法3)が準優勝という快挙を成し遂げた。

「優勝できるとは思っていなかった」(森田)。昨年はフルセットまでもつれこんだがあと一歩のところで準優勝に終わり、そのリベンジとして挑んだ今大会。しかし前日のダブルスではまさかの2回戦敗退と、力を出し切れなかった。しかし、シングルスではそれを引きずることなく、圧倒的な集中力で勝ち進んでいく。

他を寄せつけることない圧巻のプレーで駒を進め、迎えた準決勝。その対戦相手は東京富士大の松岡。9月の秋季リーグでは敗れている相手だ。しかし森田は最初から自分のペースで試合を作り松岡の勢いを封じ込め、最後まで主導権を渡すことなく勝利を収めた。

また、山本笙子(法3)も同様に危なげない試合運びで勝ち上がり、準々決勝では同じ中大の梅村優香(文2)と対戦。お互いに対戦経験も豊富なため、セットを取り合う激しい試合となる。しかし最終的には先輩の意地を見せつけた山本に軍配が上がった。梅村も準々決勝まで終始相手のプレーに対応し、来季につながる活躍を見せた。


▲梅村の今後の活躍に期待がかかる

山本の準決勝の相手は早大の鎌田。「思い切ってやるだけだと思っていたので、気付いたら勝っていた」と自身も驚いた様子を見せていたが、得意とするバックハンドも炸裂し、隙を与えることなく勝利した。「高校の時からずっとベスト8止まりだったので、ベスト4になったときはちょっと涙が出てしまった。それが一番うれしかった。関東で優勝はしてたけど、全国の舞台では初めてだったので」と素直な喜びを語った。


▲得点を決め、声を上げる山本

そして迎えた決勝。全日学の決勝戦は中大対決となった。「分はよくなかった」(森田)、「本当に強くて尊敬する先輩」(山本)と互いに意識する中での大一番。大注目の一戦は幸先よく森田が1ゲームを取ると、負けじと山本も取り返す展開に。その後森田がゲームを連取し、迎えた第5ゲーム。森田が勢いよく3ポイントを奪うと、山本も執念で1ポイント差まで詰め寄る。しかし最後まで集中力を切らさなかった森田が、その後四連続ポイントで山本を突き放し勝利した。山本との決勝戦について「相手の胸を借りる気持ちでついていこうと思って堂々とできた。相手のボールが早いので、それにどう対応していくかを考えながらやった」と冷静に話した。

そして勝利の瞬間、今まで硬かった森田の表情から笑顔がこぼれ、目からは涙が光った。「大学4年間で父と『一回は全日学で優勝する』という約束をしていて、それが果たせて良かった」と喜びを語ってくれた森田。また試合後は母の顔を見るなりその胸に飛び込み、感極まって涙が溢れ出した。


▲史上初の中大対決に大いに注目が集まった


▲サーブに全神経を注ぎ集中する森田

主将として率いた今季は春秋リーグ戦、インカレの三大会で優勝という『グランドスラム』を目標としてきたが惜しくも届かず、個人としても勝ちきれない試合が続いていた。森田は「全日学が始まるまでの試合であまり自分が思っているようにできなかったり、技術的な面でも思うようにいかなくて悩んでいた。その不安の中で大会が始まったので、逆にできることをやるしかないと思えた」と振り返る。目の前の試合に向き合い、一球一球集中して試合に臨めたことが、森田の優勝を後押しした。


▲トロフィーを抱え笑顔を見せる森田

また、森田と同様に最後の全日学となった瀬山咲希(文4)は準々決勝で早大の鎌田と激突。秋季リーグで対戦した際はゲームカウント3―4で惜しくも敗れている相手だ。瀬山は前半から果敢に攻めたプレーで3ゲームを連取。そのまま勢いよく勝ち上がりたいところだったが、ここで鎌田が持ち前の粘りを見せる。うまくポイントを稼げないまま、3―3でファイナルゲームへ。試合は秋季リーグを彷彿とさせるような展開となる。「あの時のことがフラッシュバックしてしまった」(瀬山)と本人も1か月前の敗戦を意識してしまい、最後まで主導権を握れずに敗北。試合後コーチングをしていた父の元へ駆け寄り、悔しそうな表情で目に涙をためた。


▲試合に敗れ悔しい表情を見せる瀬山

最後の全日学となったのは森田と瀬山だけではない。これまでリーグ戦で熱い戦いを繰り広げてきた中澤紬(文4)はシードで挑んだが4回戦で敗退。悔しさをあらわにした。一方初めての全日学となった青木千佳(法1)はランク入りまであと一歩のところまで進み、今後の戦力として期待が持てる結果となった。

ダブルスでは瀬山・山本組がベスト8で入賞。二人とも「優勝を目標にしていたので悔しい」と心境を吐露した。山本は「来年はシングルスもダブルスも優勝できるように頑張りたい」と闘志を燃やした。

中大が大躍進を遂げ、圧倒的な存在感を見せつけた今回の全日学。「集中力がすごかった。団体の借りを少しは返せたかな」と矢島監督も笑顔だった。チームを率いてきた森田、瀬山ら4年生が抜け、山本、梅村を筆頭に今後どのような中大女子卓球部が生まれるのか。新体制の戦いにも注目が集まる。


▲表彰式後、賞状を手にする梅村(左)、森田(中央)、山本(右)

 

◆試合結果◆

ダブルス ベスト8 瀬山・山本組

     4回戦敗退 中澤・青木組、竹内嘉菜(法2)・大川千尋(法1)組

     3回戦敗退 大澤京香(商4)・後藤紗葵(文3)組

     2回戦敗退 森田・梅村組

     1回戦敗退 田中愛弥香(経4)・中村貴莉(文2)組

シングルス 優勝 森田

      準優勝 山本

      ベスト8 梅村

      4回戦敗退 瀬山、大川

      3回戦敗退 中澤

      2回戦敗退 田中、竹内、中村、青木

 

◆お知らせ◆

次戦は今月23日〜24日に埼玉県・所沢市民体育館にて行われる全日本学生選抜卓球選手権大会です。

記事・写真:「中大スポーツ」新聞部