• Twitter
  • facebook
  • instagram

【箱根駅伝直前特集/熱烈峻厳】第5回 藤原正和監督「今年は簡単に逃してくれない」「3区でアドバンテージを」

10月の出雲駅伝では10位という悔しさの残る結果に終わった中大。しかしその後の11月の全日本大学駅伝では2位入賞、そしてMARCH対抗戦、八王子ロングディスタンスでは多くの選手が自己ベストを更新するとともに10000㍍27分台の選手も続出するなど勢いを取り戻した。30年ぶりの箱根駅伝優勝を手にし、真紅の歴史に新たな1を刻むことはできるのか。選手たちの思いを連載でお届けする。

第5回は、就任10年目を迎えた藤原正和監督。ここまでのチームの雰囲気や各学年の印象、箱根駅伝へ向けた1年間の取り組みを聞いた。(取材は11月28日にオンラインで行いました)


今シーズンについて

―昨年は箱根予選、今年は全日本予選とシーズンの流れが違った

箱根予選の前回よりは断然作りやすい、暑さもひどくなる前の状況で迎えられるという意味では、ポジティブに開催時期を受け止めてましたので、そんなに難しさはなかったです。ただ、その時期に10000㍍を走り切れるラインナップ・体力は5000㍍、1500㍍あるいは3000㍍障害に注力している子には足かせになったかなと。予選会はない方がいいシーズンが送れるのは間違いないので、できるだけないようにしていきたいのが本音です。

課題としてといた中間層の育成を大石コーチが担ったんですけども、男鹿駅伝は青学大に負けて2位。もっとやらないといけないって中間層が気づいてくれて、夏合宿いい形で繋がっていったので、一つ壁にぶち当たっておくのも必要だったかなと思います。そこからどんどん戦う集団の雰囲気になったイメージです。

―選手から総合優勝という目標を聞いたとき率直な思い

前回大会も5区の途中まで先頭走れましたし、総合 5位・8人残るところも含めて、まあ当然そうだよねって。前の年に大きく跳ね返されてしまった壁でもあるので、経験している子たちで乗り越えたいところも同時にありましたので、覚悟を決めた 1年にしていこうということで、思えば一緒だったかなと思います。

三冠がいかに難しいか肌感覚で知った中で、箱根駅伝総合優勝を現実的な目標として、力に沿った目標設定にしてきたのは、優勝を近くに感じている証拠かなと捉えましたね。

全日本について

手応えは非常にあったので、勝たせたいオーダーだったんですけど。1区の本間(颯=経3)でうまく抜け出せなかった点と、出雲でよく走れた6区の佐藤大介(文2)と7区の岡田(開成=法2)が全日本でうまく合わなかった。二人で1分30秒は落ちたので、うまく合わせれば十分に優勝争いに絡めたかなというところで、非常に悔しい2位でした。

―全日本後、「実践的な練習が増えた」と言う選手が多かった

練習内容自体はそこまで大きくは変えていません。ただ、出雲の前はメッセージ・練習意図の共有をうまくやれてなかった反省点が自分自身の中にあったので、明確にここの練習をやっているとしっかり伝えて、より実践的にイメージをさせながら練習したところは確かにあります。

各学年について

―入学当初から1年生を駅伝出走させたかった

出雲は経験の場だと思っていますので、将来を見据えて濵口(大和=法1)か三宅(悠斗=文1)を使いたいのは当然ありました。全日本は力勝負なので、学年関係なく使っていこうというところは箱根と同じように考えています。長い目で見た時に各学年の軸を作ることは、チームビルディングとして大事だと思っているので、2つの駅伝で1年生が走ってくれたのは将来に向けても良かった点だと思っています

―濵口は高校から実績ある選手、チームに与える影響は

高校で速いからといって大学で通用するかって言ったら、そんな簡単なものでもないと思っているので、入ってきてから努力とか陸上にどれだけ真摯に向き合っていけるかという部分にかかっているよと、1年生には大学に入ったら一律、よーいどんだからねっていうことは伝えていますので。最初うまくいかなかった部分も、彼の競技に対する取り組みの甘さ、少し才能にあぐらかいているようなところがあって、出雲でつまずきを経て取り組みが変わって結果が出ているので、早めに気づけてよかったなっていう部分もあります。どちらかというと濵口を最初から憧れみたいな感じで見ていたのが、一緒にやっていけるっていうところで、ちょっとでも近づきたいと思って努力し始めて全体的に1年生が良くなってきたところはあります。本人がどう考えてるかわからないですけど、思っている以上に周りに与える影響は大きいかなと思うので、スイッチ入れ続けて頑張ってもらいたいです

―三宅について、入学当初からの成長曲線イメージ通りか

まあまあこれぐらいは来るだろうなと。もうちょっといってもおかしくないんですけど、その“ちょっと”が出せてないので。まだ自分の力信じきれてないのかなというふうに思いますけども、まだまだできると思います。

―2年生では岡田と佐藤が駅伝メンバーの常連になっている

十分に世代トップを狙える子たちだと思ってます。特性が違いますので、岡田はトラックで磨いたものを駅伝に生かすタイプで、大介は早めにマラソンにシフトする選手だと思ってますので、個々人の能力を磨いて大学を代表する選手になってほしいと思ってます。

―他に七枝(直=法2)、並川(颯太=法2)なども力をつけてきている

彼らによく言うんですけど、最終的に君たちの武器は何か明確にしないと、今のチームレベルだったら使ってもらえないぞっていうところは伝えています。平均点の高い選手ですけど、何か自分がここだったら負けないっていうものを身につけてもらいたいですね。

―七枝が夏合宿でメンタル面の成長

長嶋(翔大=総政4)が、トレーニングの面を見始めて真摯に従って結果が伴ってきているので。長嶋がいなくなった先いかに自分一人でも継続できるかにかかってるよっていうところを結構しっかりと話をして。夏で成長したなっていうところでいくと、去年はアメリカでボリュームのある練習ができなかったところを多少足の痛みがあってもテーピングとかで対処しながら継続していくっていうところを自然とできるようになってきたところは、強くなりたいっていう欲が出てきたなっていう部分で、変化を感じたかな。

―他の学年も 2年生世代は強い世代と言っている

仲いいですし、レベルの高い練習はやってます。けど、岡田とかに対して「もう別の選手だ」みたいな感じに練習でなりつつあるので、岡田にも勝っていかないとっていう部分を作っていってもらいたい。特に七枝は入ってくる段階でほぼ持ちタイム同じだったわけですから、君はそこで競ってる場合じゃないんだよっていうのは早めに気づいてもらいたいと思ってます。

―3年生について、MARCH対抗戦と八王子ロングディスタンスに出場した全員が自己ベスト更新

波のある学年なので、ちょっと扱いづらいところもあるんですけども、みんな箱根に向かってかなりモチベーション高くやってますので、この学年がどれだけ活躍するかで、箱根の総合優勝というところの成績が大きく変わってくると思ってます。4年生を支えるという意味でも、来年のチームを支えるという立場になるという意味でも、もう一段階の成長はしてもらわないとなっていうところではありますね。

―柴田(大地=文3)は全日本で区間賞、藤田(大智=文3)は10000㍍で27分台と躍進

柴田は一本実践の駅伝をやれたという意味では、箱根に向けていい刺激になったかなと思ってます。藤田は夏以降「化け始めたな」と練習の段階から感じましたので、トラックのタイムとか全日本での走りで主力と遜色ないところまで来てると確かめられました。箱根でどういうカードの切り方ができるかというところでいくと、オプションが増えたという意味でかなり大きいと思います。

―4年生について

もちろん吉居(駿恭=法4)・溜池(一太=文4)が代表するチームとは思うんですけども、周りで支えている寮長の折居(幸成=法4)、主務の篠原(寛=経4)、調子戻ってきた白川(陽大=文4)・吉中(祐太=文4)含めて、みんなでチームを良くしていこうという姿が見受けられるので、さすが4年生というところと、大きな流れでいくと吉中と白川はしっかりと復調してきたというところは箱根経験者ですし非常にポジティブに捉えています。

―吉居世代入学時の思い描いた通り

吉居駿恭に関しては、もうちょっと5000㍍のタイムを伸ばしてあげられたかなと正直思います。溜池は思っている以上に伸びてきてくれて、彼の努力と人間性の成長のおかげだと思うんですけど、非常に成長してくれたなと思いますね。吉中・白川にしても非常に努力で伸びてきてくれているのは間違いないですけど、もう一段階の心残りはあります。

―吉居の人柄

キャプテンになって、立場が人を作るじゃないですけど、自分がやらなきゃいけないっていうことでいろんな行動とか言動が変わりましたので、彼を成長させている部分だなと思いますね。今までどっちかというと自分のことをしっかりやるようなタイプだった子が周りにも目配り気配りできるようになりましたので、すごく頼りがいのあるキャプテンに成長しました。

▲共同取材で改めて「総合優勝」を誓った藤原監督

箱根駅伝に向けて

―中大は前回大会の山走者がいない

4年生が抜けて、逆に言うと新しい子に機会が回ってくるポジティブな部分。優勝に対してのチャレンジングな部分でもあると思ってるので、やっぱら山は自分がやってやるって思いを持てる子じゃないと攻略は難しい区間になりますので。今年は山でガラッと変わると思いますので、とにかく山が勝負だと思って1年間注力してやってきているので、最高の準備をさせたいと思っています。

―前回大会のメンバーが8人残る

特に2区は何回か走らないと、走り方・エネルギーの使い方が難しいコースレイアウトですので、独特の雰囲気とか経験しないとわからないこともたくさんありますので、経験者が8人残ったのは、いい部分でしかないと思います。

―理想展開は前回のような形がチームとして流れに乗りやすい

うーん…確かにああいう風にできれば一番駅伝としては楽に展開できますけど、今年は簡単に逃がしてくれないでしょうし、1区は混戦になるだろうなと思ってます。なので2区の溜池が非常に重要になってくるなと。特に駒澤大は佐藤圭太君、青学大だったら黒田朝日君クラスがくると思うので、64分に限りなく近いタイムで走破してくるでしょうから、なんとしても65分30秒あたりで走ってもらって区間賞争いをして、できれば3区でアドバンテージを得て、徐々に主導権を握るレース展開にしていければと思っています。

―昨年の目標と違う中での箱根駅伝

勝った経験がないので、プレッシャーを感じるというよりもチャレンジャーですし、どういう準備をするかっていうところに注力していけば意外と自然体でやれるんじゃないのかなと思ってます。そんなに何かを背負うようなチームでもないと思いますので、まずは自分たちのことに集中させたいですね。

箱根駅伝の難しさ

個人的には今のチームは箱根が一番戦いやすい距離で、他の駅伝より自分たちの力を出しやすい駅伝だと思っています。あとは再三申し上げている通り、今年は絶対山で大きく差がつくので山区間にどれだけの良い準備をして臨めるか。そこの攻略が難しくもあり、一番箱根の醍醐味でもあると思っていますので、そこに注力してやっていきたいですね。

―最後に箱根への意気込み・目標を改めて

1年かけて勝ちたい思いでずっとやってきていますので、残りも抜かりなくいつも通り地に足をつけて行動していくと。腹八分というところを忘れずにチーム全体で残りの期間を楽しんでやっていければと思っています。

トラック練習を見守る藤原監督

 

「箱根駅伝総合優勝」ただ一つの目標を追い求めてきたこの一年。真紅の歴史に新たな1を刻む準備は万端だ。

 

(聞き手・構成:遠藤潤)

公式X(@chudaisports
Instagram(@chuspo_report